思春期の子どもに起こりやすい「過換気症候群(過呼吸症候群)」の原因・症状・家庭でできる対処法
精神的ストレスが原因と言われる「過換気症候群」。思春期の子どもの複雑な心理から、突然発症するケースも。原因・症状に加え、起こったときに慌てずに親ができる対処法も紹介。
こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。
たくさんの物事を抱えこんでしまう人に見られる心身症の1つ「過換気症候群」。
いわゆる「過呼吸」と呼ばれる状態になるため、「過呼吸症候群」と呼ばれる場合もあります。
今回は、勉強・スポーツ・家庭環境など、さまざまなことで悩みやすい思春期の子どもに起こりやすい、この過換気症候群(過呼吸症候群)についてお話ししたいと思います。
最初にお話ししたとおり、過換気症候群は心身症の1つです。
ストレスや興奮・怒りなどによって、呼吸が早くて深い状態(過呼吸状態)になるものです。
【心身症とは?】
心身症とは、心のゆがみが身体症状となって現れるものです。
つまり、心理的な影響によって起こる病気です。
代表的なものとして、「慢性胃炎」や「チック症」などがあります。
発作的に息苦しくなり、浅く速い呼吸を繰り返すようになると、酸素を必要以上に摂取することになり、血液中の酸素が増加します。
すると、それにより血液中の二酸化炭素濃度が低くなります。
この状態では血液がアルカリ性に傾いてしまい、イオン化カルシウムの値が低くくなって症状が現れます。
【症状例】
- 急な息苦しさ
- 動悸やめまい
- 手足のしびれ
- 胸痛
- 嘔吐感
- 意識消失 など
●参考書籍『子どもの病気がよくわかる本』 著者:大澤真木子(小児科医)
そもそも過換気症候群は、ストレスがかからなければ起こることはありません。
ただ、これを言い換えると、ストレスがかかれば誰でも発症するおそれがあるとも言えます。
思春期を迎えた頃の子どもは、精神的にも未熟ですし、さまざまな葛藤があります。
- 部活の厳しい練習や叱咤激励、頑張りたい気持ちと体がついてこない現実
- 学習では学校と塾の掛け持ち、良い学校への入学と親の期待に応えたい気持ち
- いい子で頑張らないといけない、毎日どこにいても緊張状態(追い詰められている)など
親が過剰に期待をかけたり、過干渉気味だったりするような場合も、反抗と親への気持ちから葛藤が生じ、発症するケースがあると考えられます。
特に、女子に多く見られます。
頑張り屋で、何でも一生懸命に取り組むという子や従順な性格をしている子は、突然発症することがありますので、注意が必要です。
過換気症候群の兆候は、急な息苦しさや動悸、めまいや手足のしびれといったものです。
苦しさを訴える子どももいます。
ここで大切なのは、親や側にいる人が慌てないことです。
兆候が出た場合の、家庭での処置の方法は次のとおりです。
1. まずは、座らせて、呼吸を「吸うよりもゆっくり吐く」ように誘導します。
酸素の大量吸収をしないようにするためです。
2. 背中をゆっくりさすりながら「大丈夫だよ」と声をかけ、本人を安心させましょう。
不安な状態を落ち着かせるためです。
3. 呼吸が落ち着いてきたら、横にして休ませます。
しびれなどの症状が落ち着くまで休ませましょう。
子どもが発症した場合、「呼吸をゆっくり」「吐くことを意識して」というように声かけをしても、実際コントロールをするのはかなり難しいでしょう。
必ず親や側にいる人が支えてあげる必要があります。
症状が悪化するような場合や、意識の喪失が見られるような場合は、早急に受診が必要です。
それ以外でも、次のような場合は、できるだけ早く小児科への受診をしましょう。
- 初めてこのような症状が出たとき
- 症状が長引くとき
子どもが過換気症候群を起こしてしまう場合、ストレスとなるものが生活環境や背景にあるケースがあります。
それに気づかないでいると、慢性化したり長引く発作が起こったりすることになります。
精神的に強い子どもばかりではありません。
そのあたりをよく見てあげる必要があります。
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