60歳以上の社員、どう扱えばいい?高齢者雇用と定年後の働き方 (2/3)

高年齢者雇用安定法の改正に伴い、60歳以降も継続して働く人が増えています。今回は、賃金・給与にスポットを当て、年金・雇用保険といった、国の制度も交えてご紹介します。

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
60歳以降の収入源「年金と雇用保険」

「60歳以前と比べて、高齢者の生活水準をあまり下げたくない」と考える企業も多いのではないでしょうか。

この「生活水準の保証」を考える際に、公的制度からどのような給付があるか、理解しておくと役に立つでしょう。

 

公的制度には、1.「年金制度」と、2.「雇用保険からの給付制度」の二種類があります。

 

1.「年金制度」 在職老齢年金

過去のコラムでも触れましたが、厚生年金の受給権者が60歳以降も働きながら年金を受け取る場合、一定額が減額された年金を受け取ることになります。

 

2. 「雇用保険からの給付制度」 高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、60歳のときと比べ、賃金が75%未満に下がった状態で働く人に対して、賃金の低下率に応じて給付金が支給されるものです。

支給の手続きを2ヶ月に一回ずつ行います。

 

61%未満に低下した場合が支給の最大となり、支払われた賃金の15%が給付金として支給されます。

 

在職老齢年金と高年齢雇用継続給付との併給調整

1 の在職老齢年金と、2 の高年齢雇用継続給付を同時に受給する場合、併給調整がされることも知っておくとよいでしょう。

在職老齢年金の支給停止額とは別に、年金額から最大で6%が支給停止となります。

賃金制度の設計時にあたって

60歳以降の賃金制度は、60歳未満とは別途作成する場合が多いと思いますが、「どのような前提で作成するのか」が一つのポイントになります。

 

  1. 在職老齢年金・高年齢雇用継続給付金の「両方の受給を前提」とするパターン
  2. 在職老齢年金・高年齢雇用継続給付金の「いずれかの受給を前提」とするパターン
  3. 在職老齢年金・高年齢雇用継続給付金の「受給を前提とせず、会社独自に設定」するパターン


受給を前提とする 1 もしくは 2 のパターンで設計する場合は、個々人の年金受給額や60歳時の賃金額も年頭に入れつつ、バランスを見ながら決定していくことになります。

 
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