仕事が嫌だ!「適応障害」の原因・症状・診断チェック -社会保険労務士が解説

同僚や後輩がいつもより落ち込んでいる…うつや五月病かも?適応障害と称される「職場不適応症」の原因と症状、対策方法を会保険労務士が解説。

執筆者: 柳田 真 職業:社会保険労務士、産業カウンセラー
気分が落ち込む「五月病」とは

こんにちは、社会保険労務士の柳田真です。

 

よく耳にする「五月病」ですが、五月病という名前は、医学的には存在しません。

 

仕事の面からいうと、就職や新しい部署への異動などで環境が変わり、最初は張り切っていたけれども、5月の連休明け頃からなんとなく気分が落ち込む、疲れやすい、仕事に集中できない、眠れないといったスランプ状態に陥ることを指します。

 

その症状が出やすい時季が5月だったため「五月病」と呼ばれていました。

 

 

しかし最近では五月病より、「職場不適応症」という言葉の方がよく使われるようになっています。
この職場不適応症も正式な病名ではなく、「適応障害」が仕事や職場をきっかけとして起こり、社会生活に支障をきたすような精神的不調のことを総称して使われています。

 

そういう意味では、前述の五月病や社会問題化している「新型うつ」も、職場不適応症の中に含まれるものと考えてよいでしょう。

職場不適応症の原因

職場不適応症の原因として考えられるのは、大きく3つあります。

1.職場内の人間関係

特に最近の若年層は、他人とのコミュニケーション能力が未熟で相談することが下手なため、職場内で孤立してしまいます。

また、打たれ弱いため、上司や同僚の言動から容易に傷つき、心身に不調をきたすことが非常に多く見受けられます。

2.職務内容の不適性

例えば新入社員の場合、就職活動中に思い描いた企業イメージと、実社会の泥臭い現実とのギャップに悩んだり、企業名や職種名だけを求めた結果、自分の適性と乖離する仕事をしてしまい、不満や不安を感じていることがあります。


また、優秀な技術者だった社員が、管理職になったとたんに成果が出せずに追い込まれ、精神的不調をきたすこともあります。

3.過重労働

長時間労働が続く場合や、心理的負担の大きい業務を任された場合など、心身共に消耗し、やがて精神的不調をきたしてしまいます。

 

このような症状の社員がいたら職場不適応症かも?

職場不適応症が疑われる症状には、次のようなものがあります。

 

  • 遅刻や欠勤が多くなった。
  • 席を外したりする時間が多く、集中力が続かないようだ。
  • 寝不足を訴える(または感じられる)。
  • イライラしていて、些細なことでも腹を立てる。
  • 以前に比べて仕事の効率が格段に落ちている。
  • 特定の上司の前では、異常に緊張したり、体調が悪くなるようだ。
  • 勤務中に過呼吸に襲われた。
  • 残業が続き心身ともに疲れている。

 

メンタルヘルス対策は早期発見と対処が必要

社員に、このような「いつもと違う」症状が見受けられる場合、管理職の方は、まずは積極的に声を掛け、話をじっくり聞くようにしてください。

管理職の方でなくても、周囲にいる人が「異変」に気づいたら、早めに管理職の方に報告するようにしましょう。

話を聞く中でその原因を把握し、原因を解決するための対策を取ることが重要になります。

 

また、場合によっては精神疾患の疑いがあることもあります。

医療機関の受診を勧めるなど、メンタルヘルス対策では早期発見、早期解決が重要です。

 
 コラムニスト情報
柳田 真
性別:男性  |   職業:社会保険労務士、産業カウンセラー

 こんにちは。
やなぎだ労務管理オフィス、社会保険労務士の柳田 真(やなぎだ まこと)です。メンタルヘルス対策を重点業務としています。
 また、年金事務所、労働基準監督署での勤務経験を活かし、労働問題、年金のご相談も幅広く対応しています。

 ご依頼・ご相談は、下記、やなぎだ労務管理オフィス ホームページよりお問い合わせください。

【やなぎだ労務管理オフィス】

 http://www.office87.com

【事業概要】
 メンタルヘルス問題に関するコンサルティング業務(相談・復職支援・社内カウンセリング・教育)、労務コンプライアンス相談及び社内規程整備、助成金相談及び申請代行、障害年金請求手続代行など。

【得意分野】
 メンタルヘルスに関する諸問題を、ハード(法律)とソフト(カウンセリング)両方向からアプローチを行い問題解決をいたします。休職・復職に伴う諸手続、社内教育など幅広くサポートしています。
 
 また、当オフィスは、メンタルヘルス領域の第一線で活躍している学者や実務家をメンバーとした、一般社団法人産業保健法務研究研修センターの正会員です。裁判例などメンタルヘルス法務に関する最新情報の取り込み、専門医紹介など、常に質の高いサービスを提供しております。

【保有資格】
 社会保険労務士(東京都社会保険労務士会所属)
 一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー
 中央労働災害防止協会登録 心理相談員
 一般社団法人産業保健法務研修センター認定 メンタルヘルス法務主任者

【代表者経歴】
 東京都社会保険労務士会 総務・財務委員会委員
 東京都社会保険労務士会港支部 総務委員長
 東京都社会保険労務士会 無料電話相談(社労士110番)担当
 一般社団法人産業保健法務研修センター 正会員
 港区役所 国民年金係相談窓口担当
 足立年金事務所 厚生年金適用調査課
 柏労働基準監督署 就業規則・36協定点検指導員