先日、登山のために訪れた屋久島で現地生産のカンファー精油を入手しました。カンファーとは、衣類の防虫剤でお馴染みの、いわゆる樟脳のこと。クスノキの葉や枝を水蒸気蒸留して得られる精油です。


以前にフランスで入手したカンファーは、それはもう病院の消毒薬にも似たツンとくる香り。ブレンド用にごく少量使うことはあっても、単独で香りを楽しみたいとは全く思えませんでした。

ところが、この屋久島のカンファーときたら、これまでのカンファーのイメージを覆すほどのまろやかさ。屋久島の苔むした深い森でかいだ、体にしみこむような爽快な香りそのものでした。ちょうど年末の大掃除も近いし、これは大活躍しそうです。

防虫・殺菌・消臭効果のあるカンファーは、まさにハウスキーピングのためのアロマ。拭き掃除の際には、雑巾を洗うバケツの水に2~3滴加えたり、コットンに少量含ませてティーバッグに入れた物をいくつも用意して、衣装ケースや靴箱に入れておくと防虫や消臭に役立ちます。

私のお気に入りは、屋久島のカンファーを希釈し、レースのカーテンにスプレーしておくこと。カーテンが風で揺れるたびに森の香りが漂い、虫バリアとしても期待できます。

また、爽快な香りには覚醒効果があるので、年末の旅行や帰省で長時間ドライブするときにはぜひ眠気覚ましに。アロマディフューザーがあればベストですが、暖かく狭い車内ならコットンに含ませて置いておくだけでも香りが立ちこめます。



ところで、カンファーと似た言葉でカンフル、カンフル剤って、聞いたことありますよね。これはもともと同じもの。かつて医療で強心剤として用いられていたカンファーですが、今では広く、活力を再生するための特効策の比喩として耳にすることが多くなりました。

しかし実際の強壮効果も捨てたものではありません。カンファーを入浴やマッサージに用いると血流を促して活力を与え、筋肉疲労や凝りに効果をあらわします。

特に頭皮マッサージにはおすすめで、毛細血管の隅々まで脈動を始めたように、じんじんと血が駆け巡るのを感じます。これは癖になる刺激。寒さで体が凝り固まった時や、年末の追い込みで頭が重い時、心強い味方になってくれます。

これらの使用法においては、原液を直接肌に用いてはいけません。キャリアオイルで50倍程度に希釈し、肌に合うかテストしてから使用してくださいね。また、精油も純正のものを、信頼のおけるお店の方とよく相談して選んでください。


(Kikka)

この記事を書いたコラムニスト

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