市販薬購入でも医療費控除が可能に!「セルフメディケーション税制」の基本知識と申告方法
2017年1月より、OTC医薬品の購入額が1万2千円以上になったら医療費控除が可能になる「セルフメディケーション税制」開始!基礎知識と年末調整時の申告方法を紹介。
超高齢化が加速を続けるなか、少しずつ浸透しつつあるのが自分の健康は自分で守る「セルフメディテーション」という概念。
2017年1月からスタートのセルフメディケーション税制についてご報告します。
アメリカやドイツなど、医療費の増大に悩む国はほかにもありますが、日本は最悪です。
つい先日も、2014年度にかかった国民医療費の総額が40兆8071億円だったとの報道があったばかり。
過去最高額の更新は、8年連続なのだそう。
国を挙げてさまざまな対策が打ち出されてきましたが、セルフメディケーション税制もそのひとつです。
セルフメディケーションという言葉は、WHO(世界保健機構)で定義されています。
要約すると「自分の健康は自分で守る」といったものですね。
元々は、医療用医薬品に含まれる成分は、処方箋が必須でした。
2009年に薬事法が改正されたことで、市販の大衆薬(OTC医薬品)に医療用成分が配合できるようになったのです。
医療用成分の配合された「スイッチOTC(Over The Counter)」は、現在は店頭で購入できるようになっています。
これは、軽症なら効き目の高い成分の薬を飲んで自分で治そうということです。
セルフメディケーション税制は、自分の健康管理を頑張った人の補助制度のようなものだといえます。
- スイッチOTCとは
医療用から一般用に切り替えた(=スイッチした)薬のこと。
OTCは「Over The Counter」の略で、薬局のカウンターから買える薬という意味。
セルフメディケーション税制は、2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間。
この期間内の1月1日から12月31日まで、1年間に購入したOTC医薬品の購入額が1万2千円を超えた部分の税金が控除されます。
ただし上限が8万8千円までと決まっていて、いわゆる医療費控除の特例という形です。
従来からの医療費控除は、医療費用が10万円を超えた場合でないと利用できません。
セルフメディケーション税制は、10万円未満ということです。
ただ、併用はできないため、自分でどちらかを選択することになります。
以下の3項目は、全てに該当していることが条件です。
- 所得税、住民税を納めていること
- 1~12月の1年間に、健康増進および疾病の予防のための取り組みを行っている
- (特定健康診査・予防接種・定期健康診断・健康診断・がん検診のうち1つは受診が必要)
- 1~12月の1年間に、対象となるOTC医薬品を(扶養家族分も合算で)1万2千円以上購入していること(レシートが必要)
厚労省のホームページには、対象のOTC医薬品が載っていますが、店頭でも識別マークで確認できるようになります。
ホームページは詳細な内容になっているので、利用の際にはチェックがお勧めです。
申告する方法は、自分で確定申告をすることになります。
直接赴いてもいいのですが、国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーなら、天候を気にせず都合に合わせられ便利ですよね。
申告の際に必要なレシート(領収書)には、5項目の記載が必須。
さらに、自分で書き込む点があります。
2. 金額
3. [当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である]との表示
(商品名の前に「★」印などを書き、★は[ ]である)と書けばわかりやすい
4. 販売店名
5. 購入日
申告は面倒ですが、所得税の一部が戻ったり(1年間の所得と購入額により変動)、住民税の軽減は有り難いですよね。
2017年になったら、OTC医薬品のレシートは捨てたらダメですよ。
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公私ともに海外経験が豊富。旅とゴルフをこよなく愛す「とりあえず離陸型」で、向こう見ずなところも。好奇心旺盛で情に厚く、人を楽しませるのが大好きな性格です。座右の銘は「遊心忘るべからず」。よろしくお願いします。
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