「新型うつ」と「従来型うつ病」の違いとは?症状チェックと対策ポイント
社会保険労務士が解説!新型うつは甘え?最近の社員に増加している「新型うつ病」の症状と、新型うつに掛かった社員に対して会社が取るべき対策を紹介します。
こんにちは、社会保険労務士の柳田真です。
突然、「うつかもしれません」と診断書を持ってきて休む社員。
二日続けて遅刻したのを叱っただけなのに、「パワハラを受けてメンタル不調になった」と労働基準監督署に駆け込む社員。
このような従来の「うつ病」の概念では捉えきれない事例(=新型うつ)でメンタル不調を訴える社員が増えています。
「新型うつ」は正式な病名ではないため、単に「うつ病」としか記載されていない診断書が会社に提出されます。
精神科医の間でさえも、その扱いに議論が分かれている状況なのに、まして会社の人事担当者や管理職が、新型と従来型を区別して処遇するのは無理なことです。
そのため厳しい対応を取ってしまい、予期せぬトラブルに発展してしまうリスクが高くなります。
また、周囲の社員の仕事量が増加し、士気も低下してしまい、新たなメンタルヘルス不調者の発生と負のスパイラルに陥ってしまいます。
「新型うつ」と「従来型うつ病」の特徴を比較すると、次のようになります。
【新型うつ】
- 青年層
【従来型うつ病】
- 中高年層
【新型うつ】
- 自分自身への愛着
- 規範に対してストレスを感じる
- 秩序への否定的な感情
- 自分は仕事ができると思い込む
- もともと仕事熱心ではない
【従来型うつ病】
- 社会的役割・規範への愛着
- 規範に対して好意的
- 秩序を愛し、配慮的で几帳面
- 基本的に仕事熱心
【新型うつ】
- 回避と他罰的感情
- 衝動的な自傷。一方で、”軽やかな”自殺企画
【従来型うつ病】
- 焦燥と抑制
- 疲労と罪悪感
- 完遂しかねない”熟慮した”自殺企画
【新型うつ】
- 初期から「うつ病」の診断に協力的
- 「うつ症状」の存在確認に終始しがち
- 慢性化
【従来型うつ病】
- 初期には「うつ病」の診断に抵抗
- 新たな認知「無理しない生き方」を身につけ、新たな役割意識となりうる
●薬物への反応
【新型うつ】
- 多くは部分的効果にとどまる
【従来型うつ病】
- 多くは良好
【新型うつ】
- どこまでが「本人の生き方」で、どこからが「症状」なのか判断できない
- 休日は比較的調子が良く、平日には体調が悪くなる
- 仕事以外の趣味や好きな事は、思いのほか楽しむ
【従来型うつ病】
- 疾病による行動変化が明らか
- 朝から午前中に体調が悪く、午後から夜にかけてやや復調する
- 仕事以外の趣味や楽しみに取り組む気力もない
【新型うつ】
- 休養と服薬のみでは、しばしば慢性化する
- 置かれた立場・環境での変化で、急速に改善することがある
【従来型うつ病】
- 休養と服薬で全般に軽快しやすい
- 立場・環境の変化は、功罪相半ばする(時に自責的になる)
参考資料 樽味伸/臨床の記述と「義」(星和書店)
まず大切なことは「育て直す」意識が必要ということです。
「新型うつ」には、プライドが高く、困難を乗り切ることが出来ない人が多く見受けられます。
そのため周囲と相談しようとせず、病気に逃げ込んでしまいます。
信頼関係を築いてからでないと、叱咤激励しても結局相手には響きません。
また、原因が社会人としての未熟さであったりするので、積極的に世話を焼き、時には厳しい対応をして本人のソーシャルスキルを育てていかないと、結局再発することになってしまいます。
さらに「新型うつ」が増えている根底には、上司や職場側と若者側との価値観のギャップがあります。
職場のレクレーションなどを通してお互いの理解を深め、気軽に話せる関係作りが大事になります。
また、ワークライフバランスを重視し、社員を大切にする姿勢も大切です。
これまで説明したように「新型うつ」を発症すると、本人も大変辛いですが、会社側も相当な時間と労力が必要となります。
その予防手段として、「採用」がますます重要になってきます。
従来の面接・適性検査だけでは、ソーシャルスキルやストレス耐性まで見極めることは難しいでしょう。
そこで例えば、期限付きの課題を与えてその成果を確認したり、グループワークをさせて、協調性などソーシャルスキルを判断することも出来るでしょう。
またSCT(文書完成法テスト)を実施し、より深い性格的傾向を把握することも「予防」的観点から必要なことです。
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こんにちは。
やなぎだ労務管理オフィス、社会保険労務士の柳田 真(やなぎだ まこと)です。メンタルヘルス対策を重点業務としています。
また、年金事務所、労働基準監督署での勤務経験を活かし、労働問題、年金のご相談も幅広く対応しています。
ご依頼・ご相談は、下記、やなぎだ労務管理オフィス ホームページよりお問い合わせください。
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メンタルヘルス問題に関するコンサルティング業務(相談・復職支援・社内カウンセリング・教育)、労務コンプライアンス相談及び社内規程整備、助成金相談及び申請代行、障害年金請求手続代行など。
【得意分野】
メンタルヘルスに関する諸問題を、ハード(法律)とソフト(カウンセリング)両方向からアプローチを行い問題解決をいたします。休職・復職に伴う諸手続、社内教育など幅広くサポートしています。
また、当オフィスは、メンタルヘルス領域の第一線で活躍している学者や実務家をメンバーとした、一般社団法人産業保健法務研究研修センターの正会員です。裁判例などメンタルヘルス法務に関する最新情報の取り込み、専門医紹介など、常に質の高いサービスを提供しております。
【保有資格】
社会保険労務士(東京都社会保険労務士会所属)
一般社団法人日本産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー
中央労働災害防止協会登録 心理相談員
一般社団法人産業保健法務研修センター認定 メンタルヘルス法務主任者
【代表者経歴】
東京都社会保険労務士会 総務・財務委員会委員
東京都社会保険労務士会港支部 総務委員長
東京都社会保険労務士会 無料電話相談(社労士110番)担当
一般社団法人産業保健法務研修センター 正会員
港区役所 国民年金係相談窓口担当
足立年金事務所 厚生年金適用調査課
柏労働基準監督署 就業規則・36協定点検指導員
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