TPPで増える「輸入食品」、食の安全はどう対策すべき?輸入食材の安全確保を学ぶ (1/2)
こんにちは、野菜ソムリエ我妻飛鳥です。
めっきり寒さを増した近頃ですが、最近ではTPP大筋合意との報道も流れ、内容の詳細について気になっている方々も多いのではないでしょうか。
TPPが締結施行されれば、輸出産業は伸び国益も増加につながることも予想されますが、輸入が増えることによっての国内産業への不安も拭い去れません。
農林水産物の市場アクセス結果としては、米や小麦などは現行の国家貿易制度及び枠外税率維持とのことですが、これからの日本経済、そして農林漁業にも大きくかかわる事なので、農業従事として私も大変関心深いところです。
そういったことを背景にこれからの私たちの食はどのように変わっていくのでしょうか?
貿易の自由化が進めば、当然輸入食材が手に入れやすくなり、私たちが食材を買い求める際の選択肢も増えることとなるでしょう。
買い手側としては、購入するモノは少しでも安くて美味しく、が魅力的ですよね。
輸入品に限らず近年ではさまざまな食品問題も発生しているため、食品に対して『国が認めて輸入しているのだから、安全な食品』『大手スーパーだから安心』などと過信している方も少ないとは思います。
しかし、食材に対してただ根拠もなく不安がるのではなく、ただ安物買いに走るのでもなく、正しい情報を知って、自分が食べる食材を選択するための知識を持つことが、これからの消費者には必要なのではないのでしょうか。
私は、食材は出来るだけ身近で生産され、原材料に近いものが好ましいと思っています。
手の込んだ加工品になればなるほど、添加物や保存料も増えますし、輸送が長くなればなるほど安全性が不透明になります。
輸入品ともなれば、どこでどのように生産されたものが原材料となり、どのような工程を経て加工されたものかの情報も入手できにくく、その国の食環境や農薬・添加物に対する規制なども把握するのが難しくなります。
ここで、国産品と輸入品の大きな違いを考えてみましょう。
実際に、現段階でも収穫した穀物(米・小麦・大豆など)が海外から日本に輸入される際には、ほとんどの場合貯蔵・輸送するために農薬が使われます。
これがポストハーベスト(収穫後) 農薬と呼ばれるもの。
輸送コストを抑えるため、船倉にバラ積みされた穀物に、カビや虫の発生を防ぐための農薬がまかれるのです。
また、オレンジやレモンなどの柑橘類には必ずといっていいほど防カビ剤が使用されています。
フルーツをずっと置いていても、なかなか腐らないと不思議に思った事はありませんか?
防カビ剤などは農薬ではなく食品添加物と公認され、規制が掛かっていないことも珍しくありません。
また、日本で禁止されている農薬が、アメリカを始めとする外国では使用されていることもあり、残留農薬値が高い飼料を家畜が餌として食べた食肉にも影響がないとも言い切れません。
日本ではほとんど栽培されていない遺伝子組み換え作物ですが、栽培国は世界におよそ29か国あり、アレルギーなど人体への影響、長期的に見て生態系への影響も心配されます。
足が速いと言われる果物や野菜でも、最近では海外産のものが多く店頭に並ぶようになってきました。
消費者として、今後こういった不安要素も広がる可能性がある事は、しっかりと知っておくとよいと思います。
一方、日本では農薬取締法で農薬の品質と適正な使用が確保されるよう規制され、食品衛生法で農薬の残留規制が強化されたポジティブリスト制度が制定されています。
これによって心配が全くないというわけではありませんが、全く目に見えないものと比べると、やはり安全性は桁違いです。
しかしながら、今の日本の食料自給率は、カロリーベースで40%前後を推移しています。
先進国の中では最低水準です。
そして代わりに、農産物の輸入額が世界で第1位となっています。
食料のほとんどを輸入品に依存しているといっても過言ではありません。
日本食の「そば」でさえ、原材料の多くは中国産・アメリカ産に頼っており、食料自給率は20%前後となるそうです。
その他食料自給率を数字でみると主食のコメは100%ですが、果物43%、小麦は13%、日本食に欠かせない大豆に至っては7%となっています。
食料自給率を確保することは、世界情勢などいざという時のためにも、国内農林水産業を守るためにも重要であるといえますし、食料自給率が向上することによって食の安全を守ることにも繋がります。
身近な生産者、身近な工場、顔が見える安心感というのは大切です。
地産地消に皆が協力的であれば、農林漁業に好循環にもなり、ひいては自給率向上にもつながるのではないでしょうか。
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