プロピアニスト直伝!クラシック演奏会で使われる音楽・専門用語の解説 -シンフォニーとコンチェルトの違いは?-
こんにちは、ピアニストの小川瞳です。
わたしは常々、なるべく沢山の方にクラシックの演奏会を少しでも身近に感じて頂けたらな、と思っています。
演奏会と書くとちょっと堅苦しいかなと思い、コンサートと表現してみたりします。
演奏会、コンサート、ライブ、リサイタル…。さて、これら名称の差はどんな意味があるのでしょう。
今回は、音楽を聴く際によく耳にする呼称について説明していきます。
クラシックの場合、コンサートと演奏会は全く同じ意味、同じくらいの頻度で使われています。
これがポップスなどになると、コンサートとライブが同等になり、演奏会という表現はあまり使われません。
そしてロックなどでは圧倒的にライブという表現が多いことにお気づきでしょう。
さて、今回わたしが呼称について述べたくなったのは、リサイタルという表現があるからです。
リサイタルとは、ソロで行うコンサートのこと。
しかし例えばピアニストの場合、バンドやグループを組んでいるわけでもないのだから、普段からソロではないの?と思われるようなのです。
クラシックのコンサートは、楽器により形式が様々ですが、大きく3種に分けることができます。
- オーケストラのみ
- オーケストラとソリスト(ピアニスト、声楽家、バイオリニスト等)
- ソリストのみ
ソリストのみの場合でも、何人ものソリストによって演奏会が行われることもあります。
1人のソリストのみによって行われるコンサートを、クラシックではリサイタルと呼ぶのです。
他のジャンルだと、単独コンサート、単独ライブ、ワンマンライブなどの呼称になります。
それに対して、複数の奏者によって演奏会が行われる場合はジョイントコンサートと呼ばれることが多いです。
次に、ホールの名称についても少し触れていきましょう。
一流のホールは、大きくて立派な豪華な建物です。
客席の照明までシャンデリアだったり、日常生活からは全く切り離された世界になっています。
しかし、地方にはあまりそんな規模の会場はありません。
そこで一般的に利用されているのが、県民文化センターや市民会館等の建物。
そういった建物には大抵「大ホール」と「小ホール」があり、どちらも使われます。
小ホールよりさらに小さな会場として、コンサートサロンという空間があります。
こちらは演奏家との距離が短く、少しアットホームな雰囲気になったり、逆に会場全体が緊迫感に包まれたりと、独特な世界が作られる空間です。
全ての会場に言えることは、緻密な設計と選び抜かれた建築材により、素晴らしい音響環境が整っているということ。
壁も天井も、ホールの形も高さも、全て音響のために計算されつくしているのです。
なかなか普段は入ることのない空間かもしれませんが、日常とは違う空気を吸収できます。
先日「ゲネプロ」という言葉に関して、ご質問をいただきました。
ゲネプロとは、公演当日や前日など大変間近に行われる全体リハーサルのことです。
本番そっくりに行う練習なので、通し稽古という言い方もできます。
リハーサルにも同じ意味はあり、厳密に使い分けているわけではありませんが、私の感覚だとリハーサルの方が広い意味を含んでいると思います。
たとえばミスがあればその場で修正したり、その場の出来にこだわることなく、演奏する上で気になる点は納得がいくまで繰り返したりと、臨機応変に対応していく練習…それがリハーサルだと思います。
他によく質問されるのが、シンフォニー・コンチェルトという語の意味。
オーケストラと指揮者のみで演奏される音楽をシンフォニー、日本語では交響曲と言います。
そしてピアノやヴァイオリン、声楽などのソリストと、オーケストラと指揮者による音楽をコンチェルトと言うのです。日本語では協奏曲ですね。
つまり「ピアノコンチェルト第一番」と「ピアノ協奏曲第一番」は同じ作品を指します。
ちなみにシンフォニーはピアノなしで成立する音楽なので、ピアノシンフォニーという曲は存在しないのですよ。
クラシック音楽は日本でも古くから親しまれているため、多くの用語に日本語訳があります。
ワルツは円舞曲、マーチは行進曲、エチュードは練習曲、プレリュードは前奏曲、インテルメッツォは間奏曲、ラプソディーは狂詩曲、ノクターンは夜想曲…。
ご存じの言葉はありましたか?
日本語に置き換えるとイメージが湧きやすいですよね。
こういった言葉に慣れてくると、クラシック音楽との距離がぐっと縮まることでしょう。
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ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/
小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8
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