フランス・パリ流、お花と楽しむクリスマスインテリアの飾り方

執筆者: 斎藤由美 職業:パリ在住フラワーデザイナー・フォトエッセイスト
はじめに

こんにちは、フラワーデザイナーの斎藤由美です。

 

クリスマスを前に、日本のお花屋さんやフラワーアレンジ教室では、リースのレッスンが盛況ですね。

エバーグリーンの香りに包まれ、森林浴の気分で大変癒される機会です。

シンプルにグリーンだけのリースも美しいですし、試験管やプラスチックのチューブに水を入れ、生花をワンポイントにしてもお洒落です。

 

毎年1つずつお気に入りのオーナメントを増やしていくのも楽しみの1つ。

リボンの色や付け方で、世界に1つだけのリースが出来るのも嬉しいところです。

お子さんと一緒に作っても良いですね。

 

散歩で拾った松ぼっくりや小枝も使えます。
ところで、パリのクリスマスデコレーションといえば、どんなものでしょうか? 

 

 

本物のモミの木が主役

フランスはカトリック教徒が多いこともあり、伝統的にノエル(クリスマス)の飾りはサパンと呼ぶモミの木が主流です。

12月に入ると、フラワーショップの前は、ネットをかけた様々なサイズのモミの木が並びます。

週末になると、家族で相談しながらモミの木を選び、パパが肩にかついで帰る姿をよく見かけます。

 

オーナメントを飾ったモミの木の下にプレゼントを置き、25日の朝に包みを開けるのが習慣です。
日本のようにお正月飾りはないので、そのまま1月中旬までモミの木を飾っておきます。

 

役目が終わったモミの木は、歩道にゴロリと捨てられます。

心の傷む光景でしたが、昨今は環境問題もあり、市がモミの木を回収し、木片にするリサイクル事業も行われるようになりました。 

 

 

少数派のクリスマスリース

私はパリの花業界に14年いますが、花店でも家庭でもクリスマスリースを土台から作るケースはほとんど見ません。

 

花店では、花市場で売っている既に完成したリースをほんの少量扱う程度です。

リースの素材は、ヒバやモミなど定番のエバークリーンの他に、コケ、白くペイントした小枝、ペッパーベリーなど、変わり種もあります。

 

ちなみにオーナメントは花屋さんではなく、インテリアショップで販売しています。 

 

 

店舗のファサードにはガーランドを

「お花屋さんはクリスマスのテーブルアレンジメント制作で忙しいでしょう?」と聞かれますが、ノエルに生花を飾るというケースはあまりなく、実はクリスマス直前はそれほど忙しくありません。

 

ヘアサロンやパティスリーなど、ショップのファサードに取り付ける、ガーランドのデコレーションが始まる11月下旬は忙しくなります。

ガーランドと呼ぶエバーグリーンを長く束ねたもの(これも花市場で既に出来たものを販売)や、白や金銀、黒などにペイントされた柳、ミツマタを組んで、ボールや電飾を取り付けます。

 

寒い中、外で行う作業なので大変です。 

 

 

クリスマスローズが人気

フラワーショップで人気なのが、この季節に大変美しいクリスマスローズ。

切り花もありますが、鉢ものを素焼きの鉢に入れ替えたもの、あるいは白樺をくりぬいたポットカバーに入れたり、ガラスのキューブに入れ替えて根を見せたり、プラスチック鉢をコケでカバーしたものなど、店ごとに様々な工夫をしていて、目を楽しませてくれます。

 

パリ6区にある注目のフラワーショップ「ローズバッド」では、フランス人の陶芸作家の作品や、ドイツの高級ガラス花器にクリスマスローズをセットしたものが良く売れています。

 

しばらく室内で楽しんだ後、花は庭やベランダのプランターに移し替え、器はインテリアの一部として、あるいはアクセサリー入れや灰皿など別途使えます。 

 

 

おわりに

切り花はもたないと敬遠する方も、長く楽しめる鉢物を、クリスマスや年末年始のプレゼントにするのはいかがでしょうか?

 

よく見かけるシクラメンやランのほかに、見かけより逞しいクリスマスローズもお勧めです。 

 
 コラムニスト情報
斎藤由美
職業:パリ在住フラワーデザイナー・フォトエッセイスト

パリ旅行中、初心者からプロまで単発で参加できるフラワーレッスンのほか「ランチ付き花市場ツアー」「おすすめショップめぐり」など「花・雑貨・グルメ」をテーマにしたヴィジットを開催しています
ブログ「パリで花仕事」http://ameblo.jp/yumisaitoparis/

【著書】
暮らすようにパリを楽しむガイドエッセイ『二度目のパリ』(ダイヤモンド社)
パリスタイルのブーケバイブルと呼ばれる『シャンペトルのすべて パリ・トップフローリストの花 ヴァンソン・レサール作品集』『ブーケシャンペトル・ア・ラ・メゾン』(ともにグラフィック社)