クラシック演奏会・コンサートのマナーその2 遅刻時や入退室・拍手・花束を送るタイミングなど

執筆者: 小川 瞳 職業:ピアニスト

こんにちは、ピアニストの小川瞳です。

どのような方でもクラシックの演奏会に対して特に構える必要はないのですが、少しでも様子が分かっていたほうが会場に入りやすいかもしれませんね。
そこで今回は、知っていると安心できるマナーを紹介します。

 

 

遅刻をしてしまったとき

まず遅刻してしまった場合のマナーです。
少し遅れて来場した場合は、一曲目が終わるのを待って入場することになります。
遅刻したら入場できないという決まりはありません。
しかし、開場に到着したらすぐに入場できるというわけでもないのです。

クラシックの演奏会では静寂さが最優先されます。
演奏中に扉の開閉をすることや、席を移動することなどは厳禁なのです。

そこで動いても許可されるのが、曲の切れ目というタイミング。
演奏会では何曲もの曲が演奏されますから、少し遅刻した場合は2曲め以降からでも入場できますし、演奏中でなければ演奏会の途中で会場を出ていくのも自由です。

 

 

咳やくしゃみなどが出そうなとき

演奏会では何よりも静寂さを守る必要があるので、咳をしないためにのど飴などを用意しておく方が多いです。
しかし飴の包み紙の音も、思いのほか響きます。
ホールは音の響きをよくする設計となっているので、普段なら気にならない音もとても目立ってしまうのです。
また会場内は飲食禁止ですので、本来ならのど飴も避けるべきです。

しかし体調がすぐれないときの症状は、誰も一緒。花粉症の方もおります。
実際にはくしゃみや咳をしてしまっても、のど飴の包み紙の音が響いても、周囲から白い目で見られるなんてことはないでしょう。
ただなるべくなら、一曲終わるまでは我慢をして、皆が拍手をしている時まで待つなど、出来る限り音を出さない配慮はしましょう。

 

 

他のお客様の声や音が気になったとき

もし周囲に、あまり演奏会に慣れていないお客様が多くおしゃべりが気になる時や、小さな子供が落ち着きなく動いていたりして演奏に集中しにくい場合には、拍手の時にこっそりと注意してもよいと思います。

演奏会に慣れていない方は、拍手のタイミングに戸惑うことが多いそうです。
クラシックの場合「演奏中に感動したら拍手する」という行為は認められていません。
演奏中は静けさも音楽の一部となり、演奏家がすべての音を支配しているので、客席から音を出してはいけないのです。

演奏が終わったら、惜しみなく拍手を送ることができます。
演奏家が楽器から離れてお辞儀をしたときが拍手をするタイミングです。

 

 

花束を渡したいとき

すべての演奏が終わったときに花束を演奏家に渡すお客様もいますが、これは会場や主催者の意思によって禁止される場合もあります。


その理由はやはり
花束を会場内に入れると、演奏中にもガサゴソという音がしてしまいがちなのです。
また花束からの湿気によって、ホールの音響状態が変わってしまう可能性も考えられます。

場内で花束贈呈が禁止される場合は、受付で預けることが可能です。
終演後、または花束等が届いた時点で、スタッフから演奏家に渡されますのでご安心ください。
あるいは、終演後ロビーに演奏家が来てサイン会などを行うこともあります。
その時に花束等を手渡すことも一般的には可能です。

 

 

さいごに

クラシックの演奏会特有の慣習はいくつかありますが、どれも常識的なことばかりです。
ぜひマナーを守りながら、自分のスタイルで演奏会を楽しんでみてくださいね。

 
 コラムニスト情報
小川 瞳
性別:女性  |   職業:ピアニスト

ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/

小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8