オリーブオイルはつけない!パンの食べ方に関するイタリア料理のテーブルマナー
日本のイタリア料理店では浸透しているけれど、実は和製だったというマナーは結構あります。
今回は、日本ではよく見られるもののイタリア本場のものではない食事マナーを、いくつかご紹介します。
日本では、色々な形式のレストランで、パンが出てくるときは一緒にバターが出てきます。
そのためパンには何かを付ける傾向があります。
テーブルの上にパンとオリーブオイル皿が用意されて、パン自体を前菜のように頂くのは、何とも日本的な光景であってイタリアには存在しません。
イタリアではパンにはバターが付きません。
そしてオリーブオイルや塩も付けません。
イタリアでパンにオリーブオイルを付けて食べる時は、オリーブオイルのテイスティングをする時ぐらいです。
ランチやディナーではパンには何もつけず、パスタ、メイン料理と一緒にいただきます。
朝食ではバターやマーガリンを付ける人も多いですが、やはりオリーブオイルはつけないのです。
イタリアに来たら絶対食べたいのが、生ハムやその土地ごとに味わいの違うサラミやチーズです。
そんなイタリアの美味しさが詰まった、アンティパスト(前菜)もやはりパンと食べます。
パンの上にハムやチーズをフォークで乗せて、パンを手に取って食べます。
または、ハムやチーズを口に運んでからパンを食べるのです。
以前ハムだけを口に運んでいたら、同席している人にパンを渡されたことがあります。
彼は私の分のパンがないと、気を使ってくれたようです。
日本では人数分のパン皿がありますが、イタリアではパン皿はなく、テーブルにカゴなどに入ったパンが置かれます。
くだけた席での食事では、テーブルの上にそのままパンが置かれることも良くあります。
これは、イタリアでは食事時に清潔なテーブルクロスを敷くことで、テーブル自体が大きなお皿のような役割になるためです。
パンはカゴから取って手元に置き、一口サイズにちぎって食べます。
パンは一切れ丸ごと手元に取りましょう。
一切れが大きい場合「残すのが勿体ないから食べる分をちぎって」カゴに戻している光景を目にしますが、これはイタリアではマナー違反です。
カゴに戻してしまうと食べ残しを戻したようになり、他の人が困惑します。
一度手に取った物は、もうあなたの物。
食べかけのパンが手元に残ることは、悪いことではありません。
また、パンはテーブルの上に直接置きます。
テーブルが汚れるのを気にして、今食べているお皿の上に乗せる必要はありません。
こちらでは、テーブルの上にパン屑が散らかることは、マナー違反ではありません。
パスタやメイン料理のソースをパンに付けて食べることを、イタリア語ではスカルペッタと言いますが、これは正式にはマナー違反です。
ただ、「正式には」というのがポイントで、家庭や気張らなくて良いトラットリアと言われるレストランでは良くやられている、公に許されたマナー違反です。
スカルペッタは「食べ残ったソースも美味しくて残したくない」という、賛辞としてとられることも多く、そういう場所ではマナー違反ではありません。
スカルペッタをしたなら、お皿を下げに来たウェーターに「ボーニッシモ!(美味しいの最上級の意味)」と笑顔で言ってみてはどうでしょうか。
あちらも笑顔で答えてくれることでしょう。
今回は、パンに限定したイタリアとのテーブルマナーの違いを紹介しました。
前回のコラムでは、別の角度でもイタリア料理のマナーを記載していますので、そちらもご参考下さい。
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イタリアとスイスの国境の近くの町で、
イタリアとスイスを行ったり来たりな生活をしています。
スローフードな食事を愉しんだり、メンドクサくて温かいイタリア人との毎日。
こちらの習慣に泣かされることもあるけれど、負けは続かせないぞ、私は毎年強くなっていっています!
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