そんなに日本が好きなの?! 秋台風の進路のナゾ…夏の台風とはどう違う?(画像あり)
秋の台風がUターンして日本に向かってくる理由や、台風が生まれてから日本にやってくるまでの進路など、秋台風の特徴を紹介。夏台風との違いも解説。
こんにちは。生き物好き&占い好きな気象予報士の金子大輔です。
8月~9月は台風シーズン真っ盛り。
特に9月の台風は、日本にやってきて大きな被害を出すのが特徴です。
台風の進路予報を見ていると、西進していたのが急にUターンし、狙ったように日本にやってくるのをよく見ます。なぜUターンして日本にやってくるのでしょう?
台風は、赤道近くの暖かな海で発生します。
ここは積乱雲がひっきりなしに湧き、熱帯雨林が形成されるエリアです。
積乱雲が集団を作ってまとまると熱帯低気圧となり、さらに発達して最大風速が17.2メートルを超えると「台風」と呼ばれるようになります。
台風のふるさと
台風は低気圧の仲間なので、高気圧が苦手です。
それで、太平洋高気圧を避けるように北西方向へと進むのです。
ある程度北上し日本に近づくと、今度は上空を「偏西風」と呼ばれる風が吹くエリアに到達します。
こうなると偏西風に流されて、東寄りに進むようになるのです。
台風の道しるべ!太平洋高気圧と偏西風
台風の予想進路は「予報円」で表されます。
予報円はだんだん大きくなりますが、かならずしも台風が強大になるという意味ではありません。
遠い未来になるほど、予報はあいまいになって位置を正確に特定できなくなるために、円は大きくなっていくのです。
典型的な夏台風の予報円と、典型的な秋台風の予報円を見てみましょう。
夏台風は大きく、秋台風は小さい傾向にあります。
これは、夏台風は進路が定まりにくく、秋台風は進路が定まっていることを意味します。
つまり、夏台風は予報が難しく、秋台風は予報が容易なのです。
キーになるのは「偏西風」
なぜこのようになるのでしょうか?
それは、秋台風は、偏西風に乗って動くためです。
一方、夏は偏西風がはるか北に北上してしまいます。
台風を流す風がないので、進路が定まらずしばしば迷走します。
まるで、秋台風は大企業で一途働く人、夏台風は「夢追い人」のようですね。
以上のような理由により、西進しているときは風に乗っているわけではないので、移動速度は遅く、自転車並み、下手すると歩くスピードより遅い場合もあります。
ですが、いざ東進し始めると急加速、ときに10倍以上の速度になることもあり、あっという間に接近してきます。
速度が速いとすぐに去ってしまうから、その方が良いように感じますが、大きな落とし穴があります。
台風は反時計回りの渦巻きなので、進行方向の右側では、台風そのものの風と移動速度がプラスされて、猛烈な風が吹くのです。
偏西風に乗って時速100キロ前後で日本海を疾走した台風としては、1991年の「リンゴ台風」、1954年の「洞爺丸台風」が有名です。
洞爺丸台風はその名のとおり、青函連絡船洞爺丸を転覆させ、日本海難史上最大の惨事になりました。
秋台風の「生態」をある程度知ると、対策もしやすくなるのではないでしょうか。
恐れるばかりでなく、相手のことをよく知ることが大切ですね。
|
|
生き物が大好きな気象予報士&教員&物書き&占い師。生き物はゴキブリも含めすべて好きで、生き物と天気については話し出したら止まりません。ディズニーランド好き、絶叫系好き、激辛好き。
著書
『こんなに凄かった! 伝説の「あの日」の天気』
『気象予報士・予報官になるには』
『気象予報士 (シリーズ“わたしの仕事”)』
『世界一まじめなおしっこ研究所』
Twitter:https://twitter.com/turquoisemoth
facebook:https://www.facebook.com/turquoisemoth
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/cameleotino
|
|