認知症800万人時代!脳神経外科医が語る、原因・治療・予防方法
こんにちは、脳神経外科医師の平山貴久です。
鹿児島で、コウノメソッド(医師・河野和彦氏が考案、実践している認知症治療法)を用いた認知症診療を行っています。
今回は、認知症の原因や治療法、予防法についてお話しします。
ある年齢までは問題なく社会生活を送れていた方が、徐々に記憶力や遂行能力が低下し、介護を要するようになっていく病気、それが認知症です。
通常は、高齢者の病気のイメージですが、65歳未満で発症した「若年性認知症」の場合は、より早期からの対応が必要です。
認知症の種類も様々ありますが、例えば、アルツハイマー型認知症の場合「アミロイドβとtau蛋白」が脳に沈着し、ある閾値(いきち:境目となる値)を超えると発症する、と言われています。
その助走期間は約20年とも言われています。
なぜ、これらの物質が沈着するのかについてはよく分かっていません。
同様に、レビー小体型認知症という認知症の場合には「レビー小体」という物質が脳に沈着しますが、その原因はやはり詳しく分かっていないのです。
現在、「抗認知症薬」と呼ばれる薬は4種類。
これらは主に、認知症の「中核症状」と言われる、記憶障害や遂行能力低下などに対する薬です。
また、認知症には「周辺症状」と言われる症状があります。
例えば、怒りっぽくなったり、暴力的になったりなどですが、これらの症状に対しては、少量の「抗精神病薬」と言われる薬で対応せざるを得ない場合もあります。
これらが「薬物療法」と呼ばれる治療法で、その他「非薬物療法」と呼ばれる、例えば「音楽療法」や「回想療法」といった、情緒に働きかける治療法もあります。
治療では、これらの方法を組み合わせて対応しますが、残念ながら認知症発症前に戻すような画期的な治療法は存在しません。
病気の進行以外に年齢の影響も加わっているため、怪我を治す様にはいかないのが現状です。
完璧な予防方法はありません。
しかし、認知症になるリスクを下げるためにできることは、いくつかあります。
脳が傷つく程の頭部打撲で、約60%認知症のリスクが高まるという研究データがあります。
高血圧症、脂質異常症、糖尿病などがあると、認知症のリスクは数倍高まると言われています。
日常の食生活の中で特に気を付けるべきなのは、過剰な糖質摂取です。
適切な糖質制限は、糖尿病、高血圧症や脂質異常症の予防にもなり、さらに、三大生活習慣病(がん、心筋梗塞、脳卒中)、認知症の予防にも繋がります。
日常生活では、適切な糖質制限を意識したいものです。
認知症800万人時代、と言われる現代。
認知症に関する適切な知識の共有が、これまでにも増して必要になってきました。
今後は、認知症に関する具体的な治療例なども紹介していく予定です。
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