児童虐待の1つ「心理的虐待」とは?子供の精神的トラウマを癒すケア方法

児童虐待の相談件数 種類別第1位「心理的虐待」

昨今、児童虐待に関するニュースが後を絶ちません。

ご覧になって胸を痛めている方々も多いと思います。

 

厚生労働省による統計では、2014年度の児童相談所相談対応件数が8万8931件、過去最多最悪の結果となりました。

自分の教育法は果たして「しつけ」か「虐待」か、もしかしたら、迷ったことのある方もいらっしゃるかもしれません。

 

今回は、児童虐待の中でも意外に深刻な「心理的虐待」についてお話しします。

 

 

増加傾向が続く、児童虐待の相談件数

厚生労働省が統計を取り始めた、平成2年からの相談件数は、当初2,000件にも及ばず、5年ほどは横ばい状態でした。

それが近年2,3年ごとに一万件増え続け、今回は一年で1万5,129件も増加しています。

 

ただ、これはあくまで相談件数で、児童虐待の実数ではありませんが、このあまりの急激な増加に、ただただ不安は募るばかりです。

 

相談件数が増加した理由

今回の結果には、児童虐待の定義範囲を広げたことが大きく影響しました。


例えば、「親のDVを見てしまうこと」に加え、「兄弟が虐待を受ける様子を見たことも含まれる」などといったように、心理的虐待の具体的事例が増えたことで、「相談してみよう。もしかしたら…」と背中を押された人からの相談・通報が増加したということが考えられます。

 

他に、児童相談所の存在意識や、通報の義務感情が社会全体に浸透したということも、理由としてあげられます。

 

児童虐待の種類

改めて児童虐待とは、「保護者が18歳未満の児童に対して行う不適切な養育・扱いのこと」で、厚生労働省による定義では、次の4つに分類されます。

 

  • 身体的虐待
  • 心理的虐待
  • 性的虐待
  • ネグレクト

 

このなかで、致命傷なのは、やはり「身体的虐待」。

そして、たとえ傷は深くとも、顕著化しづらいため認知されにくいのが「心理的虐待」です。

 

平成25年度相談件数の種類別では、身体的虐待を上回り、心理的虐待が1位になっています。

 

心理的虐待とは

心理的虐待とはいわば「見えない虐待」です。
脅す、嫌味を言う、罵倒するといった言葉の暴力をはじめ、無視する、兄弟間で差別をするといった、精神的にダメージを与える行為、そして単独でなく、他の虐待行為を伴う場合も多くあります。

 

ですから、心にショックを与え、本人が辛いとストレスを感じるものは、心理的虐待の可能性があるといってもいいと思います。

ただそうなると、様々な育児論が交錯する今の時代、「心理的に虐待など一度だってしたことない」と言える大人はどれほどいるでしょうか?

 

 

虐待の原因はさまざま

ほとんどの児童虐待は、虐待の世代間連鎖であったり、育児疲れ、家族への不満や経済的不安などといった過剰なストレスが引き金になってしまったり、さらには、それ以前からの予期しない妊娠によるネガティブな感情移入などによって引き起こされてしまったりしています。

 

哀しいことに、どんな親であって、どんなことをされようとも、子供の心は、ひたむきに愛されたい思いでいっぱいなのです。

 

もしかしたら、私も虐待してる?

ご自身が、知らず知らずのうちに虐待をしてしまっているのではないか、と不安がよぎるかもしれませんが、あなたの心のどこかに、お子さんの本心を受け入れる姿勢があるならば、安心してよいでしょう。

 

誰かが子供に寄り添ってあげて

もし、親の片方でも虐待行為を行なってしまったときには、親でなくとも、誰かが子供側に寄り添いフォローすること。

これがあるのとないのとでは、大きく違います。

 

子どもをケアする「ハグ」を

そして、傷んだ心を癒す一番の特効薬としては「ハグ」が有効です。

なお、ボディタッチを嫌がるお子さんがいれば、優しく見守って、その子なりのものを与えてあげてください。

 

「あなたが大切。生まれてきてくれて良かった」という安心感を惜しみなく与えたり、伝えたりすることが、子供達の折れた気持ちへの一番の処方箋になります。

おわりに

お子さんが「心的外傷」、いわゆる「トラウマ」になるかならないかは、個人差があります。

子供の心に害を与えたくないばかりに、育児が神経質になってしまっては、あなた自身が疲れてしまいます。

 

人間は感情の生き物ですから、カッとなってしまうことがあるのは当たり前。

あまりご自分を追い詰めず、力を抜いていきましょう。

 
 

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