海外と日本の英語教育の違いは?読み書きの基礎「フォニックス」の種類と学習手順
こんにちは、英語講師の植田朋子です。
今回は、フォニックスプログラムの種類について紹介したいと思います。
フォニックスを学習するためには、どのような方法で学んでいけば良いのでしょうか。
日本で発売されている子供用英語教材では、フォニックス学習としてまずはABCのアルファベットを学びます。
その後、そのアルファベットがどのような音になるのか、ということを教えているものが多いと思います。
英語圏の小学校では、どのようにフォニックスを教えているのでしょう。
イギリスの小学校で7割近いシェアを誇る「ジョリーフォニックス」のプログラムを例に挙げてみます。
このプログラムでは、ABCから教えません。
ABCというのは「レターネーム」と呼ばれ、英語の本を読むために必要な知識ではなく、主に辞書を引くのに必要な知識として教えます。
英語の本を読むためには、レターネームより先に「レターサウンズ」というものを学びます。
また、英語の本には大文字よりも小文字の方が多く使われているので、まずは小文字から学習します。
ここで、私達がどのように日本語の学習をしたか少し振り返ってみましょう。
私達は小学校で以下の手順で学んで来たと思います。
- まず、ひらがなを学び
- 次に、カタカナ
- 漢字
カタカナや漢字を学ぶときは、ひらがなのふりがなを使ってどう読むかを学習してきました。
ジョリーフォニックスもこれと似た方法を取っています。
- 42個あるレターサウンドを学び、
- 同じ音だけれども違うつづりを学び、
- フォニックスの知識では読めない単語(トリッキーワーズといいます)を学んでいきます。
(1)では、ひらがなの五十音表のように、英語ではどの文字がどのような音かを学習していきます。
(2)では、あもアも「あ」と読むというように、eeとeaが同じように「イー」と読むということを学んでいきます。
(3)では、勉強という漢字を「べんきょう」と読むというように、oneを「ワン」と読むということを学んでいきます。
(a) 一つひとつのレターサウンドから学び始め、単語を丸ごと覚えるのではなく、レターサウンドをブレンドする(またはシンセサイズする)ことによって、単語を読むことを基本としていく。
---Synthetic Phonics
(b) レターサウンドを基本として、体系的に(システマティックに)文字と音との関係を学んでいく
---Systematic Phonics
このようなフォニックスプログラムの種類を「システマティック・シンセティック・フォニックス(Systematic Synthetic Phonics)」と言います。
イギリスの場合、システマティック・シンセティック・フォニックスと言えるかどうかについて、core criteria(核となる基準)を決めます。
その基準を満たしたプログラムを、full programmesとして教育省のホームページで公開しています。
2014年6月現在、10個のプログラムが掲載されており、ジョリーフォニックスはこの10個のプログラムの一つなのです。
イギリスで、このようにシステマティック・シンセティック・フォニックスを学校教育で取り入れるようになったのはまだ最近のことです。
2010年のThe schools white paper(学校白書)で、国としてシステマティック・シンセティック・フォニックスを採用することが決まりました。
ではなぜ、最近になって大改革が行われたのでしょうか。
それは、このプログラムが「読み書きが難しい子どもに最も効果的」だったからです。
英語はご存じのように、文字と音との関係が非常に複雑です。
子どもにとっては「読むこと」「書くこと」が、とても難しいのです。
しかし「出来るだけたくさんの子どもが読み書きできるようになって欲しい」という思いが、システマティック・シンセティック・フォニックスへの大転換になったのだと思います。
いかがでしたでしょうか。
- フォニックスプログラムにも色々な種類がある。
- 英語の本国イギリスでは、システマティック・シンセティック・フォニックスという種類のプログラムを学校教育で採用している。
以上の2点をお分かり頂けましたでしょうか。
日本でも英語教育にフォニックスが導入されるのなら、是非システマティッ ク・シンセティック・フォニックスを取り入れて欲しいと思います。
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