
化粧品の添加物の中でも、鉱物油や香料、防腐剤と並んでお肌への悪影響が心配されやすい「界面活性剤」。化粧水・美容液などコスメに配合されている界面活性剤の働きとは。
こんにちは、スキンケアカウンセラーの松原好克と申します。
化粧品愛用者の最近の傾向としましては、美容成分だけでなく、鉱物油や香料などの添加物を気にする人が多いという点が挙げられます。
今回のコラムは、化粧品の添加物の中でも、防腐剤と並んで毛嫌いされている「界面活性剤」について、専門家の視点で詳しく解説します。
「界面」とは、異なる属性を持つ2つの物質が、互いに接触している境界面を指します。
例えば、水と油を1つの容器に入れると分離してしまうのはご存知だと思いますが、その水と油の境目が「界面」です。
境界面を互いに結び付けて無くし、見た目の状態を均一化・統一化する作用を担う成分を、総称で「界面活性剤」と呼んでいます。
化粧品における界面活性剤の機能は、以下の3つに分類されます。
ほとんどの化粧品は、水溶性 (水に溶けやすく油に溶けにくい) 成分と、油溶性(油に溶けやすく水に溶けにくい)成分の、2つの液体によって構成されていますが、それらが綺麗に混ざり合った状態でないと、商品としての価値が生まれません。
そこで、界面活性剤を用いることにより、製品内に配合される多種多様な成分を1つにまとめ上げているというわけです。
液体同士が均一に混ざり合った化学構造を指す乳化に対し、異なった形状のもの同士が沈殿せずに均一に混ざり合う化学構造を「分散」と言います。
分かり易い例を挙げますと、リキッドファンデーションは、液体に固体顔料を混ぜて作られますが、顔料の種類によっては沈んだり浮き上がったりするため、分散型の界面活性剤を加えることによって、ぶれない色合いを保つことができます。
メイクなどの油汚れを脂溶成分で覆い、水に馴染ませて浮かせて洗い流す、いわゆるクレンジングや洗顔としての役割を持ちます。
身近なものでは、食器や洗濯などの洗剤も同等のメカニズムですが、そちらは肌に使用するクレンジング料に比べて強力な界面活性剤が使われます。
乳化にもタイプがあり、主に「O/W型」と「W/O型」に分類されます。
※O=Oil(油)・W=Water(水)
水の中に油が分散している状態を「O/W型(水中油型)」、油の中に水が分散している状態を「W/O型(油中水型)」と言います。
水と油のどちらがベースになるかで決まります。
W/O型(油中水型)は、こってりとしたクリーム・リキッドファンデーション・日焼け止めなどに使用されます。
O/W型(水中油型)は、水っぽいジェル・乳液・サラッとしたクリームなどに使用されます。
- 出典:一般社団法人 日本スキンケア協会 公式テキスト『しっかり学べるスキンケア教本』(株式会社 ヌーベル出版)
界面活性剤は、皮膚のタンパク質変性作用が確認されていますが、最近の界面活性剤は改良化されており、肌に穏便なものが主流になっています。
化粧水・美容液・乳液・クリームなど、塗布アイテムに配合される程度の界面活性剤は、肌に刺激(乾燥や肌荒れ)が出なければ、特に気にする必要はありません。
ただし、防腐剤・増粘剤・植物由来成分などでも肌荒れを起こす人もいるので、肌に異常が現れたからと言って、必ずしも界面活性剤に反応しているとは限らないでしょう。
クレンジング料や洗顔料など、洗浄アイテムに配合される界面活性剤も、実はそれほど肌に負担になるものではありません。
問題なのは、洗い方です。
メイクや汚れを落とそうと、必死になって擦ったり、時間を掛け過ぎたりすると、界面活性剤が、角質層内の水分を保つ「細胞間脂質(セラミド)」や「NMF(天然保湿因子)」も一緒に落としてしまいます。
つまり、乾燥や肌荒れなどを起こしやすい環境を、自ら作っているのと同じことです。
特に、クレンジングは要注意!
特に、クレンジングには注意が必要です。
オイルタイプではなく、肌への摩擦が軽減できるクリームやジェルのクレンジング料を使用し、かつ、擦り過ぎず短時間で済ませることが大切です。
日常使いには、簡単に落とせるパウダー系ファンデーションが最適で、落とすのに洗浄力を要するリキッドやクリームのファンデーションは、デートや面接などの重要な日だけに留めましょう。
テレビや雑誌など、ちまたには様々な情報が溢れていますが、「界面活性剤は肌に悪い」とは、一概には言えないということがお分かりいただけたでしょうか。
最終的には、「自分の素肌は自分で守る」という意識が大切です。
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