日本でフェアトレード商品が買えるお店5選。ヨーロッパで盛んな「フェアトレード」をもっと身近に!

身近な国際貢献の方法「フェアトレード」。ヨーロッパ(イギリス・オランダ・ドイツ)の先進的な取り組みと、日本でフェアトレード製品を買えるお店を紹介。難しく考えすぎずに、気に入った品物があれば購入してみて。それが、第一歩です。

執筆者: Natsumi Yamashita
人と地球にやさしい仕組み「フェアトレード」って知ってる?

みなさん、「フェアトレード」という言葉を聞いた覚えはありますか?

 

近年ファストファッションブランドにおける過酷な労働環境が問題になったことで、その改善を求めて活動するフェアトレード運動が更に脚光を浴びるようになりました。

 

日本でも、オーガニック製品がメディアでも多く取り上げられるようになり、フェアトレード制度や製品に対する認知が徐々に高まってきています。

とはいえ、フェアトレード制度が盛んなヨーロッパの国々に比べると、日本における市場はまだ小さく、人々の間での関心や意識も比較的低いのが現状です。

 

「フェアトレード」とは?
開発途上国からの搾取をやめ、自立を支援する貿易システム

フェアトレード(直訳:「公平な貿易」)とは、開発途上国へのサステイナブルな援助を目的とした貿易の仕組みのこと。

開発途上国の生産物(食品や製品)を適正な価格で購入し、その公平なビジネスを持続させることで、生産者・労働者の生活や労働環境の改善、そしてその自立を目指す貿易システムです。

 

 

アメリカから始まり、特にヨーロッパで盛んに

フェアトレードの始まりは、1940年代後半のアメリカ。

その後イギリス、オランダなどヨーロッパの国々に広がりを見せ、日本では1993年に「フェアトレード・ラベル運動」が導入されたのをきっかけに、その存在が知られるようになりました。

アメリカで始まったフェアトレード制度ですが、現在はヨーロッパのフェアトレード事情が最も世界に大きな影響を与えています。

 

次に、中でも先進的な活動を続けているイギリスオランダドイツの3カ国のフェアトレード事情について見ていきたいと思います。

先進的な活動を続けている「ヨーロッパ」のフェアトレード事情
イギリス

イギリスでは、すでに4,000以上のフェアトレード・ラベル商品が流通していると言われており、どの都市を訪れても必ずフェアトレード商品に出会うことができるでしょう。

 

 

イギリスでのフェアトレードの始まりは、1950年代にNGO団体が始めた「オックスファム・ショップ」が中国の難民から手工芸品を適正な価格で購入し、販売を始めたのがきっかけです。

 

その後、イギリス全土に700以上の店舗を構える人気店となった同店では、寄付で集まった中古品と共にフェアトレード商品が販売されています。

取り扱う商品を最大限にフェアトレードのものにしようという「フェアトレードタウン運動」「フェアトレード大学運動」もイギリスから始まった活動です。

これらの運動は、現在世界26カ国に広がり、今なお成長を続けています。

 

 

オランダ

オランダでのフェアトレード運動の始まりは、1967年に輸入団体 “Fair Trade Organisatie”が設立されたことです。


フェアトレード制度が始まった当初は、手工芸品の貿易が主でしたが、1973年にFair Trade Organisatieがコーヒーにもフェアトレード制度を持ち込んだことで、手工芸品だけではなく食品にもフェアトレード運動が広がりました。

また、フェアトレード商品の主な正規ラベルの1つであるFLO(Fairtrade Labelling Organizations International) も、1988年オランダ設立のマックスハベラーというフェアトレード認証ラベルを広める団体が始まりです。

 

ドイツ

ドイツのフェアトレード活動は、1992年発足のトランスフェアという団体がその草分け的存在として知られています。


現在は、国のあちこちでオーガニックやフェアトレードショップが見られ、イギリスに続くフェアトレードタウン(役所、学校、お店や企業などでフェアトレード商品の普及が進んでいる町のことを指す)が多数存在する社会を目指す社会の高まりと熱意が感じられます。

更にフェアトレードを盛り上げるため、ドイツでは2年に1度「フェアトレード首都」を決定する賞金付きのコンテストが開催されています。

日本ではどこでフェアトレード製品が手に入る?

では、日本ではどこでフェアトレード製品が手に入るのでしょうか?

日本でフェアトレード製品を扱っているブランドとして有名なのは、1984年に設立されたアパレルブランド「ピープル・ツリー」、2005年設立のアパレルメーカー「マザーハウス」などです。

 

どちらのブランドもフェアトレード制度を進めると同時に、製品の質やデザインの良さにこだわったことで、結果的に顧客を増やすことに繋がりました。

 

「ピープル・ツリー」

ピープル・ツリーでは、服や小物だけでなくチョコレートやコーヒーなどのフェアトレード食品も取り扱っています。

 

「マザーハウス」

一方のマザーハウスは、フェアトレードを前面に打ち出してはいません。

ですが、発展途上国との公平なビジネスを念頭に、バッグを中心としたファッション小物の展開を続けています。

「カルディ」・「小川珈琲」・「ナチュラルハウス」でも、取り扱いあり

また、世界の輸入食品を扱う「カルディコーヒーファーム」や、近畿地方を中心に店舗を展開する「小川珈琲」、自然食品店「ナチュラルハウス」でもフェアトレードのコーヒー、チョコレートなどの製品が手に入ります。

フェアトレードは、生産者と消費者の両方に“Win-Win”のシステム

ヨーロッパにおけるフェアトレード事情について理解を深めていただけたでしょうか。

 

フェアトレードはその目的が明確で、生産者と消費者どちらに対しても優しい笑顔の輪を広げていける “Win-Win”のシステムと言えます。

まずはご紹介したフェアトレードブランドのウェブサイトを覗いてみて、気に入る物が見つかれば実際の店舗へ足を運んでみてください。

自分の消費活動が社会貢献に繋がるという事実は、社会人としての自己認識と自己価値を高めてくれるでしょう。

フェアトレード製品でお気に入りを見つけた後の帰り道、不思議と清々しい気持ちになっている自分に気づくはずです。

 
 コラムニスト情報
Natsumi Yamashita
性別:女性  |  

オランダ在住のライター、翻訳家。
オーガニックやフェアトレードをはじめ、ナチュラルな暮らしにまつわる事柄全般に興味があります。
読者にとって読みやすく、読後に少しでも明るい気持ちになれるような記事を執筆するのが目標です。

 

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