派遣社員もスキルアップが必要!派遣会社の新義務「キャリアアップ支援」を解説

労働者派遣法の改正により、派遣会社にキャリア支援が義務付けられました。すべての派遣労働者は、キャリアアップ教育訓練とキャリアコンサルティングを受けられます。

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
派遣労働者もキャリアアップを

こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の星野陽子です。
シリーズでお伝えしている労働者派遣法の改正、今回は「派遣労働者に対するキャリアアップ措置」についてご案内します。

 

派遣労働者は、キャリアアップを図るために、派遣元(派遣会社)から次の2つを受けられることになっています。

 

  • 段階的かつ体系的な教育訓練
  • キャリア・コンサルティング(希望する場合) 

 

詳しく見ていきましょう。

 

 

すべての派遣社員は教育訓練を受けられる!

派遣労働者の方には、正規雇用の労働者として働きたい、あるいは派遣労働者としてスキルアップしたいなど、それぞれのニーズがあるでしょう。

しかしながら、一般的に、派遣労働者は正社員に比べて教育訓練の受講機会等が少ない状況です。


そこで、派遣労働者のキャリアアップを図るため、派遣元に対して、段階的かつ体系的な教育訓練の実施が義務づけられました。

どのような教育訓練を行うのかは、一義的には派遣元の裁量に委ねられますが、教育訓練を段階的かつ体系的に行うための「教育訓練計画」を作成し、それに沿って実施する必要があります。

 

「教育訓練計画」の内容

段階的かつ体系的な教育訓練は、キャリア形成支援制度として策定した、次に掲げる要件を満たす教育訓練計画に基づいて行われます。

 

1. 実施する教育訓練が、その雇用する全ての派遣労働者を対象としたものであること。

 

2. 実施する教育訓練が、有給かつ無償で行われるものであること。

教育訓練の実施時間は、労働時間と同様の扱いをする必要があり、就業規則や労働契約に規定する必要があります。


また、教育訓練を受講するためにかかる交通費が、派遣先との間の交通費より高くなる場合は、その交通費を派遣元で負担する必要があります。

3. 実施する教育訓練が、派遣労働者のキャリアアップに資する内容のものであること。

OFF-JT(※1)のみならず、計画的に実施されるOJT(※2)も含めても差し支えないことになっています。

 

ですが、教育訓練計画書に記載しておく必要があるほか、派遣先である企業に協力を求める場合は、労働者派遣契約等において具体的な時間数や必要とする知識の付与、訓練方法等について記載しておくことが求められます。

 

※1 OFF-JT … 通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(Off The Job Training)のことで、集合研修、セミナー、通信教育などでスキルや知識を学びます。

※2 OJT … 日常の業務につきながら行う教育訓練(On The Job Training)のこと。

 

4. 派遣労働者として雇用するに当たり実施する教育訓練(入職時の教育訓練)が含まれたものであること。

短期雇用の者であっても、この訓練を受講させることができるよう、派遣元と派遣先が協力することが望ましいと言えます。
また、その後もキャリアの節目等の一定の期間ごとにキャリアパス(※3)に応じた訓練が準備されている必要があります。


なお、派遣労働者毎に、少なくとも最初の3年間は毎年1回以上の機会の提供が必要で、その後は事業主の裁量に委ねられています。

 

※3 キャリアパス … ある職位や職務に就任するために必要な業務経験とその順序、配置移動のルート、スキルの積み重ね等

 

5. 無期雇用派遣労働者に対して実施する教育訓練は、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容のものであること。

無期雇用の派遣労働者は、正社員と同様に、長期的なキャリア形成を念頭に置いて教育訓練を行う必要があります。


例えば、同一の派遣先に長期間勤務した派遣労働者の方に対しては、職場のリーダーとしての役割が期待されるので、コミュニケーション能力やマネジメントスキルに関する研修を行うことなどが考えられるでしょう。

 

希望者は、キャリア・コンサルティングも受けられる!

また、派遣労働者が正社員になったり、派遣労働者としてステップアップしていくためには、派遣労働者がどのようなキャリアパスを歩んでいくのか、その派遣労働者の希望を聞きながら、適切な派遣先の選択や必要な資格取得等についての知識を与える等の支援を行うことが重要です。


このため、希望者に対してキャリア・コンサルティング(※4)を実施することが求められました。

 

※4 キャリア・コンサルティング … 労働者の職業生活の設計に関する相談その他の援助を行うこと

 

派遣先は協力する努力義務あり

なお、派遣先は、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主によるキャリアアップ支援に資するよう、派遣労働者の職務遂行状況や、職務遂行能力向上の度合などの情報を提供する努力義務があります。

おわりに

派遣元事業主にとっての負荷は大きくなりますが、派遣労働者の方が正規雇用労働者になったり、派遣労働者のままステップアップしていくためには、必要なことです。

 

派遣労働者がどのようなキャリアパスを歩んでいくのか、派遣労働者の方一人一人の希望を聞き、適切な派遣先の選択や必要な資格取得等についての知識を身に着けるための支援を行うことが必要と言えるでしょう。

 
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