人気ピアニスト解説!ピアノの詩人「ショパン」の曲名(タイトル)は、ほとんど「俗称」?
「ピアノの詩人」とも呼ばれるショパン。有名な曲を多く残していますが、今日ついているタイトルは、ほとんどはショパン自身によるものではありません。どうしてそう呼ばれるようになったのか、俗称の由来を紹介。
こんにちは。ピアニストの小川瞳です。
今回も、クラシック音楽のタイトルにまつわるお話をしたいと思います。
クラシックの作品には、さまざまなタイトルがついていますが、実は作曲家本人がつけたわけではないこともしばしばあります。
もちろん、作曲家本人がつけたものもたくさん存在するので、タイトルを見ただけでは、本人がつけたのかどうかの区別はつきません。
ですが、タイトルから沸き起こるイメージは大きいものだから、できたら、作曲家本人の意図によるタイトルなのか、それともただの俗称なのかは、把握しておきたいと思いませんか?
そこで、今回取り上げるのが、あの「ショパン」です。
ポイントとしては、「ショパンのピアノ曲は、他人が俗称をつけていることが多い」ということです。
ショパンにはタイトルがついている曲がたくさんありますが、ほとんどがショパンの意図によるものではありません。
そこで、代表曲をひとつひとつ取り上げ、俗称で呼ばれるようになったいきさつをご紹介していきましょう。
正式には、「練習曲作品10の3番」です。
実は「別れの曲」というタイトルは、ショパンの伝記映画のタイトルなのです。
その映画の中で、この曲が効果的に使われていたため、「別れの曲」と呼ばれるようになったそうです。
正式には、「練習曲作品10の12番」です。
こちらは、「ワルシャワ革命がロシアによって鎮圧されたことにショパンが怒って、怒りの気持ちを音楽で表した」というエピソードがあるため、『革命のエチュード』と呼ばれています。
このタイトルは、ショパンの意図に比較的近いとは思いますが、ショパンが名づけたわけではありません。
正式には、「練習曲10の5番」です。
このタイトルになった理由は、至極単純。
主に黒鍵だけで演奏されるから、「黒鍵」と呼ばれるようになったそうです。
正式には、「ワルツ作品64の1番」です。
「ショパンの恋人ジョルジュ・サンドの愛犬が、走り回っている様子を曲にした」、「子犬が自分の尻尾を追いかけまわしている様子を描いている」というエピソードから、『子犬のワルツ』という俗称はつけられたそうです。
正式には、「プレリュード作品28の15番」です。
この曲に関しては、おもしろいエピソードがあります。
ジョルジュ・サンドによると、「静養のために訪れたマジョルカ島で、雨の日にショパンが留守番をしていたことがあり、そのとき雨音からインスピレーションを得て作曲した曲がある」とのこと。
その曲がどの曲をさしているのかは不明なのですが、曲調から考えて「プレリュード作品28の15番こそが、雨音を表現した音楽にふさわしい」と判断されたのでしょう。
正式には「即興曲第4番」です。
大変人気のあるクラシック名曲の定番ですが、ショパンはこの作品を気に入らなかったのか、生前には発表されなかったそうです。
ショパンの死後、ショパンの友人によって「幻想即興曲」というタイトルがつけられて、無事、出版されました。
俗称がそのまま浸透して、あたかも正式名称のように呼ばれているのが、おもしろいですよね。
その曲にまつわるエピソードも交えて、タイトルにも注意を払ってみると、クラシック音楽をよりいっそう楽しめるかもしれません。
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ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/
小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8
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