初心者にもおすすめの歌舞伎演目は?歌舞伎三大名作のあらすじ解説
元禄時代に花開き、最盛期を迎えた歌舞伎。
上方(京・大阪)では近松門左衛門が書く人形浄瑠璃が大ヒットし、そのヒット作は次々歌舞伎化されていきました。
上方での大ヒットした作品は江戸にも伝えられ、今もなお上演され続けている歌舞伎三大名作が誕生しました。
今回は、この歌舞伎三大名作についてご紹介します。
延享3年(1746)初演の五段からなる時代物です。
菅原道真の大宰府流罪を中心に、当時大阪天満で生まれた三つ子の話題なども盛り込んで、道真周辺の人々の人間模様が描かれています。
右大臣・菅原道真は左大臣・藤原時平の陰謀により九州大宰府へ流罪となります。
物語には道真に仕える家柄に生まれた三つ子の兄弟、梅王丸・松王丸・桜丸が登場します。
この三兄弟が敵味方に分かれ悲劇的な展開に進んでいきます。
仕えた上司の運命に翻弄される、父と三兄弟の絆が見どころです。
延享4年(1747)初演の五段で構成される時代物です。
源平合戦での功績にもかかわらず兄頼朝から謀反の疑いをかけられ都落ちしていく源義経と、壇ノ浦で源氏に滅ぼされたはずの平家。
しかし、実は生き延びていた平知盛・維盛・教経という三人の平家の武将の滅び行く運命を軸に、いがみの権太と狐忠信の挿話を織り交ぜたストーリーです。
静御前と親を慕う子狐の姿も、見どころのひとつになっています。
義経千本桜はいわゆる「判官物」です。
弱い者に同情し肩をもつ「判官贔屓(ほうがんびいき・はんがんびいき)」と言われる言葉の「判官」は、九郎判官と呼ばれた義経のことを指しており、あえない不幸な最期を遂げた義経に対する同情から生まれた言葉です。
寛延元年(1748)初演の、大序から討ち入りまで十一段からなる時代世話です。
日本人なら誰でも聞いたことがある、江戸時代の赤穂浪士の討ち入り事件を題材にした仇討の名作です。
忠臣蔵物の最高峰と言えるでしょう。
義士たちを実名で称えることは江戸幕府を批判することになるので、作者は登場人物の名前を変え、時代も足利時代に変えて作成されています。
大石内蔵助は大星由良之助に、浅野内匠頭は塩冶判官(えんやはんがん)、吉良上野介は高師直(こうのもろなお)に変名されました。
今回ご紹介した三作は、全て大坂「竹本座」所属の竹田出雲・三好松洛・並木千柳による合作で、三年連続で書き下ろされました。
この三作のように、人形浄瑠璃で人気の作品を歌舞伎に脚色し、上演されたものは、「義太夫狂言」と呼ばれています。
江戸時代から現在まで上演され続け、なお色褪せない人気の歌舞伎三大名作。
数百年も前の作品ですが、今に通じるものが必ずある筈です。
現代でも今直絶大な人気を誇るこれら演目は、今後も絶対に外せない名作として、いつまでも君臨し続けることでしょう。
どうぞ歌舞伎鑑賞のご参考になさってください。
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