わらび餅と葛(くず)餅の違いって?夏の和菓子の種類と作り方 (1/2)
夏に食べたい和スイーツといえば「わらび餅・葛餅・葛切り・久寿餅・水饅頭」。原料や作り方など、違いを解説。
こんにちは、「季節の和菓子と楽しむ日本茶サロン」主宰・日本茶アドバイザーの柳澤ゆり子です。
気温が上がるにつれて恋しくなるのが、ひんやりデザートですよね。
冷たく冷やして、これまた冷たーいお茶と一緒に頂いて美味しく上手にクールダウンしたいものですね。
さて、そんなひんやりデザートといって思い浮かべる和スイーツは、蕨(わらび)餅や葛餅かと思うのですが、これらの違いっておわかりになりますか?
どれもこれも見た目が似ていてわからないという方が多いのではないでしょうか。
黒蜜やきな粉をかけて食べる点も共通しています。
そこで今回は、蕨餅・葛餅に、葛切り・久寿餅・水饅頭を加えた、似て非なる夏に大人気な和スイーツたちをわかりやすく比較してまとめてみたいと思います。
蕨(わらび)餅は、春の山菜で有名な蕨の根っこからとれる「デンプン(わらび粉)」を使って、これに水と砂糖を加えて作られるお菓子です。
わらび粉・水・砂糖を加熱し、透明になるまでかき混ぜ、冷やし固めて作られます。
「蕨の根っこ」は採取量が少ない上、わらび粉を仕上げるまでに手間がかかる割に出来上がる量が多くない為、大変貴重な高級品とされています。
その為サツマイモやタピオカから得られたデンプンや葛粉が使われているものも多く紛らわしいです。
本蕨を使用した蕨餅は、透明ではなく茶色っぽく、お値段も高めです。
お店で頂くとお茶とセットで2,000円位となり、ビックリする事も。
醍醐天皇(平安時代)が、蕨餅の大ファンだったという説もあるとか。
今の様に甘くはなかったと思われますが、本当なら随分と歴史のある和スイーツという事になりますね。
葛(マメ科葛属の植物)という植物の根の部分からできるデンプン(葛粉)を使って作られます。
水で溶いた葛粉に砂糖を加え、火にかけて透明感が出るまで良く練り上げ、練り上がったらバットなどに流し入れて冷やし固めて出来上がります。
冷蔵庫に入れると色が濁って食感が落ちるので、氷水などで冷やすそうです。
蕨餅と違い、透明感があるのが葛餅ですね。
また、葛と言えば奈良県の「吉野葛」が有名でしょうか。
涼しげな見た目が(特に関西方面では)夏の冷菓子として人気です。
葛餅で餡を包んだものが「水饅頭」
この葛餅で餡を包んだものを一般的に「水饅頭」と呼んでいます。
葛饅頭・水仙饅頭とも呼ばれ、明確な住み分けが現在でははっきりしませんが、私は葛で作られたものを葛饅頭、葛以外の混ざった生地を水饅頭と呼び分けています。
餡ではなくフルーツを入れる物もあれば、葛ではなく蕨粉を混ぜたり手軽に片栗粉などで作られている物もあります。
「水饅頭の素」という粉も販売されており、手作りするには便利ですよ。
麺状の和スイーツ「葛切り」
また、のどごし抜群な「葛切り」とは、葛粉を水で溶かしてから加熱し、冷やして板状に固めた物をうどんの様に細長く切って仕上げる麺状の和スイーツです。
黒蜜(一部では白蜜)をかけるのではなく、そばの様に付けて食べるお店が多いです。
一方、同じ「くずもち」と呼ぶ関東のくずもちは、葛から作られるものではなく、小麦粉のデンプンを乳酸発酵させて作られる全くの別物で「久寿餅」と書きます。
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