飛行機事故を引き起こす一番の原因は、操縦ミス!航空機トラブルの傾向と事故確率の比較

執筆者: 奥之園 誠 職業:航空アナリスト
はじめに

前回の記事から、今年多発している航空機事故について取り上げております。
今回は航空機事故の原因や傾向、他の乗り物との事故の比較についてのお話になります。

 


航空機事故の原因はどの様なものがあるのか?

航空機事故の約80%が、機体が離陸・上昇を行う際と、空港への進入・着陸を行う時間帯に集中している傾向があります。
離陸直後の3分、着陸前の8分の時間帯に事故が集中している事から、魔の11分(クリティカル・イレブン・ミニッツ)と呼ばれています。

 

これは、雪や突風など急な天候変更の影響、鳥の衝突、操縦がオートパイロットからマニュアルに切り替わることによるヒューマン・エラーなど、危険な要素が増加することが要因とされています。


航空機の事故原因ですが、1988年~2005年までに発生した民間航空機全損事故183件のうち、原因が特定された134件について、ボーイング社の調査では以下の様に分類されています。

 

  • 操縦ミス:55%
  • 機械的損傷:17%
  • 天候によるもの:13%
  • その他:7%
  • 不適切な航空管制:5%
  • 不適切な機体整備:3%


操縦ミスが事故原因の半分を超える大きなパーセンテージを占めているのが判りますね。

別の統計では、1998年~1997年に於いては、操縦ミスが70%という情報もあります。

 

20年間で20%減少しているので、改善が進んでいるとも言えますね。

最近の航空機は、その機体の大きさに関わらずコンピュータ化が主流となり、操縦士がコンピュータを過信して事故の原因となる事も多い様です。

航空機事故は、増えているのか減ってるのか

世界の航空機全損事故ですが、1970年代には約65件、1990年代には約52件、2010年代には約30件と減少傾向にあります。

前回も書きましたが、航空機事故が発生した場合に、徹底した原因究明と再発防止に取り組んできました。
その結果として、航空機の数は年々増加しているにも関わらず、航空機事故は減少の傾向にあるといえるでしょう。

現在では、事故が発生したその国の政府・航空関係機関だけではなく、機体製造メーカーも事故検証協力する体制となっています。今後も更なる事故率の低下を期待したいですね。

 

死亡者数を自動車事故と比較してみると

909人 vs 10,850人。

この数字ですが、1998年の全世界での航空機事故による死者と、同じく1998年の日本国内だけの自動車事故による死亡者数の比較です。
自動車も安全な乗り物ですが、数字を見ると圧倒的に航空機の方が死者が少ないですね。


ちなみに、日本の航空会社では0人vs10,850人となります。

前回も書きましたが、1984年8月12日のJAL123便墜落事故以来、日本の航空会社では乗客が犠牲となる航空機事故の発生はありません。

 

事故率は極めて低いといえますね。

ですが、飛行機は危ないから乗らないと言う人がいます。

飛行機より事故率の高い車については、車は危ないから乗らないと言う人は極々稀ではないでしょうか?

 

車等の乗り物に比べて、飛行機がまだそれほど身近な乗り物ではないことが、そう考える人の要因かもしれませんね。
ちなみに乗り物で一番死者が多いのはバイクとのことです。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は航空機事故について、その原因や傾向などについてご紹介致しました。


今回は一番身近な乗り物である車との比較をご紹介しましたが、他の乗り物に比べ、飛行機は危ないというイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、車等の他の乗り物と数字を比較してみると、実際には必ずしもそれが当てはまるわけではないということが分かって頂けたかと思います。

 

次回も引続き航空機事故について、各航空会社の安全性、日本の空の安全性などについてご紹介したいと思います。

 
 コラムニスト情報
奥之園 誠
性別:男性  |   職業:航空アナリスト

航空ブロガー、航空検定1級。

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