ケース事例から学ぶ!ビジネス時に「契約書」が必要なワケ。
契約書は「法律問題が発生した時」あるいは「法律上のトラブルに巻き込まれそうな時」にだけ結ぶのではありません。行政書士が教える契約書の必要性とは。
こんにちは、ビジネス法務コーディネーター®行政書士の大森靖之です。
今回は、私がこれまでに経験してきた具体的なケースをもとに、「どんな場面で契約書が必要になるのか」考えてみましょう。
みなさんは、行政書士のところに、どのような形で相談や依頼が来るとお考えでしょうか?
例えば、次のようなイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
- 「売買契約書を作ってください」
- 「賃貸借契約書を作ってください」
- 「金銭消費貸借契約書を作ってください」
実は、私のところに契約書の作成の件でご相談がある場合、上のような、タイトル名と内容を指定した形でのご相談はまずありません。
では、どのようなご相談なのか、具体例を挙げてみましょう。
「取引先に、ウチから秘密情報を開示することになりました。
ですが、この取引先の社長さんは口が軽いのが、とても気がかりです。
何か良い対策はないでしょうか。」
「今度外注する先は、信頼のおける人からの紹介とはいえ、個人事業主のままなのです。
ウチが求めているクォリティが出せるのか、組織に属していなくても、きちんと対応しもらえるのかが不安です。
初めての取引ということもあり、何か良い方法はないでしょうか。」
「取引先の担当者の発言が、いつも二転三転して困っています。
今までは取引額が小さいから良かったのですが、今後、取引額が大きくなりそうなので、振り回されて困らないように予防線を張っておく手段はないでしょうか。」
このような感じで、「ふわっとした」ご相談になるケースがほとんどです。
この「ふわっとした」ところから、共通点を見つけていくと、ある事実に気がつきます。
ケース1では、「取引先の社長」
ケース2では、「新規取引先が個人事業主であること」
ケース3では、「取引先の担当者」
以上のように、どうやら「人」に関するお悩みが背後にあることが見えてきます。
読者の皆さんも、特にビジネスをされる方は、このような「人に関する問題」に直面することはないでしょうか?
実は、このような「人に関する問題」に直面した時にこそ、「契約書」が必要になるのです。
先に挙げたケースで具体的に考えてみましょう。
取引先(法人)と「秘密保持契約書」を締結して、秘密情報の管理責任と第三者への漏洩禁止の義務を課し、社長の口の軽さを牽制すると良いでしょう。
個人事業主と「業務委託契約書」を締結して、納期や責任の範囲を明確にするとともに、仕様書もきちんと作り込んで、仕事内容とクォリティもきちんと指示しておくと良いでしょう。
取引先(法人)と「取引基本契約書」を締結して、会社対会社の関係において、長期継続的な取引における実務上のルールを明確にし、担当者の個人的な裁量が入り込む余地を、できるだけ排除しておくと良いでしょう。
契約書は、「法律問題が発生した時」あるいは「法律上のトラブルに巻き込まれそうな時」に結ぶものと思われている方が多いかもしれません。
ですが、実際は上述のとおり、「人に関する問題」に直面したときにこそ、役に立つことが多いのです。
ビジネスに限らず、日常生活でも「人に関する問題」は待ったなしに発生するもの。
「人に関する問題」でお悩みの際には、「契約書」という手段で解決できないか、考えてみてはいかがでしょうか。
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