[春の星座と天体観察] かに座とプレセペ星団の見つけ方・探し方
春の星空の見どころをチェック!ほのかに霞む「朧月夜(おぼろづきよ)」、「かに座」、美しく明滅する「プレセペ星団」の探し方を解説。プラネタリウムもいいですが、春の天体観察にもトライ!
こんばんは、天体観測アドバイザー・星空案内人の宇都です。
すっかり暖かくなり、春めいてきましたね。
冬の華やかな星座たちは、西に傾き、星空もやや寂しいものになってきましたが、夜風が心地よい季節になってきました。
お風呂上がりに、星空を眺めてみるのはいかがでしょうか。
「朧月夜」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
春の夜に月がほのかに霞んでいる情景を表す言葉です。
その原因は、偏西風で流されてくる黄砂であると言われています。
この写真の様に、月の周りがぼんやりと霞んで、夜空もすっきりとしません。
月が霞むということは、もちろん星々の光も霞んでしまい、実は天体観察には若干不向きな季節ではあります。
もちろん、ずっと黄砂が来ているわけではありません。
少しでも「今日は青空が綺麗だなぁ」と思った日の夜は、星座を探すチャンスです。
以前のコラムで、しし座を紹介していますが、星占いに詳しい方はご存知の様に、しし座の前にはかに座があります。
しし座と共に、かに座は黄道12星座の一つです。
かに座は、冬の星座「ふたご座」と「しし座」の間にあります。
探す時は、ふたご座の目立つ2つの明るい星「カストルとポルックス」と、しし座の1等星「レグルス」をまず探します。
そのほぼ中間に「かに座」があるのですが、暗い星々が多く、明るい町中からだと見つけるのはやや難しいかもしれません。
見つからない場合は、オペラグラスやちょっとした双眼鏡を使うか、写真に撮って、後から探してみるのも一つの手段でしょう。
写真のように、かに座は、台形の様な4つの星並びに加え、かにの足となる手足を伸ばした星並びになっています。
さて、下の写真を見ると分かりますが、かに座の台形の4つの星の真ん中には沢山の星々があります。
これは、星団で、”プレセペ星団”という愛称があります。
プレセペとは、ラテン語で「飼い葉桶」を意味し、かに座の星をロバに見立てたことに由来するそうです。
一方、中国では「積尸気(ししき)」と呼ばれ、亡くなった人の魂が集まる場所だと考えられていたそうですよ。
空が暗い山奥や郊外で見ると、肉眼でも、まるで人魂の様に、ぼーっとした光の塊として、このプレセペ星団を見ることができますから、なるほど古代中国の人たちが、そう考えたのも納得できます。
積尸気というと、なにやら辛気臭い悪い印象になってしまうかもしれませんが、英語での愛称は”ビーハイブ(Beehive)”蜂の巣です。
もし、双眼鏡をお持ちでしたら、ぜひ、双眼鏡で見てみることをお勧めします。
写真は、135mm望遠レンズで追尾撮影した写真ですが、明るい星々が沢山集まりとても美しい眺めになります。
星を蜂に見立てると、あたかも蜂の巣に蜂が集まっているかの様な印象です。
双眼鏡で眺めるのがおすすめ!
実際に暗い空で、この星団を双眼鏡で眺めると、明滅する星々の美しさが格別で、この写真以上の美しい姿を楽しむことができます。
もちろん、町中のような明るい場所であっても、双眼鏡を使えば、プレセペ星団の星々を確認することはできますから、ぜひ身近な場所でも、観測にチャレンジしてみてください。
今回は、春の星空案内として、かに座を紹介しました。
春の星空は、冬の星座に比べると、やや暗い星が多く、また、霞がかかる日が多いことからなかなか見つけにくいかもしれません。
ですが、せっかく夜風が気持ちよくなるこの季節。
ぜひ、星空も見上げてみてください。
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銀河鉄道999や、ボイジャー2号の写真などで、子供の頃から宇宙に興味を持って以来、天文に興味を持ちました。
デジタルカメラのおかげでアマチュアでも、図鑑の様な写真が撮影できる様になり、すっかりとのめり込んでしまいました。
星空の魅力を伝えていければと思って、天体観望会のお手伝いなどもしています。
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