御葬儀の開式までに、深い悲しみの中で喪服の準備を行わなければなりません。
急なこととなりますと、何を準備して良いのか不安も大きくなると思います。
喪服をお召しになるには、腰紐や伊達締めなど、いくつかの着付け小物が必要となります。
着付師の立場から、喪服着用に必要なもののリストと大まかな着付けの流れをお伝えいたします。
- 喪服
- 長襦袢(白地で弔事用の紋様)
- 黒共帯(喪服用の黒い帯)
- 帯揚げ
- 帯締め
- 半衿(長襦袢に縫い付けておきます)
- 衿芯
- 腰紐・・・4~5本
- 伊達締め・・・2本
- 帯板(前板)
- お太鼓枕
- お太鼓枕用ガーゼ
- 足袋
- 和装ブラジャー
- 補整用タオル・・・2~3本
- 肌襦袢
- 裾除け
※またはワンピースタイプの肌着
- 草履(喪服用の黒い草履)
- バッグ(喪服用の黒いバッグ)
和装用の肌着は、「肌襦袢+裾除け」または「ワンピースタイプの肌着」を準備します。
ご準備できない場合は、肌襦袢の代わりに衿ぐりが大きめのTシャツやインナーを、裾よけの代わりにはペチコートや薄手のステテコでも代用できます。
肌着を身に着けましたら、茶筒の体型にするための補整としてウエストと腰にタオルを当てます。
補整用タオルを押さえるために腰紐を使用します。
衿下に補整が必要な場合は補整をします。
和装には和装専用のブラジャーを着用します。
洋装とは違い、胸元を強調しないように整える目的で使用する為、お胸の豊かな方は和装ブラジャーの着用をお勧めいたします。
お持ちでない場合は、お胸を潰すデザインのスポーツブラで代用できます。
長襦袢に袖を通し、衣紋は控えめに決めます。
衿合わせをし、アンダーバストより少し下あたりの位置に紐をかけます。
補整用タオルに紐がかかるようにしますと窮屈感が無くなります。
長襦袢の丈が長い場合にはもう1本の紐を使い丈の調整をします。
背中のシワを整えましたら、衿元が崩れないように伊達締めをかけます。
裾線(着物の丈)を床すれすれに決め、腰紐をかけます。
この紐は着物の着付けの要となりますので、少し窮屈に感じるくらいしっかりと掛けます。
ほとんどの場合、着上がるまでに窮屈さを忘れてしまいますが、着上がりでもきつく感じる場合は調整します。
おはしょりを下し、衿合わせに入ります。
半衿は控えめになるように衿を決め、お紐をかけます。
背中のシワを整えましたら、衿元が崩れないように伊達締めをかけます。
おはしょりの長さが長いようでしたら調整します。
胴に帯をふた巻きし、帯結びをします。
帯板は、ゴムベルトがついている場合は帯結びに入る前につけます。
ゴムベルトのついていない帯板は、胴に帯を巻き始めの時(ひと巻き目)、またはふた巻き目で帯板を差し込みます。
お太鼓の大きさは控え気味で、帯揚げは多くは覗かせない(見せない)ように整えます。
帯締めは房が上を向かないように整えます。
おはしょりを整え、胸の紋が綺麗に見えているかを確認します。
弔事の着付けで気をつけたいポイントをお伝えいたします。
- 半衿は、慶事ではお好みで広めに、弔事では控えめに出します。
- 帯揚げは、慶事は多めに見せ、弔事は控えめにします。
- 帯締めは、慶事は房を上向きに、弔事は下向きにします。
- 衣紋は、慶事では普通~やや抜き気味に、弔事では普通~やや控えめに決めます。
- お太鼓の大きさは、慶事では大きめに、弔事では控えめにします。
- お太鼓の高さは、慶事では高めに、弔事では低めにします。
- 着物の丈(裾線)は、慶弔いずれも床すれすれの長さに決めます。(礼装は長めにします)
喪服の着付けでは、着付け小物は白または黒色のセットをよく目にします。
出来れば白または黒色で揃えられると良いですが、既に着付け小物をお持ちで新しいものを用意することが困難な場合は、色にこだわる必要はないと考えています。
着付け小物のお色を知るのは、喪服をお召しのご本人様と着付けをされる方のみです。
喪服の着上がりでは、着付け小物のお色はどこにも影響いたしません。
全て見えないところに入ってしまいます。
急な御葬儀では、喪服の準備にお時間を取ることができないものです。
お手持ちの着付け小物で事足りるのであればお使いになられる方が、故人様も安堵されるのではないかと思います。
地域により考え方の違いもありますので、ご不安な方は、お住まいの地域で歴史ある呉服店などに確認されることをお勧めいたします。
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