可愛い北欧のニットデザイン!スウェーデンに伝わる編み込み模様の特徴
針と糸だけで作品を創り出す編み物。
一色の糸で編めば無地の作品になりますが、様々な色の糸を使って、絵を描くように模様を編むこともできます。
今日はその編み込み模様、特にスウェーデンに古くから伝わる伝統模様についてご紹介します。
スウェーデンは日本の都道府県のように地域が分かれていて、その地方に古くから伝わる伝統模様が多く残っています。
代表的な3つの地域の、伝統模様の特徴を覗いてみましょう。
ストックホルムから南へ位置し、バルト海に浮かぶ島ゴットランド。この島は薔薇と羊の島と言われ、自然がいっぱいの島です。
そんなゴットランドに残る伝統模様は、家々の壁につたうツタや薔薇、クローバーや森に自生するリンゴンベリーなど、自然をモチーフにしたものが多く見られます。
例えば薔薇と一言で言っても、つぼみであったり満開の薔薇の花であったりと、そのバラエティは豊富。
身近で分かりやすい模様は編んでいてもとても楽しく、ひとつの絵柄が小さめのものが多いので、ミトンなど小さな作品にも活かすことができます。
スウェーデン南西部に位置するハッランドでは、男性も女性も、大人も子供も皆、お金を稼ぐ方法として編み物をしていました。つまり編み物が産業として栄えた地域です。
生産性を高めるために早く多くの作品を編むことが重要なので、1段に使う色も2色までとし、編む人たちが覚えやすいよう、あまり難しくない単純な連続模様が多くみられます。
単純な模様とはいえ、デザインに手を抜いているわけではなく、可愛い模様も沢山あります。
例えば小鳥の模様。
この模様も連続で編まれるため、その可愛さは倍増です。
スウェーデン北部に位置するヘルシングランドでは麻が栽培されていたため、その麻を使った織り物が生産されていました。
織り物の模様は大きな模様が多く、その影響を受け、ヘルシングランドの伝統模様はおおぶりの模様が多く見られます。
特に有名なデルスボーセーターは民族衣装として着用され、今でもお土産屋さんのポストカードなどでも、そのデザインを見ることができます。
大きな模様が施されたセーターはとても個性的で、色合いは赤を貴重としとても鮮やか。これぞ民族衣装という印象です。
このように地域ごとに個性を持った伝統模様は、異なるデザインのものがほとんどです。
しかし、例えばゴットランドでもハッランドでも伝統模様として記録されている、デザインが全く同じ模様、というものもあります。
この模様を使った作品がゴットランドで編まれ、それがハッランドに渡ることによって、作品とともに模様もハッランドに伝わっていったと考えられています。
これは編み物作品が行き来することによって模様のデザインが伝わっていたということ、つまり交易が行われていたということを物語っています。
伝統模様を通じて、その土地の風土や社会の状況、歴史を感じることができる。
そんな面白さも、伝統模様は秘めているのです。
伝統模様は、編む際に使用していた糸の色も大体決まっていました。
よく使われたのは赤と白、そして黒。そこに地域によっては緑も加わります。
伝統色で編む伝統模様は、トラディショナルな雰囲気を持ちとても素敵ですが、今、伝統模様を作品に活かすのであれば、伝統色にとらわれる必要はありません。
自分で好きな色の組み合わせを選ぶ。同じ模様でも色が違うと全く雰囲気が変わるので驚きます。
この色には何色が合うかなあ、と迷う時間もとても楽しいものです。
オリジナルの色合いで、スウェーデンの風土、模様の歴史を感じながら編む伝統模様。
次々と浮き出てくる可愛い模様に、もう編む手を止めることは出来なくなりそう!
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