助成金で非正規⇒正社員へ雇用転換させよう!キャリアアップ助成金制度の手続き手順
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀 真寿です。
今回は、キャリアアップ助成金の正規雇用転換コースについてお伝えいたします。
雇用保険の助成金という制度をご存知でしょうか。
雇用保険制度は、2事業に分類されます。
- 労働者に対する求職者給付等の制度
- 事業主に対する援助制度等
上記の、事業主に対する援助制度を「雇用保険二事業」と呼び、これも2種類に分けられます。
- 雇用安定事業
- 能力開発事業
ご紹介するキャリアップ助成金は、雇用保険二事業の中の、雇用安定事業の中にある助成金となります。
雇用保険適用事業所ごとに行います。
- 「キャリアアップ管理者」を配置する。
- 労働組合等の意見を聴いて「キャリアアップ計画」を作成。
- 管轄労働局長への確認を受ける。
キャリアアップ管理者は、新卒社員以外で、人事総務従事者を選任するのが良いでしょう。
また、人事部がないようなベンチャー企業であれば、社長を選任しても問題ありません。
提出先は、管轄のハローワークになります。
提出期限は、転換・直接雇用を実施する1カ月前までに提出をしないといけません。
就業規則、労働協約またはこれに準じるものに転換制度を規定します。
キャリアアップ計画提出前に、転換制度を規定していた場合でも対象です。
ただし、その場合でも「試験等の手続き、対象者の要件、転換実施時期」の規定が必須です。
助成金の審査で必ずチェックが入りますので、要注意です。
転換実施時期については「毎年4月1日に転換する」と規定をしてしまうと、その時期にしか転換ができないルールになります。
実務上は「毎年4月1日または、随時とする」という書き方が良いでしょう。
就業規則を規定した場合は、労働基準監督署に、改定後の就業規則の届け出が必要となります。
今まで一度も就業規則の届け出をしていない10人未満の会社もあると思いますが、助成金を申請する上では、届け出をした方が良いでしょう。
届け出をしない場合は、本助成金を申請する際に、社長と労働者全員の連署による申し立て書を用意しなければなりません。
転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施します。
具体的には、面接と筆記試験を実施して、合否を判断する形です。
不支給にならないためのポイントは、手続きの順番です。
「キャリアアップ計画の届出」→「就業規則の届出」→「転換」の順番が重要。
実施後に必要になること
- 転換後の雇用契約書や労働条件通知書を、対象労働者に交付する。
- 転換後に適用される就業規則等に規定している労働条件・待遇にする。
例えば、有期雇用契約時は時間給だった従業員が、正規雇用後は月給に変更する等が考えられます。
転換後6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して、2カ月以内に支給申請を行います。
この2カ月以内は、1日でも提出が遅れたら、支給申請書は受理されません。
末日締の翌月10日払いを採用している例で見てみましょう。
この場合、翌月10日支払日の翌日を起算日として、2カ月以内となります。
支給の判断ポイントをご紹介します。
具体的には、有期雇用社員には、昇給・賞与はなく、基本給は時間給の待遇の人が、正規雇用後、昇給・賞与はありとなり、基本給は月給へと変更されている場合などです。
キャリアアップ計画を提出し、労働局から受理番号と確認の受理印をもらっていることも条件です。
転換日以降の期間について、雇用保険と社会保険への加入手続きをしていることも要件になります。
社会保険については、加入要件を満たす場合に加入をすれば良いとされてますが、正規雇用になった時点で、フルタイムの社員と同じ身分になります。
転換日に、社会保険への加入手続きを摂るのが、正しい手続きと言えるでしょう。
有期雇用→正規雇用
中小企業:50万円/大企業:40万/母子・父子家庭加算:10万
中小企業:20万円/大企業:15万/母子・父子家庭加算:5万
中小企業:30万円/大企業:25万/母子・父子家庭加算:5万
助成金は、お金がもらえるというイメージだけが先行するケースが目立ちます。
しかし、重要なのは、お金そのものではなく、助成金を受けられるような、日々の労務環境の整備に尽きると思います。
助成金の申請においては、労働者名簿、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿等など用意をする書類が多くあり、一回でも申請をしたことがある方なら、その準備の大変さが分かると思います。
日々の業務の他に助成金の申請をするのは、現場負担が大きくなります。
こういう時にこそ、社会保険労務士への依頼も視野に入れて頂ければと思います。
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