飛行機の豆知識!機内で生まれた赤ちゃんの国籍は?飛行中に起きた犯罪は、どの国の法律で裁かれる?

最近頻繁に報道される、飛行機の中での暴力事件。飛行中の機内での事件は、どこの国の法律が適用されるの?航空アナリストが、わかりやすくご紹介します。

執筆者: 奥之園 誠 職業:航空アナリスト
飛行中の機内での迷惑行為や犯罪。どこの国の法律が適用される?

最近、メディアで、飛行機の中での酒に酔った暴力事件などが頻繁に報道されていますね。


5月には、成田発ロサンゼルス行きのANA機の機内の中で、アメリカ人男性が暴れだし、身を呈して止めに入る客室乗務員(CA)の動画がニュースになりました。

また、国内でも、青森から到着したJAL機の中で、酒に酔った乗客がCAに暴行をはたらいたニュースが放送されました。

 

では、飛行中の機内での迷惑行為や犯罪は、一体どこの国の法律が適用されるか、ご存知ですか?

空港にいる間は、その国の法律が適用されるのはなんとなくわかりますが、飛行中の機内ではどうなるでしょうか。

 

基本の考え方は?

基本、機内では、その飛行機が属する国の法律が適用され、公海上を飛行している場合でも、その航空機の登録国が管轄権を行使できるのです。

 

 

 国籍の異なる2社の航空会社間で運航を行う「コードシェア便」の場合は?

航空機の国籍の異なる2社の航空会社間で運航を行う、コードシェア(共同運航)の場合は、航空機を運航する航空会社と、それに付随する航空会社の2社に分かれます。

この場合、航空機を運航する航空会社の国籍の法律が適用となります。

 

他国の空港や領空内で事件が起きた場合は?

先ほど、公海上においては「機内の管轄権は、その航空機の登録国にある」と書きましたが、ある国の空港や領空内で事件が起きれば、その国の法律が適用される場合があります。

日本籍の飛行機の場合、飛行機は日本籍なので、日本の法律が適用されますが、犯罪が発生した場所が日本以外の外国の領空や空港であれば、その国の法律も併用して適用されるということですね。

 

では、どちらが優先されるかというと、これは時と場合に応じて判断されます。

 

「事件が起きた国」と「航空機の国籍」、どちらが優先されるかはケースバイケース

例えば、A国の領空内(または空港)で事件が起こったとしましょう。

 

一般的に、機内で事件が起きた場合、A国の領空内で、A国の人間が巻き込まれたとなると、A国の法律が適用されるようです。

ただ、同じくA国の領空内で事件が起こっても、A国に関係のないB国籍やC国籍の人間が巻き込まれた場合は、航空機の国籍の法律が適用された例もあります。

あくまでもケースバイケースです。

 

飛んでいた場所(土地)の法律が適用されるケースも!

なお、2012年の羽田空港行きの国内線での犯罪のように、飛んでいた場所(土地)の法律が適用されることもあります。

具体的には、兵庫県上空で、CAのスカートの中を盗撮した男が、兵庫県の「迷惑防止条例違反」で、羽田空港到着後に警視庁に逮捕されたのです。

発生が兵庫県上空なので、兵庫県の法令が適用された事例です。

 

余談ですが、送致を受けた東京区検は、のちに「犯行場所を特定できず、兵庫県の条例を適用するのは難しい」と判断したとみられ、容疑者の男性は処分保留で釈放されています。

 

犯罪発生時の機長の権限は?

機長には、犯罪が発生した場合、加害者の拘束・降機・当局へ引き渡し・その他必要な措置をする権限が与えられています。

また、機長以外の乗員や乗客についても、機体や人、財産の安全を守るため、直ちに必要であると信じるに足りる相当な理由がある場合には、機長の承認を得ることなく防止措置を取ることができます。

乗客でも被害拡大を防ぐなど、急を要する場合は加害者を拘束できるわけですね。

 

出国手続き終了後に進む「制限エリア」はどこの国?

出国手続きを終えて機内へ向かう、いわゆる制限エリアと呼ばれる場所は、どこの国の物と思われますか?

「出国手続きを終えて出たら、自分はすでに日本から出国したので、日本ではない!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

答えは…、制限エリア内でも日本領土なので、当然ながら日本の法律が適用されます。

制限エリアというのは、”出国手続きをした人が滞在する場所”との捉え方なのです。

 

機内で生まれた赤ちゃんの国籍は?

メディアでよく放送されているのを目にするように、機内での出産の例は多いようです。

では、機内で生まれた赤ちゃんの国籍はどうなるかご存知でしょうか?

 

日本の場合は、二重国籍は認められていないことは、ご存知だと思います。

この国籍については、国によって考え方が異なるようで、日本の場合は、両親のどちらかが日本人であれば、日本国籍を取得できます、

ですので、飛行中の公海上で生まれた子どもでも、海外の空港で駐機中に生まれた子どもでも同様となります。

 

 

欧米については、日本のように、国籍は血縁よりも生まれた土地が基本となり、自国の領土・領空内で生まれた子どもには、両親の国籍がどこであるかをいっさい問わず、自国の国籍を与えることができます。

つまり、両親が日本人、または片方が日本人でも、アメリカ国籍の機内で生まれた子供は、アメリカの国籍を持つことができます。

 

同時に、日本の国籍の考えでは、両親のどちらかが日本人であれば、日本国籍を取得できます。

ですので、飛行中の公海上で生まれた子どもでも、海外の空港で駐機中に生まれた子どもでも、日本国籍となるため、二つの国籍を持つことになりますが、二重国籍とならないように、成人するまで国籍を一方に選択するようです。

 

おわりに

今回は、飛行機の中で適用される法律をご説明してみました。

「お酒に酔っていたから」というのは、機内での迷惑行為の理由にはなりませんので、ご注意ください。

 
 コラムニスト情報
奥之園 誠
性別:男性  |   職業:航空アナリスト

航空ブロガー、航空検定1級。

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