パニック障害を悪化させる原因は「過剰な予期不安」。症状を抑える3つの対処法
パニック障害は、気持ちの問題と捉えられがちです。
しかし、実際には、脳の神経の機能に異常が起きており、医学的治療を必要とする病気です。
今や、100人に1人はパニック障害になると言われている程、誰にでも発症し得るものなのです。
パニック障害は、3つの段階的症状に分けられます。
まず、突然の動悸や呼吸困難、発汗、めまいなどの身体への症状と共に、死への恐怖で激しい不安と恐怖に襲われます。
これが「パニック発作」です。
大抵は、10分~1時間くらいで収まるとされています。
予期不安
パニック発作を何度か繰り返し起こすことで、益々、恐怖感と不安感を抱くようになります。
これを「予期不安」と言います。
予期不安により、多くの人が集まるような場所で発作を起こすことへの恐怖が生まれます。
そして、そういった場所を避けるようになるのが「広場恐怖」です。
上記の3症状は、悪循環となってパニック障害を悪化させ、病院に担ぎ込まれるような事態にもなりかねません。
人前に出ることを避けるうちに、電車などの公共交通機関を利用できない、病院や美容院に行けないなど、日常生活に支障をきたすようになります。
きちんと治療をせず、症状が進行してしまうと、パニック障害からうつ病を併発することがあります。
進行したパニック障害の治療には、医師による薬物投与や心理療法等が必要になります。
しかし、まずは、症状が進行するのを防ぐために、発作を繰り返し起こさないようにしましょう。
前述した「予期不安」がパニック障害を引き起こす一番の原因です。
強度のストレス、事故や災害を目にしたショックなど、初めにパニック発作を起こすきっかけは様々です。
しかし、2度目以降は、パニック発作を起こすこと自体に恐怖を感じ、パニックになります。
発作の予兆に気付いたら…
発作を起こす前に予兆があるはずですから、その予兆の段階で、呼吸法で落ち着くという方法があります。
パニック発作が起きると、自律神経が大きく乱れます。
その乱れを落ち着かせるのが、呼吸法なのです。
発作の予兆が息苦しさから始まる場合、発作を起こすまでのメカニズムと有効な対処法をご紹介します。
- 息ができない、吸えないと感じる→必死で空気を吸いこもうとする
- 吸いこもうと必死になる→息を吐くことを忘れてしまう
- 息を吐かず、吸い込む一方→空気は入ってこないため、益々息苦しくなる
- 息ができない恐怖に襲われる→動悸が始まりパニック発作へと発展
息苦しいという予兆が起こったら、まず、息を大きく吐くことが重要です。
肺で息をする胸式呼吸と異なり、腹式呼吸は、自律神経を整えて精神を安定させる効果があります。
- お腹を凹まして、肺にある全ての空気を出し切るように、ゆっくりと口から息を吐く。
- 息を吐き切り、お腹の力を抜くと、自然と空気を吸い込みます。
- 鼻から空気をゆっくりと吸います。
- その後、1の手順に戻り、繰り返します。
この呼吸法を、落ち着くまで何度も繰り返しましょう。
対処法2 自分を客観視する
呼吸法と共に、自分に起こりかけていることを客観的に見て、頭でちゃんと理解できる姿勢も必要になります。
「また発作か起こりそうだ」と思うと発作が起きる悪循環を、「この呼吸法をやれば発作は起きない」という発作防止のパターンに変えていきましょう。
一度発作を上手く回避できると、徐々に自信がつき、予期不安の恐怖も和らいでいくはずです。
手のひらにある「手心(しゅしん)」というツボを、不安な時に押してみましょう。
拳をグーで握ったとき、薬指が当たる部分です。
押すと軽く心地よい鈍痛が感じられる場所が「手心」です。
イライラや不安を解消する効果があります。
どのような病気にも言えることですが、重症化してからでは、治すまでに時間が掛かってしまいます。
特に精神疾患の治療には、かなりの時間を要します。
しかし、重症化しない対処法を心得ておくだけで、苦しみから解放されるまでの時間が短くなることでしょう。
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