母乳育児じゃなきゃダメ?産後のママたちを苦しめる母乳神話
赤ちゃんが生まれたら、母乳で育てたいというママは多いと思います。病院からも毎日のように母乳育児の良さとミルクの害を教育され、産後休む間もなく母乳育児に奮闘することになります。筆者も、産後は自然に母乳が湧いてきて赤ちゃんがゴクゴク飲んでくれるはずだと、無邪気に信じていました。
ところが、産後予想外のことが起こりました。おっぱいをあげてもあげても赤ちゃんが泣きやまないのです。母乳がほとんど出ていないのだと分かりました。病院のスタッフに相談しても、「今ミルクを足してしまうと赤ちゃんが母乳を飲まなくなって出るものも出なくなってしまう」と言われ、それでは困ると一晩中乳首をくわえさせました。お腹がすいた赤ちゃんが泣きやむこともなく、明け方泣き疲れて眠ってしまうまでそれは続きました。次の日も同じことが続き、産後の疲れもとれないうちに今度は母乳育児の疲れでヘトヘトになり、精神的に追い詰められていきました。特に夜になると赤ちゃんが激しく泣くので、夜がきて赤ちゃんと二人きりになるのが怖くてたまらないという状態になりました。
確かに母乳育児はメリットが大きいようです。産後1週間以内に出る初乳には免疫物質が含まれていて、赤ちゃんを病気やアレルギーから守ります。また、母乳は消化が良く、赤ちゃんに負担をかけません。ママにとっても、子宮の回復を早め、産後ダイエットの効果がある、と良いことづくめです。しかし、それは最初から母乳がどんどん出るママたちにとってのメリットであり、実際には母乳が出ない、出ても少量で不足しているママたちも決して少なくありません。それなのに、「吸わせれば出るのにミルクを足すなんて怠慢だ」とか「母乳で育った子は辛抱強い」とか、もはや母乳信仰ともいえるような非科学的な指摘によって母乳ノイローゼにまで追い詰められるママたちもいます。
筆者も産後1~2か月くらいの間は「母乳でなければ」と思っていました。しかし、ある日ミルクを足して赤ちゃんがお腹いっぱいになった時に浮かべた満足の表情を見て、母乳が絶対じゃないんだと思いました。それまでずっとしかめっ面で泣いてばかりいた赤ちゃんが、ご機嫌になりスヤスヤ眠るのです。以来つきものが落ちたように気が楽になり、母乳とミルク混合で育児を楽しんでいます。ミルクも飲んでくれるので、預かってもらうこともできるし、卒乳も苦にならなさそう。そしてなにより、元気で笑顔いっぱいに育っています。大切なことは、ママがいつも笑顔でいられること、育児を楽しめることではないでしょうか。母乳育児がつらいなと感じたら、いつでもミルクに頼って良いのです。
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