こんにちは、吉本歯科医院の吉本彰夫です。

 

今回は歯磨きをする際に、皆さんが歯を磨き残してしまう理由を説明します。

また、磨き残したままにすると、歯の状態はどのようになるのかを紹介します。

 

 

磨き残しが出てしまう最大の理由は、歯は平面的ではなく立体であるということです。

 

 

例えば、マニキュアを塗るイメージをしてください。

爪の真ん中は、マニキュアの刷毛で一方向に運ぶだけで塗ることができます。

しかし、爪と爪の生え際・側面・尖端など立体的な部分は、きちんと隅々まで塗っていかないと綺麗には塗れません。

 

 

お化粧をするにしても、ファンデーションを一方向だけ塗ってキレイには塗れませんよね。

三面鏡を使われる理由も、正面からだけでは全ての側面を確認することが難しいからです。

 

歯磨きも同様です。

正面から鏡を見て綺麗だなと思っていても、側面から見たら実は汚れていたということが起こってしまうのです。

 

立体的なものは一方向からだけでは全てを確認することはできません。

一方向からだけのアプローチではかゆい所に手が届かないのです。

 

歯磨きでいう手が届きにくい箇所はどこでしょう。

歯と歯の間、歯と歯の隙間、奥歯の奥側面や舌側面などが挙げられます。

そして歯の根っこ部分もそれに当てはまります。

 

 

 

歯茎より上の見えている部分の下には、実は見えていない歯の根っこがあるのです。

奥歯の場合には、まるでカメラの三脚のように根が3本彎曲してます。

そしてその連結部である股部分には窪みがあり、表面からちょこちょこと掃除しただけでは磨けないのです。

それを磨くためにはあらゆる方向からブラシを当てなくてはいけません。

 

歯科医院に受診された時、「歯垢(しこう)が溜まっていますね」「歯石(しせき)が溜まっていますね」と歯科衛生士さんに言われたことがありますよね。

 

この歯石は、歯の石と書くようにとても硬いです。

しかし、もともとは磨き残された柔らかいものであったのです。

それがだんだんと、時間の経過とともに硬くなり始めるのです。

 

床や壁についた汚れが最初はすぐに拭き取れるのに、何日も汚れが付いているのをほったらかしにしているとカチカチになり簡単に取る事ができなくなるのと同じ現象です。

 

では、硬くなるのにどれほどの時間がかかると思いますか？

答えは1週間です。１週間経つと歯ブラシで汚れが取りにくくなってしまいます。

 

しかし、多くの皆さんは、1週間全く歯を磨かないということはないと思います。

恐らく多くの方が、1日に1回～3回歯を磨いているはずです。

 

それでも歯石が作られてしまう理由、それは１週間に一度もそこにブラシが届いていないためです。

歯磨きには人それぞれの癖ができてしまうため、もしかしたら年に一回も掃除ができていないかもしれません。

 

磨き残しをなくすため、歯石を作らないためにまずはどうすればよいでしょうか。

それは、「磨けていないのはどこなのか？」を知ることです。

 

 

一番簡単な方法はかかりつけの歯科医院の歯科衛生士さんに教えてもらうことです。
「ここは汚れがついていますね。ここは汚れがついていませんね」と、どこが磨けていてどこが磨き残しているかを細かく教えて貰うとよいでしょう。