飛行機はなぜ衝突しないの?飛行機好きのため「航空管制」のお話
飛行機同士がぶつからないのはなぜ?実は空にも道があります!空の安全を守る「航空管制」について紹介。空のカーナビや、日本の空が「フクオカ」と呼ばれる理由など、飛行機好きなら知っておきたい豆知識も。
寒くなってきて空を見上げると、何本もの飛行機雲が見える季節になります。
しかも飛行機雲は一定方向でなく、あらゆる方向に交差していますね。
車や鉄道とは違い、空には道はないのに、よくぶつからないな?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、飛行機の運航についてのお話です。
全世界では、年間約3千万便の飛行機が飛んでいます。
日本国内だけでも年間約65万便が飛び交っており、その利用者は1億人以上に上ります。
これは、日本の全人口が1年に1回は飛行機に乗っているという計算になります。
日本の空1日だけでも、約1,800機の飛行機が行きかっています。
ものすごい数ですよね。
ふと空を見上げると、下の写真のような飛行機の姿を見かけますね。
「空にも道があるって言われても、見えないけど…」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
海には「航路」と呼ばれる船舶専用の道がありますよね。
こちらは地図にも表記されています。
空も同じで、「航空路」と呼ばれる空の道があります。
当然目に見えるものではありませんが、航空機用無線標識と呼ばれる施設や、地点名(ウェイポイント)と呼ばれる地理上の位置の間を結んでいます。
このような空の道を、航空路(エンルート)と呼びます。
日本国内の航空路(出典:国土交通省HPより)
空港から離陸する飛行機、着陸する飛行機、滑走路へ向かう飛行機、ターミナルへ向かう飛行機、これらをよく観察してみると規則正しい動きをしていることがわかります。
飛行機は、航空管制の指示に従い、飛んだり、動いたりしています。
もし、航空管制という機能が無く、飛行機が自由に飛んでたら、空は大変なことになりますよね。
この、飛行中の飛行機や空港にいる飛行機に対し、交通整理を行うのが、「航空交通管制(航空管制)」です。
航空管制の指示無しでは、飛行機は一歩たりとも動くことはできません。
飛行機は管制の指示なしでは、一歩たりとも動くことはできないとご説明しました。
では、実際の運航で、出発から着陸までどのような管制が行われているか、簡単に見ていきましょう。
大まかな流れは、飛行場管制 ⇒ 出発管制 ⇒ 航空路管制 ⇒ 進入管制 ⇒ 飛行場管制となります。
さらに細分化すると、次のようになります。
1. 出発承認(デリバリー):目的空港まで飛行するためのフライトプランと呼ばれる飛行計画書を承認します。
2. 地上管制(グラウンド):飛行機のターミナルゲートから、滑走路手前までの移動許可を出します。
3. ローカルコントロール(タワー):飛行機の離陸許可を出します。
4. 出発管制(ディパーチャー):離陸した飛行機を航空路まで誘導します。
5. 航空路管制(コントロール、センター):航空路を飛ぶ飛行機の誘導・交通整理を行います。
6. 進入管制(アプローチ):航空路から空港へ向かう飛行機を誘導します。
7. ローカルコントロール(タワー):飛行機の着陸を許可します。
8. 地上管制(グランド):着陸した飛行機を搭乗ゲートまで移動する許可を出します。
車や電車は、すれ違うとき、横方向で対面交差しますね。
では、飛行機はどうでしょうか?
車や電車のように横方向の対面交差でしょうか?
たまに自分の乗った飛行機から逆方向へ飛ぶ飛行機を見たことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、そのとき真横を飛んでいましたか?
飛行機の場合、高度差で対面交差を行います。
そのため、西行きの便(180° ~ 359°方向)と、東行きの便(0° ~ 359°方向)では飛ぶ高度が違うのです。
つまり、航空路は、安全のため立体交差のようになっているんですね。
飛行機は、無線標識やウェイトポイントを結んだ航空路上を飛行します。
目的空港までなるべく直線上を飛行すると、飛行時間の短縮になりますよね。
車の場合、なるべく近い道を通って目的地へ向かいたいときには、カーナビが活躍しますが、実は、空の世界にもカーナビのようなものがあります。
RNAV(Area NAVigation)という航法で、現在主流となっています。
RNAV(広域航法)は、航空保安無線施設や自蔵航法機器を利用して自機の位置を算出し、任意の経路を飛行する航法です。
上の図をご覧ください。
これまでの航空路は、航空保安無線施設相互を結んで構成されているため、折れ線構造となるケースが多々あります。
一方、RNAV経路は、無線施設の覆域内において任意の地点をほぼ直線で結ぶ構造になっています。
したがって、RNAV経路の設定により、幹線経路の混雑緩和、複線化を図ることが可能になります。
日本国内のRNAV航空路(出典:国土交通省HPより)
世界中の空で飛行機が安全・円滑に航行できるよう、国際民間航空機関 (ICAO)に加盟している国々が、航空交通業務を分担して提供しています。
担当する国ごとに分割されたその空域を「飛行情報区(FIR)」と言います。
なお、それぞれの空域を担当するのが、「航空交通管理センター」と呼ばれる施設です。
日本の場合は、この航空交通管理センターが福岡にあるため、「福岡飛行情報区(福岡FIR)」と呼びます。
このため、外資系エアラインのパイロットから、日本の空は「フクオカ」と呼ばれています。
飛行情報区は、領空とは関係なく地理的条件で決められるため、国の名前ではなく、航空交通管理センターの名が付けられているのです。
福岡飛行情報区の担当範囲(出典:国土交通省HPより)
飛行機は、出発空港から到着空港まで、つねに航空管制のサポートを得て飛んでいます。
私たちが安全に飛行機に乗ることができるのも、航空管制のおかげなのです。
今度搭乗する際は、常に空の安全を見守ってくれている航空管制のことを思い出していただければ幸いです。
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