慢性胃痛には漢方が効果的!胃痛の原因と、症状別おすすめ漢方薬一覧 (1/2)
はじめに
こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。
胃痛が起きた時、胃薬に頼りたくなることも多いと思います。
西洋薬と漢方薬を、上手に組み合わせて使うとより良いでしょう。
西洋薬が効果的なのは、急に激しい胃痛が起こった時。
胃の粘膜を保護・修復する薬、胃酸の出過ぎを抑える薬など、市販の薬でもスッと痛みが落ち着きます。
漢方薬が効果的なのは、慢性的な胃痛、繰り返し起こる胃痛です。
また、胃の痛みはあるけれど、内視鏡検査では異常が見られない時も適します。
漢方では、一言で胃痛と言っても、胃痛の原因が違えば治療の方向性も変えるので、当然使われる漢方薬も異なってきます。
胃痛を起こす原因をいくつか挙げてみましょう。
胃が、直接冷やされて起こる胃痛です。
例えば、寒い地域を訪れた時、冷えた空気を吸い込むことで胃が痛くなることがあります。
また、日常でよくあり得るのは、アイスクリームなど冷たい物を食べた時に起こる胃痛。
風邪をひいた時のような、悪寒を伴うこともあります。
この時は、お腹を温めるとラクになり、温かい飲み物を飲みたくなるでしょう。
漢方薬を使うとすれば、お腹を温めながら胃腸の働きを良くする作用の漢方薬を選びます。
- 人参湯(にんじんとう)
- 附子人参湯(ぶしにんじんとう)
附子人参湯は、別名を附子理中湯(ぶしりちゅうとう)と言います。
胃の許容量を超えるくらい食べ過ぎると、胃が張れて痛みます。
消化が追い付かず、ゲップや吐き気が出て、大腸まで影響すると便通異常も起こるのです。
このような時は、やはり消化剤があった方が良いでしょう。
市販の健胃薬にも、生薬がよく配合されていますが、漢方薬では、胃の働きを助け、胃部の痞え(つかえ)を解消するような物が選ばれます。
- 平胃散(へいいさん)
- 茯苓飲(ぶくりょういん)
- 下痢がある時:半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
- 便秘がある時:調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
痛みが治まった後も、しばらく胃を休めてあげるのも大切です。
ストレスが胃に影響することがよくあります。
ストレスが「気」の流れを悪くして、胃が刺激を受けて痛むのです。
気の流れを良くしようとして、溜息やゲップが多く出て、胃の働きを補うために甘い物を食べたくなる人もいます。
漢方薬では、精神的ストレスを緩解しながら、腹痛を抑える効果が期待できる「柴胡桂枝湯」(さいこけいしとう)がよく使われます。
また、冷えのある人には、鎮痛効果と胃酸を中和する効果のある「安中散」(あんちゅうさん)も良いでしょう。
温める働きがあるので、胃が冷えた時の胃痛にも使えます。
ストレスが長期化して怒りっぽくなっている時、胃痛は灼熱感を伴って起こり、冷たい物が飲みたくなります。
この場合は、熱感を冷ます漢方薬が使われます。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
空腹時に起きることが多い痛みです。
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