演奏中、ピアノに集中できない!「弾きながら他のことを考えてしまう」のはNGなの?
「ピアノを弾きながら、他のことを考えてもよいのか」という疑問に、プロのピアニストがズバリと回答!「どうしてもピアノに集中できない」と悩んでいる人にもアドバイスを送ります。
こんにちは。ピアニストの小川瞳です。
先日、恩田陸著「蜜蜂と遠雷」をお読みになった方から、「ピアニストはピアノを弾きながら、あんなに他のことを考えているものなんですか?」というご質問をいただきました。
そこで今回は、「ピアノを弾きながら、他のことを考えてもよいか」ということについて、わたしの考えをお話ししたいと思います。
まずその質問をいただいたとき、近くには声楽家がいらして、彼女と一緒に「弾きながら(歌いながら)いろいろと考えます」と肯定のお返事をしました。
例えば、弾きながら、
「このピアノの特性を考えて、次は軽く弾こう」とか、「このホールは響きがよいから、ペダルを減らそう」などという、ピアノに直接まつわることなら、当たり前に考えます。
「やっぱりこの曲はいい曲だな」とか、「この曲でショパンは悲しみを表現しているから…」などといった感情も、いだいて当然と思います。
ですが、ここでの質問の意味は、「音楽とは関係ないことを考えるかどうか」であって、それもやはり、答えは「イエス」だと思います。
なんとなくお客さまの雰囲気を感じとっていたり、照明が暑いなぁと思っていたり(笑)
ですが、それは、深い考え事ではありませんし、その場の空気によって引き寄せられる感情なので、ステージの後まで記憶に残っているような考え事ではないのです。
子供のころは「手が震えてる!」「足も震えてる!」などから始まり、「ここは先生にこういう注意をされたから気をつけなきゃ」「この次に難しいフレーズがあるから意識しよう」なんていう気持ちもあったような気もしますが、最近では、もっと他のことを考えているように思います。
それはそれで、自然なことではないでしょうか。
例えばフジ子・ヘミングは、「ピアノを弾きながら、お金の勘定をすることもある」そうです。
それだけ、ピアニストにとってピアノを弾くことは、日常的であり、構える必要のない行為なのでしょう。
「自分はどうしてもピアノに集中できない、どうすればいいでしょうか」という質問をいただくこともあります。
それは、意識では変えられないものだと思うので、「集中しなくても弾けるレベルにまで、練習を重ねるとよいと思います」と、わたしはお答えします。
ピアノの演奏には、いろいろな形があります。
例えば、バイオリンや声楽の伴奏をしている場合、「ピアノを弾く」だけに集中するわけにはいかず、バイオリンや歌をよく聞いて、相手が、次どのような演奏をするか、を考えながら弾かなければいけません。
また、ピアノでの仕事となると、ショーや結婚式での演奏なども含まれます。
そういったBGMのようは役割をする場合は、意識のほとんどを、会の進行に向けて、この曲はあとどのくらい弾くべきか、次の曲は何にしようか、などといった計画を立てながら、演奏することが求められます。
ですから、もし、ピアノに集中できず悩んでる場合、無理やり集中しようもは思わずに、違う角度から考えてみるとよいかもしれませんね。
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ピアニストとして東京や茨城を中心に、ソロの演奏会やオーケストラとの共演など、数多くの演奏活動を行っております。
音楽心理士の資格も持ち、トークコンサートやコンクールの審査員もつとめております。
また長年に渡り執筆活動も並行して行っており、小説を3作品出版しております。
こちらのサイトでは、幼少時よりピアノを学び続け、クラシック音楽の世界に身を置く私ならではのコラムを執筆できたら、と思います。
よろしくお願い致します。
小川瞳 公式ホームページ https://ogawahitomi.amebaownd.com/
小川瞳作曲 笑顔のBGM
https://youtu.be/Qrt-stZPTb8
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