温室で写真撮影。冬や雨の日の撮影スポットにおすすめ!

温室でお花を撮る。温室で撮影を行う時の注意点や、三脚なしで手ブレを防ぐ方法、背景の撮影テクニックなどをマクログラファーがご案内します。

執筆者: クニ・ヒロ 職業:マクログラファー
温室での撮影について

こんにちは、マクログラファーのクニ・ヒロです。

寒い冬。
あまりに寒さが厳しいと、撮影に出かけるのも億劫になりますよね。


冬は花もあまりないし、寒いし、撮影は春までお休みしようかな、なんて思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。

こんな季節こそ、温室へ行ってみませんか?

 

寒い冬でも、温室内はお花がいっぱい!

温室は、室内の温度が適度に保たれていて、一年中いろいろな花が咲いています。
珍しい花も見ることができて、寒さを避けるのにも、もってこい。


そんな素敵な場所なのです。

撮影のために温室に入る時の注意点
レンズの曇り & 結露対策を!

まず注意していただきたいこと。


寒い野外からカメラをぶら下げたまま暖かい温室に入ると、温度差でレンズが曇ってしまいます。
そうすると、曇りが取れるまで撮影することができません。


しかもこの曇り、なかなか簡単には取れないんですよね。
レンズやカメラの中に湿気が入ると、カビや故障の原因になるので、できるだけ避けたいところです。

 

ですので、温室に入る時はカメラを服の下に隠したり、カメラバッグに入れてください。
そうしてしばらく温室内の空気になじませてから取り出すようにしましょう。

 

温度調節のできる、脱ぎ着しやすい服装で

また、温室内は蒸し暑いことも多いので、厚着は大敵です。
こまめに脱ぎ着して、温度調整できるようにしましょう。

機材は、できるだけコンパクトに

温室内の通路は、あまり広くない場合が多いです。

大きな荷物を持っていくと、他のお客さんの迷惑にもなりかねません。

 

機材は、できるだけコンパクトにまとめたいところです。

 

三脚なしで手ぶれを防ぐ方法

温室内は少し暗いので、どうしても手ぶれしやすくなります。
かといって、温室内での三脚使用を禁止している施設もありますし、そうでなくても、狭い場所で三脚を拡げるのは気が引けますよね。

 

「手ぶれ補正機能」が搭載されていたら使用する

そんな時、カメラやレンズに手ぶれ補正機能が付いていると助かります。

 

ISO感度を上げてシャッター速度を速める

あるいは、ISO感度を800ぐらいまで上げて、シャッタースピードを稼ぐのも一つの方法です。
本来なら、花撮影では低感度で撮ることが基本です。


ですが、多少画質が落ちても、ブレずにしっかり写っていることの方が大事だと思いませんか。

温室内で背景をどう活かして撮るか?

温室では野外の撮影と比べて、背景処理に困ることが多いかもしれません。
被写体と背景の距離が近かったり、人工物が入り込んだりしやすいのです。


ですが、ここは温室と割り切って、そんな背景も活かした撮影を楽しみましょう。

 

 ガラスを通して差し込む光を、バックに

温室は、一般的に透明なガラスで囲まれていますよね。
そのようなガラスを通して差し込む光を、バックにして撮影したのが、こちらの写真です。

 

 

黒く写っているのは、窓枠です。
普通なら邪魔だと思ってファインダーから外すところですが、これも温室ならではと背景の一部にしてみました。

 

青みがかった部分の正体は?!

こちらも同じく、ガラスを背景にしています。

 

 

背景に、青みがかった部分が見えますよね。
実はこれ、ブルーシートなんです。

 

これも普通でしたら、何とか背景から外そうと苦心するところです。
ですが大きなボケのおかげで、いい感じに背景に溶け込んでくれました。

 

背景のイエローの光が、不思議な雰囲気を演出

こちらも、差し込む光をバックにした一枚です。


よく見るとちょうど花の真上あたり、うっすら黄色いお月様のような光が見えますよね。
これは天井からぶら下がっている照明の光なんです。


うまく光の円ボケに混ざって、不思議な雰囲気を出してくれました。

背景が活かせない時はとことん寄る!

とは言っても、撮りたい花の背景が、いつもこんな絵になる状況とは限りませんよね。
そんなときは、その花の特徴的な部分に、思いっきり寄って撮りましょう。

 

ポインセチアの葉ではなく「花」に注目!

真っ赤な葉っぱの横から、ちょっと顔を出しているポインセチアの花。
まるで葉っぱのお舟に乗って、ふわふわ浮かんでいるようです。

 

 

これは何だと思いますか?

見ていると吸い込まれそうな、まるでエイリアンの口のようですね。

 

 

正解は、シクラメン。

野外では低い場所に下向きに咲いていることが多い花です。


そのため、真正面の角度からじっくり見ることはあまりないですよね。
たまたま鉢植えが、目線ぐらいの高さの場所に並べられていたおかげで撮れた一枚です。

こちらは胡蝶蘭

弧を描いた特徴的な唇弁に心惹かれたので、その部分にぐぐっと寄ってみました。

 

 

真正面からも

今度は、胡蝶蘭の真正面から迫ってみました。

 


目があって、くちばしがあって…。
なんだか不思議な小さな生物が隠れているかのようで、面白いですね。

こんな風に思い切り寄ってみると、今まで気づかなかった表情がいっぱい見えてきますよ。

おわりに

温室撮影は冬の寒い時期だけでなく、暑い夏や雨の日にも楽しめます。
温室を利用して、普段とはちょっと違った作品作りにチャレンジしてみてくださいね。

 
 コラムニスト情報
クニ・ヒロ
性別:男性  |   職業:マクログラファー

マクロレンズを自在に操り、
光とボケが織りなす幻想的で不思議な世界を描き出すマクログラファー。

刻々と変化していく花たちの表情や、虫たちのコミカルな姿に
心ときめかせ、癒されながらその一瞬の表情を切り取っている。

フォトコンテスト入賞多数、雑誌掲載多数、
2012年、2013年、個展開催。

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シンガーソングライター竹本孝之「August Rain」プロモーションビデオに写真提供。
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