昭和下町の街並み残る、レトロな駄菓子屋の魅力に迫る!東京都内に残るおすすめ3店舗を紹介
誰でも子供時代に一度は食べた事がある駄菓子。
そしてそれらを販売し、物を買う事を初めて教わった、街の小さな「駄菓子屋」。
駄菓子が宝石の様にズラリと並ぶ光景や、店主のおじいちゃん・おばあちゃんが、時に優しく、時に厳しくお金のやり取りを教えてくれたもう一つの学校であり、子供達の社交場でした。
そんな多くの人の心に宿るノスタルジーな風景は、今では街で見かけることがほとんど無くなりました。
大型ショッピングセンターが乱立し、人や街、時代の動向が変化したことで、駄菓子屋の存在は役目を終えようとしているのです。
では、あの懐かしの光景や遊び場はもう残っていないのかというと、そうではなく、今はまさに風前の灯火です。
都内にはほんのわずかながらも、あの頃の駄菓子屋が時代を跨ぎ、そのままの姿で営業しています。
昭和レトロなブーム到来で、懐かしい匂いに誘われた大人も、かつての駄菓子屋へ集まっています。
消費社会から外れ、ゆったりとした時間の流れが、懐かしさと共に安らぎを与えてくれます。
そんな古くから残る駄菓子屋を3軒ご紹介致します。
大森駅北口より徒歩15分ほどの場所に、放課後の子供達を魅了して止まない、駄菓子屋が残っています。
表に屋号は見当たらないですが、この界隈に住んでいる人ならば世代を超えて知られる街のランドマーク「菊池商店」です。
レトロゲームとガチャポンが店先を彩り、中を覗くと、皺と優しさをたっぷり蓄えたおばあちゃんがいらっしゃいとお出迎えしてくれます。
小さな店内は、元八百屋さんの倉庫です。
ごちゃりと雑多に詰まれたお菓子で溢れ、通路はまるで路地の様です。
お菓子には一目で値段が分かるよう、各お菓子ブロック毎に手書き値札のポップが貼られ、子供への気遣いが伺えます。
さらに奥へ通路を進むと、10台程のアーケードゲームがこじんまりと密集する、どんつきが現れます。
購入した駄菓子をかじりつつゲームで遊べる空間は、さながら子供達のアジトです。
パックマンやボンバーマンなど、名作ゲームを50円でプレイ出来ます。
店先に飾られたレトロなゲーム台は“駄菓子屋ゲーム”と言います。
かつて駄菓子屋が日常にあった全盛期に子供達のアイキャッチとなり、店頭を賑わせた実機を遊ぶことが出来るのです。
10円をポトリと投入、パチンコ玉を弾いてアタリに通すと、お菓子と交換する事が出来ます。
そんな菊池商店のラッシュアワーは夕暮れ時です。
軒先に自転車がズラリと並び、遊びを求めた子供達で大賑わいとなっています。
住所:東京都品川区東大井5-9-15
可愛いクマの綿菓子メーカーがお出迎えしてくれるのは、大井町駅から徒歩5分、商店街の裏手の路地に現れる「駄菓子屋 いぬづか」です。
創業は50年近く経ちます。駅前露店だった頃から駄菓子を販売し、現在はこちらに店を構えています。
驚くのは、店先からは想像を超えた広さの店内です。
奥へと進むと、赤青緑と色とりどりの懐かしい駄菓子が艶っぽくぎっしり並んでいます。
10円ガム、うまい棒など定番の駄菓子から、サッカーくじ、懐かしのきな粉棒など、小さな子供から大人まで駄菓子を買い求めに来るそうです。
しかし“税金”の意識のない幼い子供達は、時に財布の小銭が足りず、お菓子が買え無いこともあるそうです。
そのような泣く子のために、店主のおばあちゃんはこども銀行を発足。
足りない小銭を、お店の貯金箱から5円まで取り出せる様になっています。
※利用可能は小学4年生までとなっています。
更に、子供自身がしっかりと頭で計算して購入出来るよう、お手製の計算表を掲示しています。
子供達は学校で学んだ算数をこの場で実践するのです。
表に飾られたクマの綿菓子機は現役です。
100円を入れるとザラメが投入され、甘い香りが立ち上ります。
すかさず備え付けの割り箸を手に取り、自身で綿菓子を絡め取ります。
縁日のお祭りでしか見かけなくなった綿菓子を楽しみながら作る体験は、今では貴重です。
駄菓子と共に、お喋り好きなおばあちゃんと会話するのもまた一興となっています。
豊洲駅から徒歩5分、高層ビルや新築マンションが建ち、その影に隠れる様にして、古い団地や一軒家が並ぶ豊洲の街に子供達の社交場は残っていました。
玄関前にはオレンジのアーケードゲームが置かれ、アイスのショーケースやガチャポンで彩られた「大川商店」です。
5畳ほどの小さな店内には、縦横ぎっしり積まれた駄菓子が目を楽しませてくれます。
良く見ると、お菓子だけでなくエアーガンや飛行機、プラモデルなどの玩具が棚に押し込められていて、宇宙駒などの掘り出し物もザクザクと出てきました。
さらに奥に畳敷きの小さなスペースが見えます。
真ん中に置かれた机は、ちゃぶ台では無く年季の入った巨大な鉄板。
この昭和風情の小さな茶の間で、おばあちゃんがお手製のもんじゃ焼きを振舞ってくれるのです。
それもキャベツや小エビ、生麺まで入ったオリジナルもんじゃで、実に本格的です。
駄菓子屋のもんじゃだからと侮れません。
これがたったの400円。
店主お勧めの、ベビースターラーメンもトッピングすることが出来ます。
食事中、子供達が引っ切り無しに駆け込んで来て「おばちゃんゲームするから両替して」「クジ引かせて」と、おばあちゃんは大忙しです。
それでも優しく接しながら、時に悪さをする子供は叱り、おばあちゃんに躾けられる、そうして大人の階段を登る風習は、現代にも残っていました。
かつて街にたくさんあった駄菓子屋は、子供にとって大人や友達との触れ合いの場でありました。
そこでは初めて自分で考え、物をお金と交換するという、大人社会に触れられる窓口としての役割もありました。
今回紹介した個性ある3つの駄菓子屋は、どのお店も30~50年の歴史ある昭和の文化遺産です。
しかし、昨今のショッピングセンターの乱立や後継者問題で営業し続けるのも難しくなっています。
それでも老齢の店主の心意気と、子供たちが遊びに来ることで何とか成り立っています。
そんな駄菓子屋へ、大人が加担出来ることは何かあるでしょうか。
それは大人も駄菓子屋へ遊びに行くことです。
お子様がいたら連れて行ってあげて下さい。
そして、たくさんの駄菓子を買って、ゲームで遊んで、店主を喜ばせてあげて下さい。
かつてお世話になった方への恩返しの気持ちで。
子供が来たら席を譲るのを忘れないで下さい。
駄菓子屋の主役はあくまで子供達です。
もしこの記事を読まれて、懐かしい風が吹きましたら、あなた自身の心の中に眠ったノスタルジーを呼び覚ましに訪れてみて下さい。
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古いもの、廃れゆくもの、怪しい場所、錆や鉄の建造物が好きです。それらの写真をモチーフに異国都市を制作したりノスタルジックな場所を探訪しています。路地裏・工場・横丁・廃墟・純喫茶・昭和レトロ・カフェー建築などなど。
私のブログでも紹介しています http://ameblo.jp/eigazukinosyuukatu/
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