60歳以上の社員、どう扱えばいい?高齢者雇用と定年後の働き方 (1/3)
高年齢者雇用安定法の改正に伴い、60歳以降も継続して働く人が増えています。今回は、賃金・給与にスポットを当て、年金・雇用保険といった、国の制度も交えてご紹介します。
こんにちは。さとう社会保険労務士事務所の一安裕美です。
少子高齢化が進展するなかで、働く人たちの高齢化も進んでいきます。
従業員の平均年齢が比較的低く、「高齢者雇用は、まだまだ先の話…」と思っていた企業さんからも、「継続雇用制度は、絶対にとらないといけないの?」という質問をいただくこともあります。
そのような際、お話しして気が付いたのですが「60歳以降も雇用を継続しなければいけない=同じ賃金で雇い続けなければいけない」と考えている方が、案外多くいらっしゃいます。
もちろん、会社と労働者が望むのならば、高齢になっても同じ労働条件で働くことは、全く間違いではありません。
ですが、会社の状況や労働者のニーズによって、柔軟に働き方や賃金を選べるならば、よりよいですよね。
今回は、「60歳以降の働き方」をもっと身近に感じていただけるよう、国の制度も交えてご紹介したいと思います。
厚生年金の支給開始年齢の引き上げによって、無収入となる高齢者が出るのを防ぐため、平成24年に改正された「高年齢者雇用安定法」では、次の事項が義務化されました。
65歳未満の定年を定めている企業に対して、次のいずれかの「高年齢者雇用確保措置」を講じること。
- 65歳までの定年の引上げ
- 65歳までの継続雇用制度の導入
- 定年の定めの廃止
この3つの中で、現在は圧倒的に 2 の制度を取り入れている企業が多いようです。
「継続」というと、60歳までと同じ労働条件でなくてはいけないかのように思ってしまいがちですが、高年齢者雇用安定法では、雇用形態や就業形態について、特に規定をしていません。
60歳定年制の場合であれば、60歳以降は労使の話し合いで決定することになります。
定年制により一旦は退職をし、再度新しく雇用契約を結びなおすケースが多く見られます。
定年後も、定年前と同じような責任や職務能力を発揮してもらいたいと考え、それが会社と労働者の間で可能であれば正社員として雇用を続ける方法があります。
一方、必ずしも、これまでの立場やフルタイム勤務にこだわらずに、これまでの能力を活かして柔軟に働いてもらいたいという場合は、非正規社員としての雇用が向いているといえるでしょう。
継続雇用した高齢者の賃金はどのように設定すれば良いのでしょう。
いちばん頭を悩ませるところかもしれません。
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