日本人の英語下手はどこからくるのか?外国人との言語コミュニケーションを阻む「躾」と「日本文化」の弊害

執筆者: kawanokitty 職業:日本語教師

こんにちは、語学講師の河野桐子です。


「日本人はどうして英会話が苦手か」というテーマについて、数限りないコメントが多くの人々によって書かれ、読まれてきましたが、未だに「おっ!」と感心するベストアンサーは見つかりません。

 

日本人(私も含めて)は「外国人とコミュニケーションが取れない」という悩みを何十年と放置しています。

 

 

日本人はなぜ下手くそな英語で話せないのか

さて、先日仕事の関係でベトナムの語学センターから日本語で電話が掛かってきました。

  • わたし  :はい、●●の河野です。
  • ベトナム人:ハイ、ワタシ、■■サンデス。○○サン、イルデスカ?
  • わたし  :○○はただ今、出張しております。
  • ベトナム人:シュッチョウ? ドコ? ベトナム イツ イキマスカ?
  • わたし  :来週の二日に行くことになっています。
  • ベトナム人:ジャ、アノ、ココイツ イキマスカ?


このベトナム人、日本を相手にビジネスをする会社の従業員なら、もう少しまともな日本語を話して欲しいものだとイライラする方も多いかと思います。

しかし、電話を切ってしばらくすると、あのような日本語力でコミュニケーションを取ろうとする相手の勇気にむしろじわっと感動しました。


私がもし外国の会社に英語で電話するとしたら「これくらいの語学力で電話は無理!」と断念するところです。

そこでハッと考えました。

どうして、日本人の私は「無理だ!」と思い、外国人は「ダイジョーブ!ダイジョーブ!ヘイキ!ヘイキ!」と思うのでしょうか。

 

 

幼少期からの教えが影響している?

日本人は断念する異言語コミュニケーションを、外国人が行えるのは何故なのでしょうか。

 

「日本が他の国のように直に国境で接していない島国だから、外国人と話すことに慣れてないってことよ」と即答されそうですが、私は最近、本当にそれだけの理由なのかと思っています。


インターネットで世界中が繋がった今、島国や大陸などはそれほど影響しているのでしょうか。

「日本人が英語でコミュニケーションできない理由」はもっと別のところにあると思います。


実は一つ思い当たることがあるのです。

私は小さいころから、親に「将来何をしてもいいけんね。でも人に迷惑だけはかけんとよ!(博多弁)=将来何をしてもいいけれど、人に迷惑だけは掛けてはいけませんよ」と言われて育ちました。


「人に迷惑をかけちゃいかん!」


この言葉。日本人なら小さい頃、よく言われてきた言葉なのではないでしょうか。

もしかしてこれが「外国人に英語で話しかける勇気」を奪っているのではないかと、私は考えています。


つまり、以下のような回路が働くわけです。

 

  1. 私がこんな下手な英語で話しかけたら、相手に通じない。
  2. 通じないということは、相手は困る。
  3. それはすなわち「人に迷惑をかけんとよ=人に迷惑を掛けてはいけません」という親の教えに背くことになる…。

 

子供の頃からの「躾」は私たちの中に深く根付いているわけです。

 

日本の生活文化も影響している?

更に、日本人は家に入るとき必ずを脱ぎます。

綺麗に掃除された室内に土足で入るなんて、まず考えられないことです。

 

この習慣を「日本人の話す英語」に置き換えてみましょう。

そして「綺麗な英語・通じる英語を話す領域」を「家の中」としましょう。

 

こんなまずい英語(土にまみれた汚い靴)のまま、相手の領域に踏み込むことができるでしょうか。

いやできません。

これこそ他人に迷惑をかける事そのものではないかと、私たちは考えるわけです。

 

下手な英語を話すと相手は迷惑か?

では、もう一度最初のベトナム人との電話に戻ってみましょう。

 

このベトナム人は「下手くそな日本語で話しかけてきました」が、私は迷惑がっていたでしょうか?間違いには敏感に反応していますが、相手の言わんとすることは分かっているようです。

 

つまり私自身は、この拙い日本語を話すベトナム人を迷惑がっているようでもありません。
そう考えると「日本人はなぜ英語が話せないのか」という問題を解決する答えの一つが、ここにあるように思います。


道端で外国人に英語で話しかけられ、‘Sorry, I can’t speak English.’と全く問題ない英語の捨て台詞を残し、足早に逃げる去る方が、却って相手を混乱させることになります。

「土足O.K.(下手な英語でもかまわんよ!)」と言われているのに「スリッパ、プリーズ!」という方が余程滑稽ではないでしょうか。

 

 

おわりに

英語を話す勇気を持つためには、まずは「相手に迷惑がかかる」という発想を捨て去りましょう。

そして英語の領域に、ためらわずに土足で踏み込む勇気を持ちましょう。


そうしたら、あなたも「You can communicate with foreigners in English」になれるかも!

 
 コラムニスト情報
kawanokitty
性別:女性  |   職業:日本語教師

日本語教師です。「語学の教え方研究所FUKUOKAふぁん」で日本語教師養成講座を開いています。最近特に興味をもっているのは「外国人に対する漢字教育」です。日本語と日本語周辺についていろいろ書きます。あなたの知らない世界があるかも、、、です。お楽しみに。

 

 教育・学習のコラム