自分の子供が「いじめ加害者」になった時の親の対応は?被害者への"謝罪"以外で行うべきこと
我が子がいじめの加害者になってしまったとき、親はどうすべきでしょうか?親が行うべき「我が子への対処法」と「被害者への対応」を紹介。いじめ加害者の心の背景や、いじめをしている子どもに見られる特徴も解説します。
こんにちは、 メンタルケア心理士の桜井 涼です。
いじめは、被害者の心を壊してしまう行為です。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)に匹敵すると考えられているくらいです。
なぜなら、暴力や暴言などによって、被害者の力を根こそぎ奪ってしまうものだからです。
もし、我が子が加害者となってしまっていたら、親としてどう叱ったらいいのかと考えるかもしれません。
ですが、それで解決することではない問題ですから、どうしたらよいかということ、被害者に対してどのような対応をしたらよいかということを知って欲しいと思います。
いじめには、心身共に苦痛を与えることで満足を得るというサディズムな心理が隠れています。
ただ、生まれた時からこういった状態かというとそうではありません。
いじめをしてしまう子どもの多くは、過去に暴力を受けたことがあり、何らかの被害体験を背負っていることがわかっています。
- 家庭に居場所がない
- 親から愛されていないと感じている
- 両親が不仲(ケンカが絶えないなど)
- 別な場所で被害を受けている(部活・バイト先・習い事先など)
- 寂しさ(親が仕事などで留守がち等) など
このようなやりきれない思いが、「いじめ」という行動となって表れているのです。
もちろん、だからといっていじめを行っていいということにはなりません。
きちんと話をして、加害者となった子どもの心を見てあげる必要があります。
いじめをしている場合、被害者同様にサインを出します。
例えば、次のようなことです。
- 急に金遣いが荒くなる
- 買い与えたものでない物が増える
- 友達の悪口を言うようになる
- 目つきが鋭くなる
- 急にスッキリしたような感じで帰ってくる
- 急に聞き分けが良くなる など
ポイントは、「急に」です。
いつの間にかではなく、被害者と同様で「急に」起こります。
ただし、いじめの度合いなどがあるため、見え方に個人差が出てきます。
また、学校でも家でも「いい子」と言われているような子が、いじめの加害者となっている場合があります。
私のところに、いじめで不登校になったという子の親が話に来ています。
いじめの加害者は、上記のような生徒で、先生にも信頼の厚い生徒です。
実際に、様々な代表や交換留学生に選ばれるようなお子さんです。
しかし、加害者に会って話をしたところ、目つきが鋭いところがありました。
また、妙に聞き分けが良く、大人にはどう接したらいいかをわかっているといった印象でした。
子どもを疑ってかかる必要はありませんが、もし何らかの変化が見られる場合は、様子(特に行動の変化)を見ておく必要があると思っておきましょう。
「加害者になっているのでは?」と感じた時点で、本人や担任の先生に話を聞いてみることが大切です。
「うちの子がいじめなんて」と思いますよね。
信じたくない気持ちはわかります。
ですが、加害者のサインが複数見られる場合は、素早い対応が必要です。
確認を取り、被害者へのコンタクトを取らなければいけません。
最初にお話しした通り、いじめの被害者は根こそぎ力を奪われた状態です。
いつ自殺を考えてしまうかわかりません。
命を守るためと考えてあげてください。
いじめの事実の確認ができたら、まずは話を聞いてあげることから始めます。
なぜいじめをしているのかを聞きましょう。
「むかつくから」などの理由を挙げるでしょうが、その先「なぜそんなにむかついているのか」を聞き出さなければ、根本は解決しないからです。
この時に、一方的に叱りつけたり、暴力をふるったりはしてはいけません。
口を閉ざしたり、反抗したりして、話にならなくなるため逆効果です。
いじめることの何がいけないのかを教えましょう。
一番にすることは、加害者である我が子と一緒に被害者への謝罪を行うことです。
親が率先して頭を下げて謝ることで、子どもにも自分がしたことが悪いことだということが伝わりやすくなります。
『親が自分のしでかしたことで、頭を下げる』という姿を目の当たりにすると、子どもの心は動きます。
自分が愛されていること・いじめをして相手を傷つけたということを認識することができるのです。
いじめは、被害者も加害者も心に傷を持っています。
その背景を理解してあげることで、万が一、我が子が加害者になっていた時に、素早い対応ができます。
「うちの子に限って…」ということは思わないようにしましょう。
いじめはちょっとしたことで起こってしまいます。
「これがいじめ?」と親が思ったり、口にしてしまったら、子どもはいじめを理解できなくなってしまいます。
被害者が「いじめられた」と感じたら、些細なことでも「いじめ」になります。
いつ、我が子が被害者・加害者になるかわからないものです。
それだけは理解していただきたいです。
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