職場でのコーチングの取り入れ方!スキルを適用したら、人間関係がギクシャクし始めたのはどうして?
管理職が学んだコーチングのスキル。実際に職場内コミュニケーションに取り入れてみると、上手くいかないケースが起こるのはなぜ?スキルの誤用や乱用、強制誘導など、上司がやってしまいがちな例を紹介。
こんにちは、ライフコーチの牧原悠心です。
みなさんは、コーチングの知識を学んだことがありますか?
最近では、幅広い分野で活用されているコーチングですが、そもそもイギリスで、ある学生が受験勉強のために指導者(コーチ)を雇ったのが始まりです。
これが後にスポーツ界や企業でも効果が注目され、業績向上をサポートするためのツールとして広まり、今では個人の悩み解決にも利用されるようになりました。
企業がコーチングを取り入れる場合、「経営陣が経営戦略のために用いるもの」と「従業員が職場の業務効率向上のために用いるもの」に大きく分かれますが、「職場のコミュニケーション環境改善」にも役立てられています。
この職場のコミュニケーション環境改善を目的とした場合、セミナー講師としてコーチを招いて研修を行い、知識を共有して応用するほか、管理職が外部でコーチングのレクチャーを受け、その知識を社内に持ち帰って部下に対して応用することが多いようです。
なんだか上手くいかない…。かえってギクシャクする…。
管理職がそんなふうにして学んだコーチングのスキルですが、実際に普段の職場内コミュニケーションに取り入れてみると、何だか上手くいかないと感じることが少なくありません。
じつは、安易にコーチングを取り入れようとすると、かえって職場のあり方に歪みが生じることがあるので注意が必要なのです。
ある程度慣れたつもりなのに効果を感じられない、かえってギクシャクするようになったようだと感じるなら、コーチングの位置づけを間違えているのかもしれません。
たとえば、コーチングでは、できなかった理由を聞くのに「なぜ?」を用いて質問しないのが通常です。
理由は、「なぜしなかった/できなかった?」の質問方法は、できなかったことを責めるニュアンスがあるためです。
このスキルを応用(誤用)して、会社や会議に遅刻したような人にも「“なぜ”遅刻した?」と聞くのは良くないという人がいます。
その理由は、「なぜ?」の聞き方は、「あなたは悪い事をしたという感情を抱かせるから」、また「そう聞かれた人は仕事の効率が落ちてしまうから」というものです。
しかし、よく考えてみてください。
遅刻は常識的にダメなことです。
このようなケースに、コーチングのスキルを応用すべきではありません。
これは、コーチングスキルを優先してしまっている状況です。
また、コーチングでは、目標設定を重要視します。
たとえば、職場において共同で業務目標を設定するとき、目標設定のスキルを中途半端に学んだ上司が、そのスキルを使って部下に自分の思い通りの答えや理想を言わせてしまうおそれがあります。
じつは、コーチングは人を操作できる要素があるので(本当はやってはいけませんが)、潜在的な優越感などからスキルを必要以上に使ってしまうことがあります。
この場合、強制誘導に上司自身も気づいていないケースもあります。
このようなスキルの乱用は、人間関係がギクシャクするようになりますし、会社の業務そのものも歪みを生じていくことになります。
合わせる方向が逆!職場をコーチングに合わせようとしてはいけない。
このように、間違いとして起こりやすいのが、“職場をコーチングに合わせようとしてしまう”ことです。
合わせる方向が「逆」なのです。
コーチングスキルに職場のあり方を合わせるのではなく、職場のあり方にコーチングスキルを合わせなければいけません。
コーチングのスキルを意識するあまり、いつの間にか「このやり方、この言葉の使い方はコーチングに合っていないな…」という主従の逆転現象が起きるのです。
これは、コーチングに限らず、業務改善のためのスキルや知識を外部から取り入れる場合に起こりやすくなります。
人は、外から入ってくるものは新鮮に感じ、また、新しいものが正しいと思い込む傾向にあるため、意識や気持ちがそちらに乗ってしまいがちです。
しかし、こういったことを基準に考えてしまうと、職場が本来向かうべき方向に向かうことができなくなります。
職場がコーチングのためにあるわけではありませんから、当然のことでしょう。
そして何よりも言葉の端々を過剰に気にするようになったり、スキルを上手く使えないと感じたりすると、スキルを使う側が悩んでしまうことにもなりかねません。
これでは、せっかくのツールを活かすことはできないのです。
まず、これを思い返してください。
そうすることで、何が主体であるかが認識され、ツールの意味とその取り入れ方が自然と分かるようになります。
そして、もう1つ、あなたがコーチングのプロフェッショナルでないことを意識してみてください。
そうすることで、必要以上に構えず、リラックスしてスキルに慣れていくことができます。
このように意識すると、主体である業務をコーチングスキルで補完するという関係になり、コーチングが上手く機能し、本来の目的である業務改善につながっていくでしょう。
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牧原 悠心(まきはら ゆうしん)
ライフコーチ
大手組織での職務経験後、新入社員研修に長く携わり、指導スキルを得るとともに人の成長をサポートすることの素晴らしさを体感。
在職中にコーチンと出会い、その素晴らしさをもっと多くの人に広めたいとの思いから、コーチとしての活動を開始。
コンプレックスや仕事力の改善、共存に視点を置いた人間関係の構築などをテーマとし、主に会社で働くサラリーマンや男性を対象にコーチングを行う。
セッションでは、人の変化の自然法則である「スモールステップ」を重視。
ブログ → https://ameblo.jp/bractage-blog/
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