タイ式マッサージはなぜ効果があるのか?歴史や基本知識(揉み・ほぐし・セン・祈り)を紹介

執筆者: さくらこ 職業:旅行会社経営 スポーツインストラクター
はじめに

日本でも人気のタイ式マッサージは、頭の先からつま先まで全身をくまなく揉みほぐします。

イタキモチイが癖になるという評判のタイマッサージが、どうして凝りに効くのか?
凝りだけでなく、体のあらゆる不調にも効くのは、どうしてなのか?


歴史あるタイマッサージの、神秘に迫ってみましょう。

 

 

2500年前に生まれた古式マッサージ

タイ式マッサージは、タイ語では「ヌアッ(ド)・ペーン・ボラーン」と呼ばれます。

ヌアッ(ド)というのは、揉むという意味で、マッサージするということです。
ペーンボラーンは、「古式」という意味です。

タイ古式マッサージは、2500年以上も前から伝わる伝統的なマッサージです。
このマッサージをタイに紹介したのは、インドの医師であるShivago Komarpaj(シヴァカ・ゴーマラバット)先生です。
マッサージはリラックスや美容のためではなく、最初は医療のひとつとしてタイで発祥しました。
その後、中国からの医学や、タイ独自の医学が融合し、タイ古式マッサージが確立されていったのでした。

1836年にタイの国王であるラマ3世が、バンコクワット・ポーという寺院に医学を伝える施設を作りました。
それ以前のビルマとの戦争により、多くの貴重な書物が焼失してしまったことを踏まえ、ワットポーでは、石碑に文字を彫りました。
この石碑は60枚にも及び、現在でもワットポーで見学することができます。
これにより、一般市民にもタイマッサージが広く普及したと言われています。

 

 

病気の治療にも用いられる理由

タイ古式マッサージは、医療の一環として、王室や僧侶から伝えられてきました。
インドの医師であるShivago Komarpaj(シヴァカ・ゴーマラバット)先生は、タイマッサージの他にも、ハーブなどの薬効に詳しかったようで、今でもタイマッサージの仕事に従事する人に崇められています。


ワットポーの石碑には、体の中を流れる「セン」と呼ばれるエナジーラインの図が細かに書かれています。
また、患者の診察や、薬の調合などについては1100種類も及ぶ文献が残されています。
タイマッサージは、体の繋がりを熟知し、疾患のある場所と繋がっているセンを刺激することで、効果を存分に発揮できるように考えられているのです。

タイ式マッサージで使われる「セン」とは

タイ式マッサージの中で、特に重要とされているのが「セン」という言葉です。

センというのは、体の中を流れるエナジーラインとされますが、リンパや血液の流れのようなものと理解すると分かりやすいです。


マッサージの中では、血管に指を当てて、血をしばらく止めた後一気に流すというテクニックがあります。
血液の循環を良くすることで、悪いところが改善されるという例はたくさんあります。
タイ式マッサージを勉強するということは、センを勉強することです。
体の中には、実に72000本ものセンがあるのだそうです。
ツボ押しとは全く違う、センというラインに沿って流れるように揉み進んでいくのが、タイ式マッサージです。

その他に、タイの伝統医学の中には、エレメントと呼ばれる「地、火、風、水」のバランスが大切と考えられています。
体の中の器官を4つのエレメントに例えて、センと合わせて重要なものとされています。

揉みとストレッチの絶妙な組み合わせ

タイ古式マッサージは通常2時間かけて、足のつま先から始まり、頭のマッサージで終了します。
その後、ストレッチの時間があります。


ストレッチは枕などを使って前屈をぐーっとしたり、セラピストさんが下から持ち上げるようにして、エビ反りになったり。
上半身を左右にぐーっと捻ったりします。
やる前はちょっと痛いかな?と思うのですが、やってみると案外体が伸びるのでビックリです。
マッサージを先にすることで、体のこりがほぐれてリラックスするせいなのでしょうか。
この仕上げのストレッチで、更に体のバランスが完璧に近づくように感じます。

 

 

タイ式マッサージのしきたり

タイ式マッサージを学ぶ人が必ず勉強するのが、お祈りです。
このお祈りは「Om namo(オンナモ)」と呼ばれています。
これは、宇宙や仏陀、伝道者であるシヴァカ・ゴーマラバット先生に祈り、力をお借りするという意味合いのものです。
また、これから施術する患者の病気がよくなるように、幸福になるようにと手を合わせます。

授業の前には必ず唱えるものですし、マッサージ師は施術の前にも必ず手を合わせて短く祈ります。
技術だけではなく、大いなる自然や宇宙の力をも借りて行うマッサージ。
雄大な力が働きそうです。

おわりに

タイ式マッサージが心と体に効くのは、病気の人を癒すために、たくさんの知恵を絞って伝えてきた賜物だったのです。

体を宇宙や地球になぞらえて、自然の力を借りて悪いところを直そうとする、マッサージ。
効かない訳はありませんね。


日本でも今はタイマッサージのお店がたくさんありますし、もちろん本場タイに来たら絶対に体験して欲しいスポットの1つです。

 
 コラムニスト情報
さくらこ
性別:女性  |   現在地:タイ プーケット  |   職業:旅行会社経営 スポーツインストラクター

こんにちは。タイ・プーケット島に20年住んでいます。夫婦で旅行会社を経営する傍ら、趣味でやっていたテコンドーに没頭しすぎて、現在はインストラクターもしています。タイ旅行(特にリゾート地)のノウハウや、そこでの生活などを綴っています。

2005年から続いている、ブログも見てやってください。
http://phuketwebm.exblog.jp/