完成予定はいつ?スペイン観光スポット「サグラダファミリア」工事進捗レポート -後編-
前編に続き、サグラダファミリアの歴史を部分ごとに解説しながら、工事の進捗状況をお伝えいたします。
●関連コラム(前編)
1911年、マルタ熱にかかり死を間近に感じたガウディは、それを発想の源泉として、受難のファサードのスケッチを行います。
イエスの苦しみ、「最後の晩餐」から「キリストの復活」までの12の場面を、彫刻を通して設計したのです。
1954年に着工し、1977年に4つの鐘楼が完成した後、1986年より2005年にかけて彫刻家ジュゼップ・マリア・スビラクスによる彫刻群の製作が行われました。
彼は、この場面に登場するイエスや12使徒の顔貌を、極めて図式的に仕上げることで深い悲しみを表現。
彼の現代彫刻に理解できなかった市民は、1990年に反対デモを行いましたが、時の流れと共に理解を示されるようになりました。
生誕のファサードがあまりにも壮麗なため、サグラダファミリアを訪れる前の人々は、そちらが正面入口だとイメージしがちです。
しかし、聖堂で最も重要な正面入口は、更に壮大となるこの栄光のファサードとなります。
ガウディは亡くなる10年前に、建設プロジェクトを引き継ぐ人々に資料を残すことを目的に、栄光のファサードやそこに配置する象徴表現について綿密な研究を行い、多くの模型を残しました。
しかし、1936年の内戦により、それらは破壊されてしまったのです。
もはやガウディの構想を忠実に再現することは不可能だ、と言う意見から、建築を続けるべきか議論がなされましたが、ガウディや協力者が撮った写真、彼が残したメモを手掛かりに建設が再開されました。
2000年にこのファサードの基礎工事が開始され、約3000個の模型の破片の修復作業は今も尚、並行して行われています。
こちらのファサードには7つもの扉が配されますが、2012年に最初の扉(中央扉)の設置が完了しました。
この扉には「主の祈り」の文句が世界50か国の言葉で刻まれています。
30年以上の歳月を費やし、聖堂内部の柱の設計の研究に没頭したガウディは、死去する2年前に教会内部の空間を、幼い頃に見てきた巨大な森に見立てることを案出。
樹木のような柱、と言う、建築史に革命をもたらした新しい発想に辿り着きました。
1987年に中央身廊や側廊の基礎工事が開始され、側廊の天井が完成した後、1999年に高さ45メートルもある中央の天井が完成しました。
2010年11月のローマ教皇の訪問を前に、内部工事は急ピッチで行われ、ミサが執り行われてサグラダファミリアは、バシリカ(一般の教会堂より上位にあると認められた教会堂)となりました。
完成したサグラダファミリアには、合計18本もの尖塔がそびえることになりますが、現在は8本の尖塔が立つのみです。
最も高いイエス・キリストの塔の高さは170メートルとなり、完成したら、ドイツのウルムの大聖堂(161メートル)を越え、世界一の高さを誇る教会となります。
完成まであと200年はかかると言われていたこの教会。
9代目の現・主任建築家であるジョルディ・ファウリは、ガウディの没後100年にあたる2026年に完成予定であると公に発表しました。
サグラダファミリア教会の建設は、国からの援助は全くありません。
教会が独自に集めた資金の範囲で進められており、近年の入場料による収益と寄付金の増加により完成予定時期が大幅に早まったのです。
完成前の今、訪れることで、よりその時が楽しみになることでしょう。
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