【歌舞伎ことば雑学】「山吹色の茶」さて意味は?歌舞伎の古い言葉・隠語一覧まとめ

歌舞伎をより楽しめる「古い言葉・隠語」一覧!江戸時代より続く歌舞伎は、現代ではほとんど使われない言葉も多く使われているため、聞き取れなくて当然なのです。

執筆者: 嶋村 知香 職業:ピアノ調律師・暮らしガイド
意味が分かりにくい!歌舞伎に出てくる「古い言葉・隠語」一覧

下のセリフ、どういう意味か分かりますか?

 

「山吹の茶を一服所望いたす」(河内山より)

 

山吹=黄色=小判の色。

つまり、山吹色のお茶とは、ワイロの隠語なのです。


ですから、上の意味は「黄色いお茶を一杯ください」ではなく、「わいろ(小判)が欲しい」と袖の下を要求しているセリフになります。


江戸時代より続く歌舞伎は、現在の会話には使わない言葉も多く使われますが、知っていると楽しさ倍増です。
いくつかご紹介しますね。

 

 

あ行
兄者人(あんじゃひと)

おにいさん

 

いかいお世話

どうもありがとう

 

逢瀬(おうせ)

デート

 

おこがましいが

出過ぎているようだが

「問われて名乗るもおこがましいが~」(青砥稿花紅彩画より)

 

おはもじ

恥ずかしい

 

おめもじ

お目にかかる

 

か行
かたがたさらば

皆さんさようなら

 

かたじけない

手厚い恩恵に感謝でいっぱい

 

合点

わかった

 

緩怠至極(かんたいしごく)

無作法、無礼極まりない

 

聞こえませぬ

納得いきません

 

吉左右(きっそう)

良い知らせ

 

久離(きゅうり)を切る

親子の縁を切る・勘当する

 

御意(ぎょい)

「御意のとおり」の略

ご主人様に「その通り」の返事=YESの意・家来が使う

 

金子(きんす)

お金

 

首実検(くびじっけん)

討ち取った首を本物かどうか確かめること

「実験」ではないので、ご注意を

 

「弟が首、よくも見損すまじに、兄盛綱が実検せよ」(盛綱陣屋より)

 

ご上意

将軍など位の高い人の意向

 

ご新造

他人の若妻

 

さ行
さん候(さんぞうろう)

さようでございます=YESの意

侍が使う

 

祝着(しゅうちゃく)

喜び祝うこと

 

首尾して

うまく段取りをつけて

 

総領(そうりょう)

家を継ぐ跡取りの長男

 

袖(そで)なかろうぜ

そっけない・つれない・冷淡

「花魁、そりゃアちとそでなかろうぜ」(籠釣瓶花街酔醒より)

 

そもじ

あなた・そなたの女言葉

 

た行
大尽(だいじん)

お金持ち

 

つがもなし

とんでもない

 

てんごう

いたずら・冗談

 

なさぬ仲

血のつながっていない親子関係

 

二世の固め

結婚のこと

 

女房ども(にょうぼども)

妻の呼び方

女房が複数いるのではありません

 

ねいねい

武家の奴、下男特有の主人にする返事=YESの意

 

は行
母者人(ははじゃひと)

お母さん

 

はばかりながら

生意気かもしれないが

 

はばかりさま

恐れ入ります

 

ま行

間尺(ましゃく)に合わない

割に合わない

 

三行半(みくだりはん)

離縁状

 

みずからは

わたくしは

お姫様が使う言葉です

 

面妖(めんよう)な

怪しい・不思議・奇怪なようす

 

や行
やつがれ

自分をへりくだって言う語

 

山吹色のお茶

ワイロの隠語

理由は、山吹=黄色=小判の色だからです。

 

ら行
悋気(りんき)する

嫉妬する

 

わ行
わが夫(わがつま)

 

我御寮(わごりょ)

あなた・おまえさん

対等もしくは下の関係に親しんで呼びかける言葉。

 

おわりに

歌舞伎は、感性で楽しんで観ればよいと言われますが、せっかくならセリフの意味を知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。

そんなときにお役に立てましたら幸いです。

 
 コラムニスト情報
嶋村 知香
性別:女性  |   職業:ピアノ調律師・暮らしガイド

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