スパイスで一攫千金!香辛料の歴史と文化を学ぶ -前編-
地中海に浮かぶイタリアの島、サルジニア島では、ローズマリーやオレガノが数千年も前から自生しています。
冷蔵庫などなかった時代、狩りで捕らえた動物の肉を、これらのスパイスで包んで保存していたのでしょう。
そのまま放置しておけば2~3日で腐ってしまうお肉が、スパイスのおかげで美味しそうな香りが付き、少々腐ったとしても美味しく食べられることが分かったのだと思われます。
ローズマリーは、今ではヨーロッパ各地に自生しておりますが、昔から肉を保存する役目として、狩猟民族には必要不可欠な植物でした。
スパイスは、生存のための防腐作用として活用されていたのです。
古代エジプトはスパイスの先進地で、宗教的な儀式には欠かせないものでした。
ピラミッドに納められた貴人の遺体は、アジアから遥々運ばれてきたクミンやクローブといったスパイスが詰められ、ミイラとなりました。
死んだ人の霊魂は復活すると信じられていたため、肉体が再び活躍出来るようにと、スパイスで防腐処置がとられたのでした。
こうしてスパイスの用途は、霊魂の領域へと広がっていきました。
また、生きている人間に対しては、即効力のあるスパイスが使用されました。
王家の権力の象徴、巨大ピラミッド建設には何万人もの労力が必要とされました。
彼らの疲労を回復させるために、ガーリックとオニオンを大量に使った料理が与えられたそうです。
ギリシャ・ローマ時代になると、薬用としての植物研究が盛んになります。
2000年以上も昔、ギリシャの裕福な都市として知られていたシバリスという所では、夜毎の宴会に数種類のスパイスやワインをブレンドしたソースを使用した料理が出されていました。
そして、見事なソースを作った料理人には、ご褒美が与えられたそうです。
ユーラシア大陸を横断し交易品や金銀財宝を運んだシルクロードは、スパイスロードともいうべき道でした。
当時珍重されたスパイスは、スパイスアイランドと呼ばれたインドネシアのモルッカ諸島や、セレベス島のクローブやナツメグ、ペッパーなど、東洋を原産とするものでした。
これらのスパイスは、マラッカ海峡を渡りインドへと海路で運ばれました。
インドで、ペッパーやカルダモン、そしてセイロンのシナモンを積み込み、ラクダに乗せて遥々地中海へと運ばれてきたのでした。
現在のインドからアフガニスタン、イラクを経由して、アラビア半島を横切って紅海を渡る長い旅の道は、西を目指すシルクロード。
砂漠や険しい山を抜け、時には山賊に襲われることもあったでしょう。
そんなシルクロードの旅は、なんと片道2年もかかる過酷な道中でした。
そのため、当時はスパイスがヨーロッパに渡ると、原産地の1000倍、2000倍の値段になったといわれ、同じ重さの金銀よりも価値があったそうです。
このスパイス貿易で、最も大きな利益を上げていたのがアラビア商人達です。
交易路の中間に位置するアラビア半島には、ヨーロッパに渡る全てのスパイスが集まったため、紀元前後から中世に至るまで、回教徒(現代のイスラム教徒)たちがスパイス貿易を独占していたのです。
当時、一人前の男性の年給を一握りのカルダモンで支払われていた、あるいは奴隷を一人買うことが出来たといわれるほど、スパイスは大変高価なものでした。
このように、世界を渡り歩いたスパイスは、いずれ東に渡り、アジアでも使われるようになります。
次回は、アジアに渡ったスパイスがどのように使われたかと、最もスパイスを愛したヨーロッパの人達についてお話します。
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