それ、育児放棄かも。ネグレクトが子供に与える重大な悪影響 (1/2)

児童虐待の一種「ネグレクト」とは、育児放棄や育児放棄の意味を指します。ネグレクトの種類や原因、対策、虐待を受けた子供への影響など、解説します。

執筆者: 桜井 涼 職業:メンタルケア心理士、コラムニスト
「ネグレクト」が招く子どもの生活・情緒の危機

こんにちは、 メンタルケア心理士の桜井 涼です。

子どもへの虐待の中で、生活環境にダイレクトに響き、子どもの心を蝕んでいくのが「ネグレクト(養育の放棄又は怠慢)」です。

 

生活資金・子育ての知識が十分でも、虐待するケースもある

ネグレクトをする親・養育者には、「生活資金も、子育ての知識もあるのに、わざと行っているタイプ」と、「生活が苦しかったり、子育ての知識が薄かったりして、知らず知らずのうちに行っているタイプ」の2種類があるとされています。


どちらにしても、子どもの生活と心を守るために、大人が立ち上がらなければならない問題です。

 

 

ネグレクトの種類

ネグレクトとは、育児放棄や育児怠慢のことを言います。

言葉で言ってしまえば、四字熟語のように感じるかもしれません。

 

ですが、中身を知ると本当に胸が痛くなってしまうものばかりです。

 

一般的ネグレクト

衣食住に関する部分の配慮がない状態。

 

例:食事を与えない、洗濯をしない、健康的に住めない家の状況、など

 

教育的ネグレクト

義務教育であるにも関わらず学校に行かせない、教育全般に無関心。

 

例:給食費を払わない、学校に必要な物を買い与えない、登校させない、など

 

医療的ネグレスト

子どもが病気やケガをしても受診させない。

 

例:明らかに受診が必要な状態なのに、病院に連れて行かない

 

情緒的ネグレクト

子どもの要求や言動などに対して反応を示さない。

 

例:子どもの話を聞かない、愛情を示さない、目を合わせない、など

 

保健的ネグレクト

保健上必要なケアをさせない。

 

例:予防接種・定期検診などを受けさせない


この他にも、故意に食事に洗剤や毒物を混ぜて食べさせることや、遺棄することもネグレクトになります。

 

親には義務がある!

親(養育者)は、以下のような、子どもを守り育てる義務があります。

 

  • 衣食住をしっかりさせて健康に育てること
  • 危険や子どもに害となるものから守ること
  • 精神的に安心できるよう、情緒面での配慮(愛情を注ぎ、安心感を与えるなど)をすること
  • 道徳観念や倫理観といった、大人になるために必要なことを教え導くこと


これらは、日本国憲法や児童福祉法によって与えられている子どもの権利であり、親の義務です。

 

 

ネグレクトを受けた子どもは…

ネグレクトを受けた子どもたちは、口では何も言いません。

ですが、心の中でこう思っています。

 

  • 「僕(私)が悪いから、洗濯してもらえないんだ」
  • 「僕(私)が悪い子だから、ご飯を我慢しないといけない」

 

いつも自分を責める

親にどんなに酷いことをされても、子どもはいつも「僕(私)が悪いから…」と考えてしまいます。

自分の親のことを、心から嫌いな子どもなんていない、ということです。

実際に子どもが悪いことをして、「ご飯はなし!」となることもあるでしょう。

とは言っても、本当に食事を抜かさなければならない理由にはなりません。

 

少しの時間我慢をさせたら、親の方から「なぜ怒られたのか」を子どもに話すことが大切です。

理解させて二度とさせない方向に導くのが、親の役目ではないでしょうか。

 

ネグレクトによって、心の傷が深くなった子どもの様子

このようなことが続くと、心の傷は深くなっていきます。
常にオドオドした状態であったり、無表情や無感動になったりします。

 

また、年齢が高くなると、万引きや嘘をついたり、精神不安や落ち着きがなくなったりという動きが見られるようになります。

さらに発達障害になる子どももいるのです。

 

食事を与えられていない子の場合、回りに目を配りながら、がつがつとむさぼり食べるようになります。

周囲を気にするのは、取られるのではないかという気持ちが働くためだと考えられます。

 

背景にある、生活環境の問題

ネグレクトの背景には、生活環境が大きく関わっています。

親の状態が不安定である場合、そのしわ寄せが子どもに向けられるためだと私は思っています。

 

原因となる背景を見てみるとわかります。

貧困

低所得なため、経済的不安などから、子どもにまで目がいかなくなってしまいます。

また、もちろん全てではなく一部ではありますが、父子家庭や母子家庭で育てている場合も、この傾向にあることが分かっています。

 

精神疾患

親(養育者)が精神疾患を患っている場合、どうしても子どもを見ていません。

心の中にある何らかの不安や恐怖などが、他のことを遮断してしまうために起こります。

アルコールや薬物など、依存性の高いもの

不安などから逃れるためや、自分の快楽を優先してしまった場合、子どものことが見えなくなってしまいます。

この場合、身体的虐待などが加わっていることがあります。

 
 コラムニスト情報
桜井 涼
性別:女性  |   職業:メンタルケア心理士、コラムニスト

元学習塾講師。妊娠出産のハプニングを乗り越え、現在は2児の母。
その頃より子どもの心の動きや医療に関係することに興味を持つ。

2009年より文筆家として活動。
子どもの心に関するコラム、子どもの心が正常に育つために夫婦へのアドバイス、子どもの病気関係を取材しコラムを執筆中。
心の闇を抱える子どもへの取材や心理学を学び、2016年「メンタルケア心理士」資格を取得。

ブログ『フリーライター桜井涼のたなごころ』
http://ameblo.jp/miehime0617/

 

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