古き良きレトロ街「大森」おすすめ探索スポット(キネカ大森・珈琲亭ルアン・地獄谷)

執筆者: ジャック・ポイ Film
はじめに

大森と聞いて、そこに何があるか想像し難いと思います。

しかし大森には、香ばしい古き良きスポットが点在しています。

 

例えば、駅の近くのデパートの中に、レトロ風情な映画館があります。
また、商店街には隠れる様にして“地獄谷”酔街が広がっています。
かつて文士の街と呼ばれ、文豪が集まる珈琲サロンも多く、今でもその面影残す素晴らしい喫茶店があります。

”大森貝塚がある考古学発祥地“という印象だけが先行するばかりの街で、その色味を引き立たせ、駅から徒歩5分で行ける古き良き文化スポットを紹介致します。 

 

日本初のシネコン、レトロ風情な映画館「キネカ大森」 

 

5F建て商業ビル西友大森店の中に、突如映画館が現れます。

1984年に誕生した、日本初のシネマコンプレックスのキネカ大森です。

小さいながらも3つのシアターを擁し、各々独自の作品を上映しています。

 

1つ目は新作ロードショー作品です。

2つ目は、台湾、韓国、インドなどのアジア映画、フランスやイタリア映画など、メジャーなシネコンでは放映されない世界の逸品です。

そして3つ目は、ロードショーや口コミで高評価の作品を、過去の名作と組み合わせ低料金2本立てで上映する「名画座」です。

 

 

驚きを隠せない場所に映画館がありますが、“デジタル化”の波に乗り、無事に30周年を迎えました。

コアな上映作品で、映画ファンを日々集めています。

 

 

1階はスーパー、2階~4階は日用品や電化製品、そして5階はレストラン街と共にキネカ大森があります。

買い物袋を引っさげて、気軽に寄ることができます。

 

この地元密着型の愛は地元俳優にも届いています。

映画館が好きで、忙しい合間を縫って“片桐はいりさん”がカウンターに立っています。

映画や舞台など、多岐に渡って活躍される片桐さんは、大森出身なのです。


映画と映画館が好きな片桐さんは、キネカ大森と縁あって、時々もぎりの壇上に立っているのです。

ご本人にチケットをもぎられたならば、とても幸せな体験になるでしょう。

 

 

 

地元の方、常連のお客様から寄贈された新旧1000冊近くある映画パンフレット・閲覧コーナーも見逃せません。

 

 

スタッフお手製パブボードも必見です。

上映作品の詳細や豆知識、出演者の情報が掲示されています。

「映画館は作品を観た感想だけでなく、あの作品を誰とどこで観たのか、当時の想いが蘇ってくる。」

お客様にとってそんな”想い出の箱“になれればと、支配人は語っております。

 

 

異国情緒漂う極上の純喫茶「珈琲亭ルアン」

大森駅東口より、南へ進むと“ミルパ商店街”が見えてきます。

そしてそのすぐ側に、フレスコ画の様な絵看板を掲げた珈琲亭ルアンが建っています。

 

 

扉を開けると、いらっしゃいと笑顔のマスターがお出迎えします。

赤い絨毯、ふわりと漂う珈琲の香り、琥珀色に包まれる空間です。

 

 

珈琲の手書き看板、意匠の凝ったランプ、地球儀や彫刻などのアンティーク品等、レトロで温もりある木造りの内装となっております。

まるで遠い異国へ訪れた様な雰囲気で、不思議な充足感に満たされます。

メニューも豊富で、60種類近くあります。

 

 

そしてこのお店は、カフェオレを頼むと名物のパフォーマンスを見ることができます。

マスターの合図と同時に、高々と掲げられた銀のポットから、白と黒の液体がらせん状に絡み、カップへ落とされます。

その“パフォーマンス”は味だけでなく眼でも楽しませてくれます。


 

昭和42年創業、50年近く営業する中で集められたアンティーク食器のコレクションも素敵です。

ザラメのポット、銅製のコーヒーカップや、トーストが乗せられた銀のトレイなど、浅い歴史では到底真似出来ない器が数々あります。

 

 

仕事合間のコーヒーブレイク、友人との談笑、静かに読書、特別な日の一杯などに、さりげなく流れるクラシックを聞きながら、香りと雰囲気を存分に楽しんで欲しいです。

 

  

ネオンに染まる地獄谷「山王小路飲食店街」

駅西口を出て直ぐ、池上通りに並行する商店街と、京浜東北線の谷間に隠れる様に階段があります。

案内板へ誘われるがまま階段を下りると、ネオンが光るゲートが現れます。



そこに、小料理、立ち飲み、ワインバー、スナック、ラーメン店などの飲み屋が40軒ひしめいています。

山王小路飲食店街という名称ですが、通称「地獄谷」と呼ばれています。


 

恐ろしき名称の由来は、戦後すぐのことです。
当時は整備されずに、階段もなく土手になっていたそうです。

雨水や土砂が入って酔客が地上へ戻れない事もあったそうです。


「地獄谷って聞くと、インパクトあるでしょ?」
お酒の締めに優しいラーメンを提供して60年「長崎屋」二代目ママさんはそう言います。

“地獄の虜になれば最後、酩酊しながら階段を上るのは容易ではない”

そうして谷の由来は語り継がれていく様です。

 

 

おわりに

大森に残る古き良き文化スポットには、積み重ねられた時間と集まる人々の想いがギュッと詰め込まれています。

それらに触れる事で、時に非日常に浸り、安らぎ、暮らしの活力へ変えられると思います。

少しでもご興味湧きましたら、大森へと出掛けて見て下さい。

 
 コラムニスト情報
ジャック・ポイ Film
性別:男性  |   現在地:東京  |  

古いもの、廃れゆくもの、怪しい場所、錆や鉄の建造物が好きです。それらの写真をモチーフに異国都市を制作したりノスタルジックな場所を探訪しています。路地裏・工場・横丁・廃墟・純喫茶・昭和レトロ・カフェー建築などなど。
私のブログでも紹介しています  http://ameblo.jp/eigazukinosyuukatu/

 

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