歌舞伎鑑賞をもっと楽しむ!歌舞伎のメイク・化粧法について
歌舞伎入門!歌舞伎のメイク・化粧法にどんな意味があるのかを紹介。顔の色や隈取(太い線)は、登場人物の性格を表しているから、舞台を観る前に知っておくとより楽しめます。顔が真っ白な理由も分かります。
独特な歌舞伎のメイク。
今回は、その歌舞伎のメイク・化粧法にどんな意味があるのかご紹介します。
その答えは、江戸時代にまで遡ります。
歌舞伎の発祥は、おおよそ400年前の江戸時代。
その頃は当然電気はなく、天気が悪かったり、日が暮れたりすると、町は真っ暗。
舞台でも今のような照明は当然なく、太陽の自然の光と蝋燭などの灯りだけが頼りでした。
薄暗い舞台の上では、芝居の声は聞こえても姿が見えない。
暗くて顔が見えないと、誰のセリフか分かりません。
そこで、暗い舞台でも顔が認識できるよう工夫し編み出されたのが、「白塗り」という化粧法でした。
今でいうスポットライトの効果を、電気がない時代にメイクで実現したのです。
それが、今も綿々と伝承されています。
白塗りの上に顔の中心から放射線状に太い線。
この線は落書きではなく、顔の血管を表しています。
感情が高ぶると青筋が立ったり、赤く浮き上がったりしますよね。
これは、顔の血管や筋肉を誇張し描くことで、薄暗い舞台を遠くで見る人にも、より表情を見やすくするための工夫から生まれた歌舞伎独特の化粧法で「隈取(くまどり)」と言います。
「人を見た目で判断してはいけません」などと申します。
ですが、歌舞伎では「人は見た目が100パーセント!」とまではいかずとも、多くの場合、大体判断ができるようになっています。
- 白塗り …善人・色男系
- 赤っ面 …悪人・単細胞
ですから、歌舞伎を初めて見る方でも、登場人物の顔を一目見るだけで、その性格の検討がつくという訳です。
とても分かりやすいメイクスタイルですね。
「隈取(くまどり)」も色により、おおよその性格が決まっています。
いくつか例を挙げてみます。
正義、元気、力強さ、若さなど表現し血気盛んなヒーロー的な役
陰気で邪悪な悪の権力者など敵役
妖怪や鬼畜、土蜘蛛の精など非人間的な役どころ
三枚目の道化役
このように、役の性格を顔に思いっきり誇張して表現するのが歌舞伎独特の化粧法です。
なお、いかにも悪人メイクで登場、しかし実はいい人だったという「戻り」という手法の演目もあります。
なかなか興味深い趣向ですね。
これだけの知識でも頭の片隅に入れておくと、より舞台が楽しめることでしょう。
歌舞伎鑑賞のご参考になれば幸いです。
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