プロのピアニストになるためには?音楽家を育てる音楽学校(音大)の仕組み -受験科目の種類、学費費用など-

執筆者: 小川 瞳 職業:ピアニスト

こんにちは、ピアニストの小川瞳です。

 

今回は「ピアニストになるためには」というテーマについてお話します。
まずは私自身のことを振り返ってみたいと思います。

 

 

ピアニストになるまでの過程

私は、母がピアノ教師なので、物心が付いた時にはピアノを弾いて遊んでいました。

4歳から習い始め、幼稚園の時からコンクールに出て、色々な先生のレッスンを受けたり、セミナーに参加したりと貴重な経験を重ねてきました。

 

高校一年生の時、オーディションに合格して、演奏会でコンチェルトを弾き、それをきっかけにコンチェルトのレパートリーが増えました。

代役として急遽演奏させて頂くなど、演奏をする機会も増えたのです。

 

中学生の時から、ザルツブルクモーツァルテウム音楽院の教授をなさっている外国人の先生にも教えて頂いて、常に留学のお話を頂き続けており、海外での活動を身近に感じていました。


しかし、当時は既に様々な環境に恵まれていたので、私はそのまま演奏活動を続けていくことにしました。

 

現在の活動は

地元の文化振興財団に所属し、学校や歴史館、水族館など、公共施設での演奏機会も増えました。
また、音楽事務所に所属してからは、更に積極的に演奏活動を行えるようになりました。

コンクールの審査員をさせて頂いたり、クラシック音楽の曲目解説や、ピアノに関するコラムをいくつかのサイトで書かせて頂いたりと、最近では演奏以外の活動にも取り組んでいます。

 

音楽大学の現状

しかし、私のようなケースは珍しいようです。
かなり多くの方々から「なぜ音楽大学に行かないのか」と聞かれます。
今回の「ピアニストになるために」というテーマには、必要となる費用のことも含まれているので、音楽大学に行った場合のことを、私が知る限りでお話しします。

 

費用

音楽大学に通うためには、大変な費用がかかります。
学校によって費用が異なるので、具体的な金額は明記できません。
しかし、音楽大学はほとんどが私立ということもあり、入学金も授業料もかなりの高額です。

大体で360~800万程度は学費として必要な上、自宅でのレッスン設備や楽器のメンテナンスなどでさらに費用が掛かります。

国立は東京藝術大学のみで、公立大学としては、愛知県立芸術大学・京都市立芸術大学・沖縄県立芸術大学の三大学だけです。

これら国公立の大学へ進学し、奨学金を受け、さらに実家通いの場合は比較的費用を抑えることが出来るようです。


私立の音楽大学も地方にはあまりないので、多くの学生は下宿をする必要があります。

 

 

ちなみに音楽学部、音楽学科、音楽院と複数の呼び方がありますが、それぞれ学ぶ目的は違います。

音楽学部は主に芸術大学などに設置されている学部であり、音楽学科はその中に設置されている学科です。

 

 

音楽学科(おんがくがっか)は、大学の学科のひとつ。音楽学科では音楽全般について学ぶ。
基本的には国立大学の教育学部に設置されており、具体的には声楽やピアノ、管楽器、打楽器、音楽療法、作曲などの教育・研究を行っている。また大学によってはクラシック音楽だけでなくポピュラーミュージックを音楽学科で学ぶところもある。音楽学科で取得できる主な資格として音楽教員免許、音楽療法士などがある。(wikipedia引用)

 

 

 

 

音楽学部にはこの音楽学科のほか、以下のような学科もあります。

 

  • 音楽学科
  • 声楽学科
  • 器楽学科
  • 作曲学科
  • 演奏学科
  • 指揮学科

 

音楽院は、音楽の高等専門学校または専門学校として設置されている機関です。

 

進学中は

進学中は様々なコンクールへ出て実績を積んでいきます。

ピアニストへの道が開ける世界三大コンクール「ショパン国際ピアノコンクール」「チャイコフスキー国際コンクール」「エリザベート王妃国際音楽コンクール」などは、入賞するだけで知名度は一躍高まります。

 

 

試験内容は?

 

 

 

入学試験は主に以下の内容で構成されることが多いです。

 

専攻科目試験

 

 

 

一番大きな比率を占めます。演奏科の場合は課題曲が指定されることもあります。

 

聴音

 

 

 

旋律聴音と和声聴音のどちらか、あるいは両方です。

 

楽典

 

 

 

基礎的な音楽の理論を勉強しておくとよいでしょう。

 

和声課題

 

 

 

和声学の知識を学んでおきましょう。

 

新曲視唱

 

 

 

渡された楽譜を読み、視唱を行います。

 

副科ピアノ

 

 

 

殆どにおいて必須科目です。

 

 

その他

 

 

国語や英語の筆記試験があります。

 

ピアノを自宅におくことが理想

ピアノを学ぶ場合は、グランドピアノを自宅に置くことが理想です。
私は、ピアノのない家で生活をすることなど、想像すら出来ません。


ところが、東京でグランドピアノを置ける家を探すのも大変です。
また、いつでも弾けるように、防音設備を整えることも苦労をします。
ピアノは簡単には持ち運びが出来ないので、可能であれば実家と下宿先と両方に置きたいのですが、それも経済的にはかなり負担があると思います。

 

ピアノ留学の費用について

留学した場合は、私が頂いたお話では、日本の音楽大学より費用の負担を軽くすることが出来るということでした。


色々なケースがあるでしょうが、経済的には日本の音楽大学でも留学でも、あまり違いはないのかもしれません。

日本の音楽大学を卒業後、留学をする人もいます。

 

おわりに

多くの人は幼少のころからピアノを習い、その道のプロや著名な先生から個人レッスンを受けつつ音楽大学へと進学し、ピアノ科を専攻するパターンが多いかと思います。

 

各大学によって受験内容や学ぶ内容は異なりますので、目指す先の調査を念入りに行う必要があります。

同じ志望の人々が集まる場所や、音楽教師、場合によっては楽器を買ったお店など、様々なルートで出来る限りの情報を集めましょう。

 
 コラムニスト情報
小川 瞳
性別:女性  |   職業:ピアニスト

ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/

小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8