百戦錬磨の探検者向け!地図に載っていない神秘の秘境「神威鍾乳洞」探索レポート (1/2)

執筆者: 秘境通のなべ
はじめに

北海道には現在6箇所の鍾乳洞が確認されています。

中でも、場所がはっきりせず未だ神秘のベールに包まれているのが、道南の島牧村にある「神威鍾乳洞」です。


村の文献によると、江戸時代から既に存在し、洞内には観音仏像が祀られ参拝者もいたそうですが、余りに険しい山道のため、仏像が麓の寺に下ろされました。

その後は洞窟も放置され、戦争と共に歴史の闇へと消えたそうです。 

 

探険者を拒む自然の要塞

月日が流れて昭和50年、村で観光化を考え調査して発見に至るも、あまりの険しさと危険な山道で観光化は断念。

今では山道も崩落しており、ネット等でも殆ど探険記録がなく、地形図にも(2万5千分の1)記載が無い、自然の要塞に守られた秘境となっています。


そんな場所に夏セミの響く8月、6人の探険隊と案内人1人が、地形図と少ない資料で、道なき道の要塞突破と歴史の謎に挑みました。

 

カムイ川の遡行からスタート

まずはカムイ川の遡行からスタート。

川幅は約10mで、水量は足首位あり、今回は沢足袋で挑戦しました。

倒木や大岩のトラップを交わし切り、V字谷のルートを3kmほど進むようです。

 

 

崖の緑が眩しく、透明な水面は鏡のように反射し、マイナスイオンが目に見えそうな沢登りです。
良く探険中に「何を考えているのか」と聞かれますが、何も考えてません。

ただ、未知の世界へのあくなき好奇心が、体を動かしています。

 

 

スタートから約3時間、ひたすら沢を登る

途中、石灰岩の洞窟や湧水など発見しながら、ひたすら沢を登ります。

 

 

ルートは川幅も狭まり、峡谷へと変化し大岩の多い上流部の様相。

この崖の上にかつての山道があったのかも知れません。

 

 

スタートして約3時間、ポイントとなる露頭跡に到着しました。
そして案内人が指差す方向にあったものは何でしょう?

 

 

密林の迷宮、難攻不落の谷を突破

一見、ブッシュに埋もれた涸れ沢の急斜面で、上部は見えないほど高いです。

どうやらここを登るようです。

 

急斜面を登ること1時間、ついに大穴を発見

洗礼を受けながら急斜面と格闘すること約1時間、鬱蒼とした原生林はまるで迷宮に入り込んだようです。

最近はスローな時間がブームのようですが、我々はスリルな時間が好きなようです。

 

ワクワク感は既に我苦我苦へと変化、「これはネットでも情報が無いはずだ」と、妙に納得します。
地形図に記載が無いため、場所の見当がつかず、単独で初アタックは困難ともいえます。


そして、それは突然目の前に現れました。
文字通り自然の要塞に守られたジャングル奥地に、ポッカリとオーバーホールのように大穴を開けていました。


ついに難攻不落の牙城を崩し、幻になりつつあった歴史をこじ開けた瞬間です。

 

 

決死の洞窟内突入で発見したものとは

高さ約3m、幅約6mほど、何百年もの間、密かに語り継がれてきたのでしょうか。
歴史ロマンを感じながら、しばし安堵感と感慨に耽っていました。

 

洞窟に突入

さて、ここまで来たら突入しないわけにはいきません。

異界へと誘うような暗闇に、ライト片手にアタックしてみます。

長年の風化で崩壊が進み、足場に気をつけながら潜入すると、コウモリが番人のように飛び交っています。

 


注意すべきは、崩れたタテ穴。

暗くて気付かず滑落すると、2度と這い上がれません。
また、足元ばかり照らすと頭をぶつけたりと油断は禁物です。

浮かび上がる鍾乳石のツララや壁に、歴史を感じつつ慎重に進みます。

 

 

 
 コラムニスト情報
秘境通のなべ
性別:男性  |  

北海道を中心に、地底の鍾乳洞から山奥に眠る滝や秘湯、遺構(炭鉱、鉱山跡)など誰もが行けない秘境を探検する、あくなきチャレンジャー。
気力、体力、技術に大事なのは時の運、単独行は危険です決してマネはしないでください。