環境問題、日本は現状どんな取り組みをしてる?自然環境を伝える社会づくり
1960年代の高度経済成長を経て、日本は物質的に恵まれた国になりました。
その一方で、大気汚染、地球温暖化、海洋汚染、廃棄物、資源の枯渇等、たくさんの地球規模の環境問題に直面するようにもなりました。
これらの問題は、過剰な生産、消費、廃棄の活動により、多くのかけがえのない自然環境が破壊され、自然生態系のバランスが壊れて生じている問題です。
深刻化する環境問題に対して、私達はどのように考え、行動していけばよいのでしょうか。
私達の暮らしを支えているのは、健全な自然生態系です。
生態系とは、土、水、大気、太陽の光、そして、そこで暮らす多くの野生生物、それらが複雑に関わり合って成り立っている自然の仕組みのことです。
この生態系こそが私達人間の生存基盤で、その存在なくして生存することは出来ません。
食べ物や飲み物、薬、エネルギー等全て、健全な生態系によって成り立っています。
健全な生態系があってはじめて、持続可能な社会づくりが可能となります。
私達世代の利益だけを追求するのではなく、持続可能な社会を構築し、子ども達、そして次の世代へと継承していく必要があります。
生物多様性保全の観点から、西欧諸国を中心に、国単位や国境を越えて、生物空間の保全への取り組みが見られるようになりました。
世界の動きを受けて、日本は、1993年5月に「生物の多様性に関する条約」に批准しました。
野生生物の保全のために鍵となる、大規模な自然保護地を作っていくという方法だけではなく、野生生物が生息・移動できるよう、ビオトープ(生物生息空間)が様々なところに整備されるようになってきました。
コンクリート護岸となった河川を自然に近い状態に戻したり、元々の河川を生かした蛇行する河川を復元すことで、河川及び周辺環境を取り戻そうとする取り組みもその一例です。
また、持続的な農業の実現に向けて、農薬に頼らない環境保全型農業の取り組みも模索され、支援もなされるようになってきました。
子どもから大人まで、住民参加の求められるビオトープ事業もあります。
このように自然環境を守り、復元しようとする動きが見られる一方で、日本では、それに逆行する動きも少なくありません。
有害性が問題視される有機リン系農薬の代わりに、1990年代から日本でも使われるようになったネオニコチノイド系農薬・殺虫剤を例に挙げてみましょう。
このネオニコチノイド系農薬・殺虫剤がミツバチ大量死の主要な原因ではないかと疑われるようになり、EU全域では、2013年12月から、ネオニコチノイド系農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用を一時的に禁止しました。
一方、日本では、現行のネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの残留基準値ですら、EUと比べて高い品目が多いのが現状であるにもかかわらず、クロチアニジンの食品への残留基準が緩められようとしているのが実態です。
近年、日本での遺伝子組み換え作物の承認数の多さ、食品の表示義務の緩さ等も、環境や人体への影響の観点から見ると残念な点でしょう。
今、自然と調和したまちを将来世代に手渡すことのできる社会づくりが求められています。
元環境NGO職員の一人として、自然環境を守ることと取り戻していくことの意義を少しでも伝えられたら幸いです。
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2011年10月~、夫の転勤で、タイのバンコクで暮らしています。
「taecoのバンコク日記」http://ameblo.jp/ta-eco/や「Food Decoration/フード・デコレーション/แกะสลัก」http://fooddecoration.blog.fc2.com/ を執筆。
学生時代&社会人時代は、国際的な開発・環境問題について学び、フィールドワークを通した調査研究等していました。主に、自然環境の再生や創造、環境教育についてが専門です。美しい自然や限りある大切な資源を未来の世代にも継承していくため、今後も、何らかの形で、情報発信や活動に関わることが出来ればと思っています。
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